漆黒アパートの漆黒について

私が上京してすぐに住んだアパートは、セブンイレブンの真上にある部屋だった。
また、3階建ての3階には大家さんの息子が1人だけ住んでいて、そこはゴミ屋敷だった。
更に築年数がかなり経っていたからか、あのアパートには大量の虫が発生していた。虫の種類は多種多様で、場所ごとに登場する虫の種類は違った。

入口を入るとまず階段がある。その階段にはモスラ級の蛾が常時スタンバっていた。
雨の日などは傘を持っているので、その場合は傘を開いて蛾を避けながら階段を上れるが、丸腰の場合はタイミングを見て必死に駆け上がる事でしか蛾を回避する術はない。

部屋に入ると、そこはコバエ天国になっていた。
コバエホイホイを置くと1週間後には数えきれない量のコバエがかかっているような状況だった。

ただでさえコバエにとって居心地の良い空間だったであろう私の部屋で、エゲツナイ量のコバエを生み出してしまった事があった。

当時、はじめての一人暮らしだったので、生ゴミの捨て方が甘くゴミ箱にそのまま捨てた事があった。その日以来コバエの量が増えた。
ご飯を食べようとするとご飯の周りをコバエがブンブン飛ぶ。スープを作ればスープの底からコバエの亡骸が出てくる。ワインを飲めばコバエがダイブする。
そんな中、ゴミの日に台所の生ゴミのゴミ袋に部屋のゴミ箱のゴミを入れようと思い、ふと生ゴミのゴミ袋を見ると、その中には推定100匹以上のコバエが元気に飛び回っていたのだ…!
幸い袋の口の部分を手で握っていたので、そのまま口を縛りゴミ置き場に出してしまった。

その出来事があってから、私は生ごみのへの意識が異常に高くなり、絶対にビニール袋でしっかり密封してから捨てるようになった。

次に、部屋にいつもいるレギュラーメンバー2種類目を紹介したい。黒く光る漆黒野郎こと「G」君だ。
名前は書きたくもない程嫌いなのでGで察して欲しい。アイツとは、アパートにいる3年半で(一度アパートの契約更新をしてる事が自分でも意味がわからないが)約50匹とタイマン勝負した。

次にベランダメンバーだ。
アイツを見た瞬間私は凍りついた。
あんなに呪われた姿の虫がこの世に存在するのかと…。

ある日ベランダの戸を開けていたら、
身体はG、手足はバッタの虫がピョンピョンと跳ねながら部屋を横切っていった。
「は?何今の??!」と思いつつも、はじめて見たので恐怖で震える事しか出来なかった。

翌日クソランに出勤した際、いとうさんとOちゃんに昨日の虫の特徴を伝えるとOちゃんが
「それ、カマドウマじゃないですか?」と言い、パソコンでカマドウマの画像を検索して見せてきた。
その姿は昨日私が見た、まさにアイツだった。

初めてアイツの名前を覚えたあの日からそんなに遠くない未来に、アイツと接近戦の戦いをする事になるとはその時はまだ、知る由もなかった…。

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