オールタイムベスト映画リストベスト
Podcast #19「オールタイムベスト映画500本」をアップしました。当初考えていた、さまざまなところのオールタイムベストをまとめて名作いつか全部観よう、というのの予告みたいな感じです。
リストはこちらにまとめてあります。これ作るの超大変だった……。
こう並べてみるとそれぞれに癖があって面白いので、気づいたことなど。
キネマ旬報ベスト100
まず「キネマ旬報」。これ明らかにシネフィル度が高いです。シネフィルっていう言葉を軽々しく使いまくってますが、厳密な定義を論じ出すとガチな方面から本2〜3冊じゃ足らない議論が始まりますのでそれはやめといて、ざっくり「アート映画」ってことでいいんじゃないでしょうか。アート映画の厳密な定義を(以下略)
まあそれも致し方なくて、これ発表されたの1999年ですからね。ミニシアター全盛期なんで、アート映画の隆盛も今以上だったので。ちなみにキネ旬は2009年にも邦画のベスト100を出しているようで、そこには北野映画なんかも入っているようです。とはいえ北野映画の中で一番ランキング高いのが『3-4x10月』というあたりもさすがブレないぜ…!って感じ。
洋画だと唯一『パリ、テキサス』を入れている…!『グロリア』も、『大脱走』も…!というあたりがアツいですかね。全般的に男性的なチョイスだとは思いますが。
100位タイまでは100位扱いなので総本数が100本を大幅に超える、というあたりは、他がきっちり100本で出してるだけに、もしかしたら日本的なのかもなあと思わなくもない。「シリーズはひとまとめ」という非常におおらかなスタイルを採用してるのもあって、リスト攻略の最難関は内田吐夢監督の『宮本武蔵 五部作』になるんかなあ、と。
AFIベスト100
https://www.afi.com/afis-100-years-100-movies/
アメリカ映画を中心に教科書的なチョイスをしてるなーという印象。2007年発表の割には古い作品が多いです。
『ゴッドファーザー』一作目を2位にして、二作目を32位にするあたりなんかは「そうだよね」としか言えない感。26位の高ランクに『スミス都へ行く』、45位に燦然と輝く『シェーン』、76位『フォレスト・ガンプ』なんかはアメリカ万歳!という感じでナイス。89位『シックス・センス』もここならではです。
リスト中もっとも大変そうなのは49位の『イントレランス』かなぁ。モノクロ、サイレントの180分です…。
Variety ベスト100
一番バランス取れたいいリストだなあと思います。映画ホントに見始めたばかりなんですよ、という人にも最もオススメ。そういうところもあって僕も観てる映画が一番多いのがこのリスト。
2022年のリストなだけあって、14位に『ドゥ・ザ・ライト・シング』、42位に『ムーンライト』、57位に『ブロークバック・マウンテン』、69位に『それでも夜は明ける』などダイバーシティ配慮感が伺えます。45位『タイタニック』、49位『悪魔のいけにえ』、81位『ダークナイト』などジャンル映画がちゃんと入ってるのもいい。
70位『ベスト・フレンズ・ウェディング』、94位『ブライズメイズ』あたりは結構謎。フェミニズム的な視点からかも知れません。ラブコメ入れるなら『恋人たちの予感』が入ってないとおかしいよなーと思うので。
おそらく今でもアクセスしやすい映画ばかりなのも好印象です。制覇するのに特にこれが大変、という映画はパッと見た感じないかなあ。埋めるならこのリストからがオススメですかね。
BFIベスト100
AFIに比べると非ハリウッド映画が格段に増えるので、その分アート系も網羅しているのが特徴、だけどキネ旬ほど偏ってはいない。そして毎年更新しているというだけあって、ランキングの瑞々しさが別格。
一位の『ジャンヌ・ディエルマン』は昔はほとんど聞かなかった映画で、いわゆる再評価された系。このBFIのベスト1に選ばれたのも驚きだったとのことらしい。内容的にも近年のフェミニズム等の機運に即しているのもあって、そんなところも含めて同時代性。
25位『狩人の夜』が入ってるのもここだけ。これも確かどこかの段階で再評価された映画だったはず。と思えば30位『燃ゆる女の肖像』、これなんかは去年上映してましたよね。
リスト攻略はこれまでを無にする圧倒的なラスボス、78位『サタンタンゴ』と84位『ゴダールの映画史』が鎮座しておりほぼ不可能。『ゴダールの映画史』が4時間26分、『サタンタンゴ』が7時間18分。『ゴダールの映画史』は実は学生時代に人に連れて行かれて観に行ったんですが最初30分以降の記憶がマジでありません。
もちろん、このリスト(のべ)500本をもってしても「なんで入ってないんじゃー」という名作はいっぱいあるわけですが、まあ一つの指標として。