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夏のちょんぼ

ぴちょんぴちょんからビュービューと音が変わり目が覚めた。
カーテンが行ったり来たりしている。
膝の裏側と首元がベタベタするので
ぼくは伸びかけた髪を持ち上げて汗を拭った。
その手で髪を縛ってみると涼しいが似合わない
今度の休みにやっぱり切りに行こうと思う。

祖母は別のところに住んでいて週末だけ自分の建てた家に帰ってきて
「まったく、みっともないったらありゃしない。切ればいいのに」
いらいらと何度も父にそう言った。
長いときは肩甲骨よりずっと下くらいあったと思う。
田舎でロン毛スタイルは親戚もザワザワしていただろう。
小学生のぼくもロン毛のお父さんはなんだか恥ずかしくて
なんで伸ばしているんだろう早く切ってくれないかなぁと思っていた。
「まああ!昼間っから呑んで!」
父は胡座をかいてゆらゆらしながら何か反論していたがよく聞き取れなかった。



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