「完璧」に終わる物語

感無量でぼーっとしている。
中高生のころにハマった小説シリーズ、『キーリ』全9巻をついに読み終えてしまったのだ。


『キーリ』の素晴らしい点はいくつもあるのだが、そのひとつとして挙げられるのが、およそ完璧な形で完結していることだ。

長編の小説や漫画などを追いかけたことがある人なら共感してくれると信じてるけど、いつまで経っても続巻が出ないということはままある。
また、完結までたどり着いたとしても、それがきちんと「完結」になっている作品は驚くほど少ない。

よくあるのは打ち切りとか行き当たりばったりの構成のせいで、雑に終わってしまうこと。
これはもう残念としか言いようがない。

あともう一つのパターンが、続編が作れる終わりになっていることだ。
最終回で突然主人公の子供が出てくるパターンとかね。「お、ワンチャン子世代の活躍描く続編あるかも?」みたいな。
(NARUTOとかハリポタとか典型的でしたね)
これは別に悪いことでもなくて、ファンなら嬉しかったりする。
実際に続編が出なかったとしても、「未来への希望」みたいなのを感じさせてくれて、良い終わり方だったと思えるだろう。

これらの終わり方に対して、本当に美しい「完結」をしている物語は稀だ。
続編なんて作りようのない、作ったら蛇足にすらなってしまうような終わり方。
それでいて、終わった後のその先を、読者が想像するだけの余白がある。
『キーリ』はこれにピッタリ当てはまるのだ。

他に当てはまる作品といえば、私の中では『BANANA FISH』とか『獣の奏者』かな。
ああ、あとは『図書館戦争』シリーズもそうかも(別冊は続編というよりは、長い後日談という解釈)。

こうやって並べると、完璧な結末って、割と悲しいタイプの終わり方が多いかも。
でも、悲しさの中にある種の希望があるというか、どうしようもない美しさがあったりして、ただの絶望じゃないのだ。

あー、やっぱり小説を読むのは良い。
しばらくは『キーリ』の余韻を噛みしめていよう。

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