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あおり運転は必ず撲滅できる!

先月、警察庁の発表によると、あおり運転の厳罰化が盛り込まれた「改正道路交通法」が施行(昨年6月30日)された半年間で、「あおり運転」として摘発されたのは58件に上った。起訴され有罪となれば即免許停止。2年間は免許が取れなくなるうえ、3年以下の懲役または50万円以下の罰金(高速道路で停車させるなど、著しい危険を生じさせた場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金)に処される。


ご存知のように、あおり運転が社会問題化したのは、2017年6月に東名高速道路で発生した夫婦死亡事故。PAで駐車方法を注意され逆上した加害者が、通行を妨げる目的で被害者の前方に割り込み通行を妨害。追い越し車線で停車させられた所に、後方からきたトラックが追突した。この痛ましい事故を知った多くの人が怒りを覚えたに違いない。

実は当時の道路交通法では「あおり運転」の定義がなかった。前述の事故以降、警察も取り締まりを強化し、2019年には15000件(2017年の7133件と比較しても2倍以上)を超えたが、「車間距離保持義務違反」など軽微な罰則しか適用できなかった。その後、世論の後押しをうけ、政府は法案の作成を急ぎ、2020年3月に閣議決定。異例の“スピード成立”が図られたわけだ。


改正道路交通法では「あおり運転」を10項目で明確に定義。ドライブレコーダーの普及で証拠をもとに立証も可能となり、悪質なドライバーの検挙が着実に進んでいる。余談だが、あおり運転をするドライバーの多くは“運転を教えている”と思うらしい。例えば、高速道路の追い越し車線で譲らないドライバーに対して“高速の走り方がわかってない”と教えるために行うのだ。あおられる方にも問題があると言う方もいるが、この法律ではそこまで加味していない。今後、あおられた方が脅威と感じた時点で「あおり運転」が成立するため注意が必要だ。

話しは変わるが、飲酒運転の厳罰化も悲惨な事故がきっかけだった。2006年8月に福岡市の中道大橋で、飲酒運転した福岡市職員(当時)の男に追突された乗用車が博多湾に転落。同乗していた3人の子ども(4歳、3歳、1歳)が溺れて死亡した。私はこの痛ましい事故を忘れることができない。

翌年の2007年9月には、道路交通法が改正され、酒酔い運転の罰則が「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、酒気帯び運転の罰則が「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」へとさらに厳罰化された。また、飲酒運転で死亡事故を起こした場合、違反点数は55点(もちろん即免許停止)で、欠格期間(運転免許の再取得ができない期間)は7年間になった。

それ以上に、事故後の社会的な制裁も大きい。2010年に酒気帯び運転で物損事故を起こした京都市立中学の教頭は懲戒免職。その後、退職金の全額不支給は違法と裁判を起こすも、大阪高裁から「極めて悪質な行為」と断罪され逆転敗訴している。今では、飲酒運転をすれば、仕事を失う可能性があるなど“日常の生活が奪われる”と、容易に想像できるようになった。また、周りの人間に止められたり(もちろん飲酒運転の同乗者も罰則)、車での来店者は酒類の提供を断られるなど、「ビール一杯で人生が変わるなら止めよう」と社会全体に大きな抑止効果が働いている。

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私は「あおり運転」も必ずそうなると確信している。厳罰化により、刑事罰や免許取り消しなどの制裁を受けるのはもちろん、仕事や日常を失う可能性があるとの通念が抑止効果に繋がり、最終的に「あおり運転」は絶対に止めた方が良いとなるに違いない。

飲酒運転もあおり運転も、痛ましい死亡事故をきっかけに動きだした。二度と同じような犠牲者を出さないためにはどうするべきか。「あおり運転」のリスクが周知・徹底され、運転手の心に自制心が働くしかない。そんな日が一日でも早く訪れるように、また必ずくると確信し待ちたいと思う。


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