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Noという勇気

先日、とある我々の事務所の中でも比較的巨大なリゾートプロジェクトが止まった。
正確には、我々Vo Trong Nghia Architectsが設計として関わるのをやめた形だ。

クライアントの度重なる変更の割に一切設計料を支払わないという残虐な仕打ちに耐え、一生懸命に仕事をしていた我がチーム。
しかしとうとう、先日ボスが”この仕事…続けます?”と問い、全員が首を横に振った時、歴史が動いたのである。

仕事がストップする/キャンセルになる、ということはベトナム、ないし東南アジアではよくあることのようだ。これは建築に限らないのかもしれない。理由の一つに、デザインに対する思想の文化的な違いがあるのではないか。
人件費が大変安いためにクライアントとしてはデザインに対してお金を払う文化が未だ希薄であり、デザイナーに対するリスペクトもそれに比例して大変希薄なように感じる。
(もちろんそんなクライアントばかりではないけれども。)
そういった心持ちのクライアントは平気で意見を変え、変更を要求してくるのだろう。

一方で、うちのボスはこんなことも言っていた。

"彼らは"建てる"という意思はすごい。だからこそ最後まで妥協せずに変更してくるのだろうね。我々も作品を建てられるのだから、感謝を忘れないように。"

うーむ。心が広い。

30秒前まで電話口でそのクライアントと喧嘩していたとは思えない。

2分後、そのボスの一言でこのプロジェクトは跡形もなく消滅した。

#建築
#ベトナム

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