音楽ビジネス生態系が変わり、レーベルが「サービス化」した今、TikTokにレコード会社が群がる理由
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音楽ビジネス生態系が変わり、レーベルが「サービス化」した今、TikTokにレコード会社が群がる理由

 海外のホットトピックをわかりやすく日本語で紹介してくれる、Jay君のAll Digital Musicの記事です。
 旬のメディアで人気が出てきたアーティストを掴まえようとレコード会社や事務所が鵜の目鷹の目で狙うという構図は何十年も前から続いていたことで、珍しいことではありません。業界人たちの「今は、〇〇だよねー」が、TikTokになっているというだけのことです。
 日本ではガラケー全盛時代に「魔法のiランド」からヒットが生まれたり、MySpaceが広まった時は、ライブハウスのブッキングマネージャーもレコード会社や事務所の新人開発担当もずっと、MySpaceを回遊して音源を聴いていました。

 ただ、この記事の趣旨はそこではありませんので、見出しだけ読んで誤解しないで下さい。後半部分がポイントで、時代の変化を明確に指摘しています。少し長いですが引用します。

 今の時代のアーティストは、新しいモデルと価値観を作って共有しているからファンや消費者から支持を集めているのであって、音楽業界が必ず求める常識や理屈とは合致するものではないのです。
 逆に、今も生き残るレコード会社の多くが身に付けている常識は、これまでのアーティストを支えるための常識です。それらが次の世代や5年先の将来まで続く保証はどこにも無い訳ですが、先を見越して行動しなければ、継続的な音楽活動とビジネスは生まれないでしょう。
 例えば、プラットフォーム発のアーティストが、従来のレコード会社の契約のように、アルバムリリースやテレビ露出、タイアップが必要かどうか、向いているか否か、あらゆる契約や戦略を考え直す必要もあります。決まりきった施策が当たり前と思っているレコード会社と契約するのは危険信号でしかありません。
 アーティストが選ぶ側、というスタンスで、音楽業界が決定権を持つのではなく、アーティストに最終決断を委ねるように、新人発掘や契約も柔軟に変わらなければならないはずです。

 インターネットの発達が進んで、ヒット曲は、ユーザーが「使っている」中から出てくるようになりました。UGMによるn次創作という難しく言わなくても、BGMで流すとか、楽曲に合わせて踊るとかいうことで、TikTok発のヒット曲は出てきています。アーティストとユーザーが直接つながって「共創」するというのはこういうことだったんですね。その前提といて「共鳴」はあるのでしょう。
 昨年のTikTok初の音楽の最大の話題は瑛人の「香水」でしょう。全く無名のアーティストの楽曲が、デジタルサービスによるユーザー発の大ヒットです。素晴らしい出来事なのですが、個人的には残念な結末でした。既存の事務所、レコード会社(エイベックス)に契約して、従来の業界の仕組みに収まっていったからです。もちろんご本人からしたら大きなお世話で、新人でNHK紅白歌合戦にも出演して大成功です。
 ただ、音楽ビジネス生態系が日本でも変わっていることを象徴的に示すような「事件」にもなり得たので、そういう意味で「残念」なのです。大きなお世話ついでにもう一つ加えると、あのタイミングでの契約は、おそらく、直接的に得ることが見えていた数千万円くらいの金額を、契約したことでレーベルや事務所の収益になったことでしょう。その分、「メジャーデビュー」できて、紅白にも出て「親孝行」できたので、メデタシメデタシなのかもしれません。僕から見ると、今回の「香水」のヒットをキッカケに、セルフプロデュースで音楽活動する姿を見たかったのと思ってしまいます。そんな話をしていたら、事情に詳しい人から「山口さん、彼はこれで音楽やめるかもしませんよ。今はそういう時代です」と言われて、衝撃でした。音楽を続けることに価値があると思いこんでしまっている僕たちが既に古いのかも知れません。確かに、自力で掴んだ瑛人は、いつ音楽活動を辞めても誰にも文句を言われる筋合いないですね。

 メディアの民主化、UGMの隆盛によるユーザー発のヒットは、従来のアーティスト活動のあり方も変えていくのでしょう。頭は柔らかくして、現象をフラットに見ていかないといけませんね。
 音楽ビジネスの決定権は音楽家個人が握る、責任を持つ。そんな時代が始まっています。

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山口哲一:エンターテック✕起業

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起業家育成と新規事業創出のスタートアップスタジオStudioENTRE代表取締役/音楽プロデューサー/エンターテック・エバンジェリスト/大阪音楽大学特任教授/iU超客員教授/ブロ作曲家育成「山口ゼミ」「ニューミドルマンコミュ」主宰。著書多数