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「J-Popを訳詞で海外に」は短絡的。グローバル市場攻略は賢くやりましょう。


 新聞の記事なので、音楽に対する理解が表面的なのは仕方なく、音楽分野に注目していただいただけありがいと思いますが、多くの人が「J-popも英語歌詞にすれば世界から人気が出る」と誤解されるのは困るので、触れておきたいと思います。
 NHK国際放送が英語番組として海外向けに日本の音楽を紹介する「J-melo」という番組で、リスナー向けの調査を行いました。僕も研究者の紹介などでご協力をした調査なのですが、非常に興味深い結果が出ています。2016年のデータですが、是非、ご覧ください。

 J-Meloのリスナーが一番関心があるのは「日本語」だという結果です。日本の曲が好きな人は日本語の響きが好きだそうです。英語歌詞にすればOKと思ってしまうのは短絡的な発想です。
 もちろん英語は大切です。アーティストがコンサートのMCやメディアの取材、SNSの発信でその国の言葉を使えることはファンを増やしたり、関係を築くために重要です。ただ歌詞を英語にして歌うというのは、あくまで一つの、そしてそれほど有力ではない選択肢だと僕は思っています。

 「クールジャパン」が叫ばれるようになった頃の僕の定義は以下の通りです。世界のポップカルチャー市場の5〜7割が、アメリカ発のものだとして、残りシェアの中で、日本発のものがかなりやれる可能性があるという解釈です。端的に言うと「ハリウッド発以外のコンテンツの市場で日本発コンテンツが一位になれるかもしれない」ということです。この喩えで言うとすると、K-Popはハリウッドの発の市場の枠自体に飛び込んで成果を出し始めています。もちろん英語歌詞はマストです。日本もこの「ハリウッド枠」で戦うアーティストも、もっともっと増えてほしいですが、BABYMETALやきゃりーぱみゅぱみゅは、その外の枠で成果を出したと言えるでしょう。

 海外市場展開の戦略を考える際に、自分がやろうとしている作品やアーティストの特性と目標をはっきりさせることが大切です。スポーツになぞらえて考えるというのを拙著『新時代ミュージックビジネス最終講義〜新しい地図を手に、音楽とテクノロジーの蜜月時代を生きる!〜』の中で提唱しました。野球型、サッカー型、JUDO(柔道)型、相撲型の4つに分けていますので、詳細はこちらをご覧ください。

 グローバル市場を考える際のプロデュース戦略は、緻密さが必要です。英語圏以外の市場も沢山あります。海外=英語訳詞という安直な発想を、音楽に関わる人に持ってほしくないなとこの記事を読んで思いました。

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