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ささやかな世界の中で

流れ星ひとつも 気付けなくても
君を見つけて 見つけてもらった僕は
僕でよかった

この言葉はBUMP OF CHICKENの新曲「Small world」の歌詞の一節である。


「Small world」を聴くと心のランプに火が灯り、彼女の顔が思い浮かぶ。


いろいろと下手くそな僕は
この道しか歩いてこられなかった
出来るだけ転ばないように
そして君に出会えた


僕はいつも物事をマイナスから考えてしまう性格だ。
「いろいろと下手くそな僕」というネガティブな言葉から始まることによって、僕自身と曲がリンクするような感覚になる。

不器用な僕だけど、君に出会えたことによって「希望」が生まれた。


まぶた閉じてから寝るまでの
分けられない一人だけの世界で
必ず向き合う寂しさを
きっと君も持っている
秘密のため息は 夕陽に預けて
沈めて隠していた事
どうしてわかるの 同じだったから


メンタルが落ち込んでいるとき、布団に入ってから眠るまでの間にネガティブなことを考えてしまうことがある。

3ヶ月前、一緒に暮らしていたハムスター(トトちゃん)が亡くなってしまった。
僕が寝ようとするとき、夜行性のトトちゃんは遊び始める。
毎日聞こえていたトトちゃんが遊んでいる音が無くなったとき、一人だったことを思い出した。
そうか、トトちゃんと寂しさはきっと一緒に現れていたんだ。

それから毎晩、一人だけの世界で寂しさと向き合っていた。
彼女の前ではその寂しさを一人だけの世界に隠していた。

しかし彼女は僕が寂しさを隠していることを分かっていたのか、話を聞いてくれた。
話すうちにトトちゃんとの思い出が溢れてきて、思い出と一緒に目から涙も溢れてしまった。
そんな僕のことを彼女は優しく抱きしめて「つらいよね。寂しいよね」と僕の気持ちに寄り添ってくれた。

その時はどうして僕の寂しさがわかるのか不思議だったけど、この曲を聴いて理解した。
きっと彼女も一人だけの世界で寂しさと向き合ってきたからだと思う

君だけの思い出の中の
君の側にはどうやったって行けないのに
涙はそこからやってくる
せめて今 側にいる

どうやったって知らない記憶を知ることは無理で、出会う前の君には絶対出会えない。
どんな台詞もきっと役に立たないだろう。
君だけの思い出の中の君の側には行けない。
いろいろと下手くそな僕にせめてできることは、いま側にいることくらいだろうか。


そうしたいと思うのは そうしてもらったから
何も喋らないのにさ
まんまるの月が 君の目に映る

あの日、君が僕の寂しさに寄り添ってくれたこと。
僕の寂しさごと全部抱きしめてくれたから、今度は僕がそうしたい。

月が綺麗なことに気付けたのは君のおかげなんだよ。
君がずっと上を見てたから。

流れ星ひとつも 気付けなくても
君を見つけて 見つけてもらった僕は
僕でよかった


流れ星ひとつも見つけられない僕はアンラッキーなのかもしれない。
それでもこの小さな世界の中で、大切な君を見つけて 見つけてもらった僕はそれだけでラッキー(幸運→幸せ)なんだ。

これからもお揃いの記憶を集めていこう。
ささやかな世界の中で。

🌕あとがき🌕

昨日、「Small world」のミュージックビデオが公開された。
それを見たら、ある朝の出来事を思い出した。


ある日の朝、朝食を買いに行くために家を出た。
同じタイミングで向かいのマンションから小学2年生くらいの女の子とそのお父さんがエントランスから出てきた。

「パパ今日もお仕事頑張ってね!」
「ありがとう。〇〇ちゃんも学校頑張ってね」
その会話の後に、親子は笑顔で『行ってきますのハイタッチ』を交わした。
親子の素敵な笑顔を見たとき、幸せな気持ちになった。


散らばった願いの欠片で照らされた夜も
どこかへ向かうパレードも 誰かの歌う声も
僕らにはひとつも 関係ないもの
一緒に笑ったら その時だけは全部
誰にも気付けないくらい ささやかな世界の中でも
僕らのもの

ミュージックビデオを見るまで、町ですれ違う人は僕には関係のない人たちだと思っていた。

しかしミュージックビデオを見てから、町ですれ違う人が他人ではなく隣人と思えるようになった。

今すれ違った人にはどんな小さな世界があるんだろう。と考えるようになった。


僕の中に小さな世界があるように、あの親子の中にも小さな世界がある。
きっと僕らは大きな世界の中の小さな世界で繋がっているのかもしれない。


読んでいただきありがとうございました。