ヤマダ チカ

生きてきた中で出会った変人、奇人たちの話を書きます。

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最近の記事

漆黒アパートの漆黒について

私が上京してすぐに住んだアパートは、セブンイレブンの真上にある部屋だった。 また、3階建ての3階には大家さんの息子が1人だけ住んでいて、そこはゴミ屋敷だった。 更に築年数がかなり経っていたからか、あのアパートには大量の虫が発生していた。虫の種類は多種多様で、場所ごとに登場する虫の種類は違った。 入口を入るとまず階段がある。その階段にはモスラ級の蛾が常時スタンバっていた。 雨の日などは傘を持っているので、その場合は傘を開いて蛾を避けながら階段を上れるが、丸腰の場合はタイミング

    • 漆黒アパートと大家さんとの思い出 分裂した自転車編(後編)

      翌日、クソランから帰った私はポストの中に茶封筒が入っていることに気がついた。 開けてみると、中には大家さんからの手紙が入っていた。 その手紙には、今回の一連の謎についての真相が書かれていた…! 「益々ご健勝の事と存じます。」 またいつものビジネス挨拶からのスタートだ。 「昨日はありがとうございました。 あれから私なりに調べてみて、真実が分かりましたので手紙でお知らせいたします。 ヤマダ様の自転車がニ台に増えていた件ですが、もう一台の自転車は、最近ヤマダ様のアパートの向か

      • 漆黒アパートと大家さんとの思い出 分裂した自転車編(中編)

        アパートに着いた私は駐輪場に自転車を停め、大家さんに話しかけた。 「大家さん、こんにちは。ちょっとこれを見てもらっていいですか?」 そう言いながら、並んで停まっている2台の青い自転車を指差した。 大家さんは、2台の自転車を見て目を見開きながらめちゃくちゃ驚いている。 「え?!どういうことですか?なんでヤマダさんの自転車が2台あるんですか?」 「私も意味が分からないんです。今日見たら2台に増えてて、しかも新品とボロボロなんです! 私の鍵でボロボロの自転車の鍵が空いたので、

        • 漆黒アパートと大家さんとの思い出 分裂した自転車編(前編)

          大家さんは私の住んでいたアパートの他に、向かいのアパートとその隣の一軒家も管理していた。 当時一軒家には人が住んでいなかったので、その敷地内に自転車をとめさせてもらっていた。 ある日、買い物に行こうと思い自転車置き場に向かった私は、自転車を見て驚いて立ち尽くしてしまった。 そこには、私の自転車が二台停まっていたのだ…!! 昨日までは確かに一台しか無かったのに、突然二台に増えていた。 しかも、その二台の自転車は新品のものとボロボロのものだった。 私はどちらが自分の自転車な

        漆黒アパートの漆黒について

          漆黒アパートと大家さんとの思い出 斉藤さんと大家さん編

          大家さんが深夜2度に渡って突撃してきた翌日、私はクソランでの仕事の合間に水道屋の斉藤さんに電話をし、その日の21時に修理に来てもらうことになった。 その日の仕事後アパートに帰り、郵便受けを確認すると一通の茶封筒が入っていた。中には大家さんからの手紙が入っており、こう記されていた。 「益々ご健勝のことと存じます。さて、昨日お伝えしましたが、斉藤さんに連絡をしてください。」との内容だった。 ビジネスでのやり取りの定型分である「益々ご健勝のことと存じます。」を使うくらいなら、深

          漆黒アパートと大家さんとの思い出 斉藤さんと大家さん編

          漆黒アパートと大家さんとの思い出 大家さんとの出会い編

          私がクソランで働いていた頃に住んでいたアパートは、セブンイレブンの真上に部屋があり、少し変わった作りのアパートだった。 室内は、細長いキッチンと居間が引き戸で仕切られていて、玄関のドアの横はすりガラスになっていた。 引っ越して3ヶ月程経ったとある夜、私はその日もクソランで残業をし、帰宅した時はすでに深夜0時をまわっていた。急いでお風呂に入り、丁度お風呂から出た時に、突然玄関のドアを叩く音が部屋中に響き渡った。 まだ裸だった私は、玄関のすりガラスから見えないよう引き戸に隠れ服

          漆黒アパートと大家さんとの思い出 大家さんとの出会い編

          ご近所の騒音問題でノイローゼになりかけた話 その4

          私はそれから、一睡もする事ができず会社に出勤した。 会社に行ってからは仕事など頭に入ってこず、苛立ちだけが募っていった。 深夜の騒音、バンド練習だけに飽き足らず、外で女子と絡み合うだなんて、私には考えもつかない所業だった。 私は山田の事をちょっと面白がっていた自分の甘さを後悔した。 山田はこの2ヶ月間ほど、自分のせいで苦しんでいる人がいることも知らずに、のらりくらりと己の青春を全うしている。 …許せない…。許せない…。許せない!!! 私は山田を許さないことにした。 居

          ご近所の騒音問題でノイローゼになりかけた話 その4

          ご近所の騒音問題でノイローゼになりかけた話 その3

          勇気を出して管理会社に連絡したのにも関わらず、山田と山田の友達たちの騒音は律儀にも毎日深夜にやってきた。 私は眠れない事で体力的にも精神的にも、相当追い詰められていた。 近い将来、管理会社に連絡する時のために、更には法的な手段をとる必要があった時のために、証拠集めとして事細かくメモをとるようになったし、スマホの録音機能で裏庭にたむろして喋っている山田達の会話を録音したりしていた。 そして、5/28の深夜2時半に信じられない事が起こった…。 深夜2時半、男女が大声で会話し

          ご近所の騒音問題でノイローゼになりかけた話 その3

          ご近所の騒音問題でノイローゼになりかけた話 その2

          下の階の山田がバンド練習を始めた日から、予想通り加速度的に騒音がひどくなっていった。山田のパートはベースだった。毎日昼夜かまわずベースの自主練をしている。ベースなので単調なリズムを永遠に繰り返す。しかも、音は寝ている私の真下から聞こえた。 山田は夜勤のアルバイトをしているからか時間の感覚がズレており、深夜を中心に友達が遊びにきては騒ぎ、ドアを振りかぶって閉めているとしか思えないような爆音をたてて開け閉めし、外でタバコを吸いながらしゃべっていた。 アパートの一室をライブハウス

          ご近所の騒音問題でノイローゼになりかけた話 その2

          ご近所の騒音問題でノイローゼになりかけた話 その1

          私が住んでいるアパートの下の階に、新しい入居者がきた。表札を見ると山田と書いていたので、同じ苗字なんだなぁ、と思っていた。 下の山田さんが入居してしばらくして、友達が遊びに来るようになった。 男女入り交じった構成の友達は、だんだんと深夜に来ることが多くなった。 深夜1時、男1人女2人が騒ぎながら到着。 うちの表札を見て「ぎゃははー!山田山田じゃん!」とひとしきり盛り上がる。 タバコを吸う時は裏庭で吸うので、その時に聞こえてきた会話で察するに、現在大学生で夜勤のバイトをして

          ご近所の騒音問題でノイローゼになりかけた話 その1

          オノヨーコに間違えられた話

          私は額縁屋で4年間程働いていた。 最初の2年間は地元のショッピングモールに入っている店舗勤務だった。 その店舗の女店長も例に漏れず酷い人だった。 女店長は、初めて会った日に「私に【でも】って言葉は絶対に使わんといてな」と言ってきた。 私はなんで?と思いつつも「はい」と答えた。 それからは、店長と話している時に「でも」の「で」を言いかけたら慌てて「で…すが」や「で…すけど」などと言い替えて事なきを得ていた。 この店長が嫌すぎて辞めようと考えていた時、タイミング良くバスで3

          オノヨーコに間違えられた話

          文房具屋の女店長 後編

          ニヤニヤした女店長に見守られながらファックスを送り終えた私は、店内の掃除をしていた。 すると、棚の向こうに隠れるように座っている先輩の山下さんを見つけた。 私が「どうしたんですか?」と声をかけると、山下さんは泣いていた。 驚いて「え、大丈夫ですか?」というと、山下さんは「店長ひどすぎるよ。ヤマダさんに何も教えてないのに発注させるなんて…。あんまりだよ…。」と泣きながら言った。 私はおどけた様子で「いやいや!私は大丈夫ですよ!」と言ってみたが、山下さんは泣き止まなかった。 き

          文房具屋の女店長 後編

          文房具屋の女店長 前編

          私が19歳くらいの時にバイトしたのは、とある文房具屋だった。 そこには女性の先輩山下さんと、男性の先輩Tさんと女店長の3人が働いていた。 女店長はよく自慢のようにこう言っていた。 「この文房具屋の系列店には私しか女の店長がいないねん!だから私はみんなから可愛がられてるねん!」 そう言いながら他店の店長に電話をし、鼻の奥から絞り出したような猫撫で声で話をしていた。 女店長の私に対する当たりはかなりキツいものだった。 お客さんの前でアホだと怒鳴られたり、仕事を教えてはくれない

          文房具屋の女店長 前編

          クソクソランドのこぼれ話 いとうさんとの会話

          ある日のゴミ屋敷での話。 私はふと思いついた言葉を口にしてみた。 「くちゃぁ〜はにゃぁ〜」 (高音で鼻にかかった声、更に口はアヒル口でCHARAっぽく) いとうさんをチラッと見るとビクっとしている。 私は(ププッ、反応してる反応してる)と思い、続けて 「くちゃぁ〜はにゃぁ〜」と言った。 いとうさんは何も言わないが明らかにこちらを意識している。 「くちゃぁ〜はにゃぁ〜」と言うといとうさんが遂に 「は?なんなんですか?それ」と言ってきたので 「くちゃぁ〜はにゃぁ〜」と返すと 「

          クソクソランドのこぼれ話 いとうさんとの会話

          クソクソランドの思い出 私が脱北した日編

          遂にクソランからOちゃんもいなくなってしまった...。 クソランの私たちの部署にはY子さん、A美さん、いなちぃしか居なくなってしまった。 いなちぃとは以前、漫画の貸し借りをした際に私が借した漫画の帯を半分に折って紙袋の底に敷いた状態で返されて以来、完全に信用できない存在になっていた。 私が借した宮崎夏次系さんの漫画に対するいなちぃの感想は今でもよく覚えてる。 「ちょっと普段読まない感じの絵柄だったんですけど、読んでみたらなんか出かけたくなって、自転車に乗って出かけちゃいま

          クソクソランドの思い出 私が脱北した日編

          クソクソランドの思い出 Oちゃん渾身の一撃編

          いとうさんが会社を辞めることが決定した後に、クソの親父である社長がいとうさんと二人で話したいと言ってきた。 てっきり「色々あったけどこれからも頑張れ」みたいな事を言うのかと思ったら、社長はずっと万景峰号(まんぎょんぼんごう)の話をしていたとのことだった。 さすがクソ君の親父。想像の斜め上を行くところはクソにそっくりだ。 いとうさんは最後に、社長から万景峰号の話を聞かされ、首をかしげながら辞めていった。 そんな中、クソに電車で大いかれした日から電車に乗るたびに涙が出てくるよう

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