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【日記】ボブ・ディランの話。

2023年4月8日
待ちに待ったボブ・ディランのコンサート。
2020年に突如としてリリースされたアルバムを携えてのワールドツアー。まず一人でフェスティバルホールに行くのは初めてだった。かつては中島みゆき、東京事変、山下達郎のライブに参戦した懐かしい地。堺市駅から淀屋橋に行き、そこから多少迷ったものの無事に到着。だいぶ早めに到着したのだが、謎の緊張感が体をまとい、グッズを買ってはトイレと喫煙所を往復したり終いには足が震えていた。自分のライブか!とツッコミを入れたくなった。
開場後、スマホの電源を落とし特別なケースに入れさせられた。双眼鏡なども禁止。席に座ってから前席の男性が双眼鏡を持っていた所を係員から注意。「ご本人様の希望でレンズを向けられたくないそうです」とのこと。
開演のブザーもなく、照明が消えたと同時にオーケストラが流れ、あろうことか係員のようなノリでディランが登場。フラフラと、ポツポツと。
今まで観たライブで一番素っ気ない登場だった訳だが、第一声が聴こえたと同時に歓声。やはり彼はトリックスターだった。
1時間45分。ノンストップ。MCは何曲目かの終わりに発した「オーセンキュー」。そして最後の辺りにメンバー紹介。
YouTubeで直近(というか2016年頃から)の実演は追っ掛けていたのだがアレンジが絶妙に変わっていた。何よりニューアルバムから9曲演奏したのだが、ほぼ原型を留めていないものもあり、サビになるまで「こ、これは一体・・・」状態だった。
客席で雑に録音されたものより、美しく録音されたアルバムより、ボブ・ディランは生が一番だと思い知らされた。
60年代から現代に至るまで功績や名声をほぼ放り投げて現在進行形で居るアーティスト。バンドマン、ミュージシャン。
終演後の列で男性が「なんの曲か分からなかったね〜」と話していたのだが、ディランは客に媚びない。客が自分史を振り返ろうとしても、そこにあやからない。
現在の、瞬間の解釈で曲を分解し演奏する。
バンドメンバーですらボブの手元を見ながら注意深く演奏するぐらいだ。客が理解できる訳がない。
訳がないけど、気まぐれで気難しい老人はきっと今日を誰よりも楽しんでいたように見受けられた。
はあ。フェスティバルホールでライブしたい!

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