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ふつうの日記 2021.09.23『ふたりで抜け出そっか、フリー素材学会』

・フリー素材

 初めてフリー素材をダウンロードした。「博士」の画像が急激に欲しくなったからだ。
 写真よりもイラストが欲しい。教科書の隅に描いてあるような、ぴんと人差し指を立てている博士がいい。「フリーイラスト サイト」で検索し、「オススメのフリー素材サイト10選!」みたいなサイトから適当なサイトを選び、サイト内の検索バーに「博士」と入力する。
 画面にズラリと博士が並んだ。三列縦隊に整列する何十人もの博士たち。博士たちは思い思いのポーズで私に何かを解説してくれている。黒板の前に立つ博士、指し棒を持つ博士、フクロウの博士、犬の博士、トラの博士……博士、博士、博士。おびただしい数の博士たちに圧倒される。中には「ショッキングピンクの液体が入った試験管を片手に、こちらをじっと見つめる博士」もおり、思わずたじろいでしまった。
 不思議な動悸に襲われつつも、私は運命の博士を求めてページを進めていく。これだけの博士がいても、イメージぴったりの博士にはなかなか出会えないものだ。指を立てていなかったり、体型がスマートすぎたり、若すぎたり、顔が可愛すぎたり、眼鏡をかけていなかったり、ヒゲをたくわえていなかったり……だんだん不安になってくる。本当は、私の理想の博士なんてどこにもいないのではないのか。私のこの孤独を埋めてくれる博士は、どこにも……。
 そのとき、一人の博士と目があった。小太りの体型、真っ白な髪、立派なヒゲ、真ん丸な眼鏡、おでこと口元の深いシワ、真っ直ぐすぎて怖くなってくる瞳、そして、ピンと真上を指した人差し指。
 彼だ、私には彼しかいない。私はすぐさまダウンロードし、クラウドに保存された運命の博士と見つめあった。二人きりで学会をこっそり抜け出してきた、そんな気分だ。これからよろしくね、私の博士……。
 博士の使い道はまだ決まっていない。でもまあいいか、これからのことは二人でゆっくり考えていけば……ね、博士。


・昨日

 昨日はなーんも言わずに休んじゃってすみません。バタバタしてただけで元気です!!


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