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【薬剤師】モノ(対物業務)からヒト(対人業務)へについて

こんにちは。やまぶきです。
今回もnoteをご覧いただきありがとうございます。

2022年度調剤報酬改定では、薬剤師の業務について重点を対物から対人へ転換させることを目的に、対人業務に関わる評価が変更されました。具体的には、「調剤管理料の新設」「服薬管理指導料の新設」「調剤後薬剤管理指導加算の見直し」などです。これに伴い、薬局では対物業務の効率化がより重要になるでしょう。

今回は、モノ(対物業務)からヒト(対人業務)へについてまとめたいと思います。


1.対物業務から対人業務へとは?

薬剤師は「対物業務」から「対人業務」へシフトする。このフレーズは、2015年に厚生労働省が発表した「患者のための薬局ビジョン」で示されて以降、薬剤師界隈では広く知られるようになりました。

患者のための薬局ビジョンは、医薬分業の進展に伴う薬剤師・薬局を取り巻く環境の変化を踏まえたうえで、すべての薬局を患者本位の「かかりつけ薬局」に再編することを目的に策定されました。

医薬分業を実現するために必要な服薬情報の一元管理や継続的な把握、それに基づく薬学的管理・指導、医療機関との連携など、かかりつけ薬剤師・薬局としてのあるべき姿と、それに向かうための道筋が示されたわけです。

では、なぜ薬剤師の業務に変化が起きつつあるのでしょうか。

薬剤師の仕事といえば従来は薬の調剤がメインで、素早くて正確な業務が求められていました。しかし、調剤業務における機械化によって、全自動錠剤分包機や調剤監査システムなどが登場し、それによって業務効率が向上し、薬剤師の負担が軽減しました。その結果、薬の調剤といった対物業務から、患者に対する対人業務が重視されるようになったのです。

対物業務とは、主に薬の調剤やそれを渡す作業を意味します。その一方で、対人業務とは患者とのコミュニケーションが必要な業務を意味します。服薬指導や相談応需、薬学管理などが、主な対人業務です。特に薬剤師は、薬を通して患者や地域の健康に寄与することが求められます。このように、超高齢社会において重要な役割を担うと考えられているのが対人業務です。

2.対物業務とは?対人業務とは?

厚生労働省は、対物業務と対人業務を以下のように定めています。

<対物業務>

  • 処方箋の受け取りや保管

  • 調製(秤量、混合、分割)

  • 薬袋の作成

  • 報酬の算定

  • 薬剤の監査と交付

  • 在庫管理

<対人業務>

  • 処方内容のチェック(重複投薬、飲み合わせなど)

  • 医師への疑義照会

  • 服薬指導

  • 在宅訪問における薬学管理

  • 副作用や服薬状況のフィードバック

  • 処方提案

  • 残薬の解消

3.薬局の業務効率化で検討すべき内容とは

(1)IT導入補助金

IT導入補助金は申請すれば必ずもらえるものではなく、一般的な採択率は50%前後となっています。

実際の申請は、IT導入支援事業者との共同作業によって進められるため、仮に採択されなくとも、申請を進めていく過程のなかで診療所に必要なシステムが見えてきます。 システム化、ICTの活用を検討している医師、診療所は、申請を前提にシステム化の計画を立てる、ひとつの機会と捉えてもよいでしょう。

(2)調剤機器の活用

調剤機器を活用することで、業務の効率化や安全性の向上が期待できます。検討する際には、導入する機器の性能と金額とのバランス、薬局の規模、調剤機器の精度の低下を防ぐための管理の必要性などを考慮する必要があるでしょう。

厚生労働省の報告によると、2020年9月時点で分包機(散剤)を導入している薬局は、1,472件中1,298件(88.2%)、分包機(錠剤)は1,197件(81.3%)、薬袋プリンターは1,123件(76.3%)でした。

このような調剤機器などの導入によって「調剤業務時間が減少した」と答えた薬局は18.4%(無回答67.9%)、「対人業務時間が増加した」とした薬局が17.2%(無回答68.3%)に上ることもわかりました。有効回答のみで考えると、前者は約57%、後者でも約34%の薬局でその効果を実感しているようです。

同資料において、一包化された薬剤の種類と数量を自動判定する「一包化監査支援システム」の事例も紹介されています。この機器を導入した結果、30日分、12~13種類の内服薬監査に約30分かかっていたところ、5分程度にまで短縮されたとのことです。

調剤機器の導入によって、すべての薬局が調剤業務の時間減少や対人業務の時間増加を実感しているわけではないことをふまえると、システムは単に導入するだけではなく、薬局の課題にあった選定および運用が必要だとも言えるのではないでしょうか。導入を検討される際は、現状の課題を踏まえて適切な選択をサポートしてくれるシステムベンダに相談してみるのもよいかもしれません。

4.薬剤師以外の職員の活用

薬剤師以外の職員に可能な業務を任せるのも一つの方法です。厚生労働省が2019年4月に発出した『0402通知』には、薬剤師以外が実施できる業務の基本的な考え方が示されています。

そのなかでは、次の条件をすべて満たしたうえで「手順書の整備」と「薬事衛生上必要な研修の実施」を行えば、薬剤師以外の人物が調剤を実施しても差し支えないとされました。

  • 最終的な責任を負う薬剤師の目が実際に届く場所で実施すること

  • 薬剤師の薬学的知見も踏まえ、処方箋に基づいて調剤した薬剤の品質に影響がなく、服用した患者さまに危害が及ばないこと

  • 業務を行う人物による判断が必要とならない機械的な作業であること

具体的には、処方箋に記載された医薬品の必要量を取り揃える行為や一包化した薬剤の数量を確認する行為が該当します。

一方、次の行為は調剤には該当せず、薬剤師以外の人物が行う際に特別な要件を満たす必要はありません。なお、いずれの場合にも薬剤師による最終確認が求められます。

  • 医薬品を調剤室の棚に収納する行為

  • 調剤済みの薬剤を配薬カートやお薬カレンダーなどに入れる行為

  • お薬カレンダーを電子画像で確認する行為

  • 薬剤師による服薬指導を行ったうえで、患者さまのもとへ薬剤を郵送する行為

4.まとめ

薬剤師には、対物業務から対人業務への転換が求められています。対人業務に取り組む時間を確保するには、対物業務の効率化が必要です。調剤機器の導入や薬剤師以外の職員の活用などを検討しましょう。

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