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【薬剤師】薬剤師の職能拡大について

こんにちは。やまぶきです。
今回もnoteをご覧いただきありがとうございます。

新型コロナウイルス感染症のパンデミック、改正薬機法の施行などを経て、薬剤師の業務、薬局の果たす役割は大きく変化しました。転換期を迎えた業界はどこへ向かうのでしょうか。

今回は、薬剤師の職能拡大についてまとめたいと思います。


1.ワクチン接種

薬学部が6年制に移行したことに加えて、薬剤師は余ると言われているにもかかわらず、薬剤師の活躍できる場は狭く限定されています。

例えば、ワクチン接種です。アメリカをはじめとして、先進国のうち半数以上ではドラッグストアで薬剤師がワクチンを打つのは当たり前ですが、日本では認められていません。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が始まった当初、打ち手不足が課題とされ、医師や看護師以外の一部の医療従事者による接種が特例的に許可された一方で、薬剤師による接種は認められませんでした。というのも、現行の薬学教育の内容や薬剤師の業務領域を鑑みて、厚生労働省が頑として認めませんでした。確かに薬剤師はことワクチン接種において素人も同然なので、至極当然のことかもしれません。

しかし、先進国の中で遅れている薬剤師の教育を充実させるために、薬学部を6年制に移行したのに、薬剤師の役割を狭く限定しているのだから、とてももったいない話です。

まずは大学で特別な課程を修めたり、研修を受けた薬剤師から認めてほしいところです。

2.処方権

近年、世界各国をはじめ、日本でも「処方権」の在り方について検討がなされています。

現在に至るまで、日本では医薬分業の考えに基づき、医師が患者にどの治療薬を使用するかを決め、処方箋を発行しました。その一方で、薬剤師は、処方箋の内容に間違いがないか、安全に使用できているかをチェックした上で、調剤・交付を行う義務を担ってきました。

しかし、少子高齢化が進行し、医療を必要とする割合が増える一方で、医師不足や社会保障費負担の増加により、医療体制の見直しが求められるようになっています。

また、薬剤師に調剤権しか認められていない現状の医療制度では、職能の発揮に限界があることや、処方の変更が必要になった際に、軽微な変更であっても処方医への疑義が発生するため、手続き上の負担が大きいことが指摘されています。

そこで、薬剤師に処方権を認めることで、患者に薬を迅速に交付することができるようになることに加えて、薬局でワクチンを接種できるようになる可能性があります。実際、カナダの一部の州では、特別な研修を受けた薬剤師に対して、ワクチンを接種できる権限が与えられています。日本でも薬剤師が研修を受けることで、店頭でワクチン接種を実施できるようになるかもしれません。

なお、日本では薬剤師にまだ処方権は与えられていませんが、海外では薬剤師に処方権が与えられているところもあり、その権限の幅に応じて「独立型処方権」と「依存型処方権」という2つに大別されています。

独立型処方権とは、薬剤師が患者さんの診断、治療方針の選択に責任を持って、自ら処方箋を発行する権限のことです。その一方で、依存型処方権は、ある一定の条件下で、薬剤師が制限付きで処方箋を発行できる権限です。

また、病院によってはタスクシフトの一環として、各種書類作成などの業務や入院中の患者さんの処方業務の一部を、病棟薬剤師に移管しつつあります。

入院中の患者さんが服用している薬がなくなりそうなことに気付くのは、与薬を行っている病棟看護師や薬を管理する病院薬剤師です。しかし薬がなくなりそうな時に医師に処方依頼を行っても、日中は医師が外来中であったり、手術中であったりして、処方が後回しにされ、実際に処方されるのは夜になってからということが多々あります。

時間外に処方が発生した際には、薬剤師が調剤し、病棟へ薬が搬送され、病棟看護師が配薬準備を行う行為全てが時間外に行われ、影響が多職種へ及ぶことになります。そのため、一部の処方権限を病棟薬剤師に移管して、病棟薬剤師が医師の代わりに処方を時間内に行うことで、医師の負担を軽減することと同時に、医師以外の職種の業務を時間内に収めることが可能となります。

3.まとめ

IT技術の発達やAIの台頭で薬剤師の立場が危ぶまれたり、近い将来には薬剤師の数が充足したりするかもしれないと一度は不安を覚えた方も多いでしょう。

コロナ禍に入り、オンライン診療を中心にIT化が促進され薬剤師の業務を取り巻く環境は大きく変化してきています。しかし、薬剤師の業務は人の健康に関わるものであるため、需要が大きく減ることはなく今までと同じペースで薬剤師数は増え続けています。

薬剤師が高度な知識と技能を持ったプロフェッショナルとしてさまざまな業界での活躍を期待されていることは間違いありません。薬剤師の将来性を心配することはもちろん大切です。しかし、予測不可能な社会で活躍し続けるには、常に社会の変化に耳を傾け、適応し続けられるよう努力し続けることが今まで以上に大切になってくるでしょう。

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