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スモーカーの立場から語る「喫煙論」

「writer」を職業とする鈴木涼美さんという女性が、とあるWeb媒体で

「喫煙」

をテーマとするインタビューに応えておりました。

ぼくは前々からこの鈴木涼美さんが書く一連の読み物をわりとマメにチェックしていました。その一見素っ気無い文体から提唱される、さまざまな事象に対するスタンスが、なんともゴメス好みなのであります。

そして、同記事中にあった鈴木さんの、女性喫煙者の視点から展開する「喫煙論」に、紙たばこをいまだ愛用する「マイノリティー」の一人でもあるぼくは、猛烈な共感をおぼえました。
「感動した!」といっても過言ではないでしょう。

「たばこの煙やにおいがイヤだ…
という人の前では吸わない分煙家」

…だという、さらにかつては

「嫌煙家の男性とも付き合った経験がある」

…らしい鈴木さんはこう語ります。

「私の友人でも、健康だけではなく、“モテ”に重きを置くとみんな(たばこを)やめていきます(笑)。たしかにやめたほうが、モテのパイは広がります。
でも私は“思想”を押し付けてくる人がイヤです」
(中略)「においや煙以上に、たばこを吸っていること自体が許せないという男性だったんです。彼が吸う吸わないはもちろん彼の思想だし、たばこのにおいが嫌だとか家や車で吸われるのが嫌だと感じるのはもちろん彼の自由ですが、たばこを吸う女性自体に嫌悪感があるのは一つの“思想”であって、それを私に共有しろという圧力は嫌でした。許せないのであればどうして私と付き合ったのか。おそらく懐柔できると思ったのでしょうが、一方向の正しさを押し付けて
こられるのは苦手です」

たしかに、鈴木さんと同様のスモーカーであるぼくも、仕事場代わりとして週に8回は利用している
『喫茶室ル◯アール』で、店員さんが入店客に

「ウチは全席喫煙ですが大丈夫でしょうか?」

…とお断りを入れた際、

「イマドキありえなくない!?」

…などと、文句を垂れながら
踵(きびす)を返すヒトたちを見て、

「アンタの価値観だけで
モノ語ってんじゃねえよ!」

…と(内心で)ついイラッとしてしまいます。
ちょっと例えとしてズレてます(笑)? 
いや、全然ズレてない…ですよね? 

また、こんなこともありました。

とある都内の街に遠征したとき、たまたま入った
某喫茶店──そのエントランスには

「喫煙目的店」

…の貼り紙があり、店員さんも入店前に

「ウチは全席喫煙ですが大丈夫ですか?」

…との一言まで添えてくださった。
そこで、紙巻きたばこ(=アメスピのゴールド)を
燻(くゆ)らせながら、ノートパソコンを開いて原稿を書いていると、となりに5歳くらいの息子を連れた母親が客としてやってきた。
しばらくすると、子どもが「けむた~い」と、ケホンケホン咳をしながら母親に告げ口を…。
すると、その母親はとなりのぼくに向かって

「あのぉ…子どもがいるので、
たばこは遠慮してもらっていいですか?」

…と言ってくる。
ぼくは、その母親にこう言いました。

「一応ここは『喫煙目的店』を公言しているお店ですから。もし、クレームがあるなら、ボクではなくお店の人にお伝えください。そのうえでお店の人から『たばこはご遠慮ください』と促されたら…
そのときにまたどうするかを考えます」

結局は、店員さんが

「先にも申しましたが当店は喫煙目的店なので、
それが厳しいようなら退店をおすすめします」

…と、毅然たる態度で接してくださり、その母親は

「イマドキ、全席喫煙のお店なんて信じられない!」

…といった捨て台詞とともに、ぶんむくれ状態で店を出て行ってくれて、事なきを得たわけですが(※オーダーした品が来る前だったので、お金は払っていなかった)、このケースも…どっかぼく(と、お店側)に落ち度はありますか???
すぐそばにスタバもあったのに…。

いやはや…つい愚痴っぽいエピソード
長くなってしまい、恐縮です。
鈴木涼美さんの主張に話を戻しましょう。

で、とくに

「許せないのでればどうして私と付き合ったのか」

このくだりは、
じつに重要なポイントだと思いました。

「コンプライアンス的な事情で『ヘイト=悪』という空気が実社会上を支配しつつあるなか、
喫煙は『人の健康を害する可能性がある』という大義名分から、大っぴらに批判できる数少ない対象と
見なされています」

…とも鈴木さんは指摘しますが、そんな最強の
「大義名分」印籠とし、
嫌煙家の方々はスモーカーを「懐柔できる」
もっと強い表現に変えれば

「懐柔すべき!」

…と、一種の義務感にも近い「使命」
抱くのではないでしょうか。

ぼくも、どちらかといえば「モテに重きを置く」ほうの人間ゆえ…加えて草野球でも最近は二塁まで走っただけで小便をチビりそうなくらいに息切れしてしまいがちなので、できれば

「たばこはやめたい」

…と、常々考えています。そう「懐柔」してくる、
あるいは「(せめてもの)加熱式たばこへの転向」
(※↑案外コッチのほうが多数派?)を勧めてくる
チームメイトも増えてきました。

食事や飲みの席でたばこを吸わないことには
もう慣れつつあります。むしろ、嫌煙家同様

「料理の香りがたばこの煙で
台無しになるのはキツい」

…とすら感じるくらいです。

もちろん、喫煙所以外でたばこは吸わないし、
ポイ捨てもしないし、基本的に非喫煙者の家でも喫煙は遠慮しますし、合コンとかでも、お目当ての女性がたばこ嫌いなら、ぼくも絶対に吸いません。
合コンで「モテに重きを置かないヒト」──嫌煙家に喫煙者の主張を必死でしちゃうようなヒトは
単なるアホだと思います。

しかし、ここまで肩身の狭いおもいをしながらも、
やはり仕事中だけは「禁煙」できないのです。

もし仮に、自分のパートナーが「喫煙者であるぼく」自体のことを、かなり強硬な姿勢で嫌煙家へと懐柔
しようとしてきたら…
現時点だと、ぼくはそのヒトのことが
どんなに好きでも、やはり別れるしかないでしょう。

だって、たばこをやめれば、
途端にぼくは原稿が書けなくなり、
無職になってしまうのですから…。

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