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【夢日記vol.6】ランナーズ・ハイ

早朝6時からはじまった草野球公式リーグ戦──
2点ビハインド最終回
1アウト一二塁の絶好期で同点の二塁打を打った。

転々と右中間に転がるボールを
ライトが取りこぼすのが見え、
ぼくは急いで二塁も回る。

ライトからのいい返球が、
三塁全力疾走するぼくの背中に迫ってくる…。

「ランナーズ・ハイ状態」

…になっているぼくの脳裏に、
さまざまな過去の残像走馬燈のように、駆けめぐる。

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…「いっしょに遊ぼ!」

10年近く前の話であった。
どんなきっかけで知り合ったかは
もう忘れてしまったが…
その彼女は、(ぼくの記憶の限りでは)
出会ってたった1時間程度でしかなかったのに、
早くもぼくをこんな言葉で誘ってきた。

なんでもその彼女は、

「ラブホで男と遊ぶ」

…のが大好き…なんだとか。ほぼ、

「逆ナン」

…と呼んでも差しつかえない奇跡的なハプニングに、

「冗談でしょ?」

…と、ぼくは自分の耳を思わず疑った。疑って、

「あまり期待しすぎると
…後がつらいぞ!」

こう自分に言い聞かせた。

でも、その彼女から後日──
ぼくのLINEには同じ誘い文句が届き、
しかも、具体的な日にちと時間
待ち合わせ場所までを明記されていた。

もちろん、ぼくが小躍りしたのは言うまでもない…
が、実際にその彼女と
対面できる瞬間まではまだまだ油断ができない。
どうも話が上手すぎてならないのだ。

約束の当日──本当に、その彼女は
指定してきた場所に、時間通りやってきた。

肩にはまるでスタイリストさんのような、

「大きな布製の
黒いショルダーバッグ」

…をかけていた。

そのバッグにはなにか
いろんな物が入っているみたいで、
ところどころが不自然な格好出っ張っている。

「ムチとかローソク
…とかじゃないか?」

…と、推測してみた。

とくに、ぼくSM嗜好が強いわけではないけれど…
理解度は並の男より、多少なりとも深い

「流血未満」

…なら、まったく問題はない

メシも喰わず、酒も飲まず、
いきなりラブホテルへと向かうことになった。

「ホテルの出前とかで
イイんじゃない?」

…と、その彼女が言ってきたからだ。
ぼくとしては、やはり問題はない

「お先に〜!」

──ラブホの個室に入って5分も経たないうちに、
その彼女がシャワーを浴びに行く。

「一刻も早く
遊びたいんだね…」

このときのぼくは、もはやとても
ポジティブ思考脳天気であった。

シャワーを浴びて浴室から出てきたその彼女は、
すでに全裸だった。
バスタオル一枚纏(まと)っていない。
Eカップほどのボリュームのバストに、
アバラが透けるほどにくびれたウエスト──
身長は165センチ弱…あたりか。
膝から下も日本人の割には長い。

「なんて素晴らしい
プロポーションなんだ!」

…と、ぼくは生涯数度あるかないかの幸運
心の拍手を贈り、猛烈に勃起する。 

股間アナル周辺だけを入念に洗い、
急いで自分もシャワーを終え、部屋に戻る。

すると! その全裸の彼女は、
ベッドの上で膝立ちになり両手を前に突き出していた。
なにやら黒くて妙な存在感のあるグッズを持っている。

「コルトガバメント」

…だった。銃口はぼくのほうを向いている。

「プシ! プシ! プシ!」

丸い小さな弾丸の一発が
ぼくのへその上あたり命中する。

「エアガン」

…だ。エアガンとはいえ、
むき出しの肌BB弾は、相当に痛い
ぼくはフルチンのままシャワー室の前で

「うううっ…」

…とのたうち回り、とっさにベッドの陰に身を隠す。

スタイリストみたいに大きな黒いバッグ
幼稚園掛けにしながら、
拳銃をかまえてぼくのほうに
躙(にじ)り寄ってくる彼女
は、まるで映画の

『バトルロワイヤル』

…に出演していた柴崎コウのようだ。
ただ、映画の柴崎コウは中学校の制服を着ていたが、
その彼女は全裸──そこだけが違っていた。

「待って待って! 
ちょっと待って!!」

フルチンでBB弾をよけながら
部屋中をジグザグに走り逃げ回る

「ランナーズ・ハイ」

…状態のぼくは、
泣いているんだか笑っているんだか
よくわからない複雑な表情を浮かべながら、

「防戦一方」

…という、あきらかに不利な戦況で、
そんなぼくをその彼女は
ニコニコしながら全裸で追いつめ、
エアガンの全弾を撃ち尽くす。

そして、バッグの中から今度は
ウジ・マシンガン(※←エアガン)を取り出し、
ぼくに標準を合わせる。

「プシプシプシ!!!」

連射ができるタイプだ。
このままではやられてしまう…
当たりどころによっては

「流血」

…だって、あり得なくない──もしかして

「ぼくの許容範囲」

…を超えはじめているのではないか?

「本気で遊びたかっただけなんだね…」

ようやく現実を受け入れたぼく
ベッドにあった枕(まくら)を手に取り、
それをにして…恍惚に浸った狂気の目つきで
ウジマシンガン(※←エアガン)
全裸乱射するその彼女に、
一か八かの突撃を試みた……。

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…足がもつれ、前のめりな姿勢になってしまう。
そのまま重力に身を委ねて、
まだ野球を始めて一度もやったことがない
ヘッドスライディングトライすること決意する。

三塁上でのクロスプレイ──判定

「アウト」

…だった。

アウト!

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