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くるみん認定企業って?〜子育てをする女性にも男性にも優しい企業〜

企業のウェブサイトや求人サイトで、こんなマークを見かけたことはありませんか?

引用:厚生労働省「くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて」

これらのマークは「くるみんマーク」と呼ばれ、子育てサポート企業として厚生労働省から認定された「くるみん認定企業」だけに付与されるマークです。子育てをする女性にも男性にも優しい企業の証として注目されています。

女性にとっての20代は、結婚、出産、育児などライフステージの変化を見すえ、転職を考える機会が多く訪れます。

「せっかく転職するなら、結婚や子育てと両立できる会社がいい」
「ライフステージが変わっても働き続けられる会社は、どうやって探したらいいの?」
と考える人も多いのではないでしょうか。

今回は企業選びの参考として、くるみん認定企業を紹介します。

近い将来、転職を考えている人も、まだ具体的には考えていない人も、また男性にとっても知っておいて損はありません。ぜひ一度お読みいただければと思います。

くるみん認定企業とは?

くるみん認定企業は、厚生労働大臣から「仕事と子育ての両立サポートに積極的に取り組んでいる」と認定を受けた企業です。

くるみん認定企業は、「くるみんマーク認定基準」を満たす必要があり、認定されると「くるみんマーク」が付与され、自社製品やウェブサイト、求人広告などに付けられます。

「くるみん」という名前には、会社「ぐるみ」で子育て支援に取り組み、子どもが優しく「くるまれている」という意味が込められているそうです。

くるみんマークの種類と認定基準

くるみんマークには、くるみん、プラチナくるみん、トライくるみんの3種類と、これらに追加で付与されるプラスマークがあります。

認定基準は「トライくるみん < くるみん < プラチナくるみん」の順に厳しくなっており、マークのグレードが上がります。

くるみん

くるみんとは、10項目の認定基準をクリアした企業を、厚生労働大臣が認定する制度です。2022年4月末現在4127社が認定されており、年々その数は増加しています。

主な認定基準のポイントは次の通りです。

(1)次の①または②のいずれかを満たしていること。
 ①男性労働者の育児休業等取得率が10%以上であること

 ②男性労働者の、育児休業等・育児目的休暇取得率の割合が合わせて20%以上であり、育児休業などを取得した人が1人以上いること。

(2)女性の従業員の育児休業などの取得率が75%以上であること。

(3)フルタイムの従業員などの法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満であ ること。

(4)月平均の時間外労働が60時間以上の従業員がいないこと。

くるみん認定企業は、(1)のように男性への子育て支援も充実しています。また、(3)(4)のように子育ての有無に関わらず、すべての社員にとって働きやすい環境を整えるよう努力している企業であるとも言えるでしょう。

プラチナくるみん

くるみん認定企業の中で、より高い基準で子育て支援に取り組んでいる企業は、プラチナくるみんと呼ばれています。

プラチナくるみん認定企業は、2023年4月末現在549社ととても少なく、日本でトップレベルに子育て支援が充実している企業の証です。

プラチナくるみん認定を受けるためには、くるみんと共通の認定基準を含めた12項目の認定基準すべてをクリアすることが必要です。

プラチナくるみんだけに設けられた、より高い認定基準の主なものは次の通りです。

(1)次の①または②のいずれかを満たしていること。

 ①男性労働者の育児休業等取得率が30%以上であること。

 ②男性労働者の、育児休業等・育児目的休暇取得率の割合が合わせて50%以上であり、育児休業などを取得した人が1人以上いること。

(2)次の①または②のいずれかを満たしていること。

  ①出産した女性労働者のうち、子の1歳誕生日まで継続して在職(育児休業等を利用している者を含む)している者の割合が90%以上であること。

 ②出産した・出産予定だったが退職した女性労働者のうち、子の1歳時点在職者割合が70%以上であること。

トライくるみん

トライくるみんは、2022年4月の法改正でくるみん、プラチナくるみんの認定基準が引き上げられたことに伴い、創設されました。認定基準はくるみんと似ていますが、くるみんよりもやや基準が緩和されています。

くるみんの認定基準と異なる主なポイントは、次の通りです。

(1)次の①または②のいずれかを満たしていること。
 ①男性労働者の、育児休業等取得率が7%以上であること。
 
 ②男性労働者の、育児休業等・育児目的休暇取得率の割合が合わせて15%以上であり、育児休業などを取得した人が1人以上いること。

プラスマーク

プラスマークは、不妊治療と仕事の両立のための認定基準で、2022年4月に新しく創設されました。3種類いずれかのくるみん認定企業が、プラスマークの認定基準をクリアした場合、「くるみんプラス」、「プラチナくるみんプラス」、「トライくるみんプラス」とグレードアップします。

プラスマークの認定基準の主なポイントは次の通りです。

(1)次の①及び②の制度を設けていること。
 ①不妊治療のための休暇制度

 ②不妊治療のために利用することができる、半日単位・時間単位の年次有給休暇、所定外  労働の制限時差出勤、フレックスタイム制、短時間勤務、テレワークのうちいずれかの  制度。

(2)不妊治療を受ける労働者からの不妊治療と仕事との両立に関する相談に応じる担当者を選任し、社内に周知していること。 

転職活動でくるみんはどう活用したらいい?注意点は?

働きやすい企業を見分ける一つの目安になる

くるみん認定企業は、子育て支援に力を入れていることが証明されているため、転職者にとっては安心材料です。残業時間が少なく、育児休業が取りやすいなど、働く上でのメリットが多く、仕事と子育てを両立したい人にとって、企業を見分ける一つの目安になるでしょう。

「転職するなら子育て環境が整った大企業がいい」と漠然と考える人もいるかもしれません。けれども、くるみんマークは会社の規模に関係なく、様々な企業が認定を受けているので、これまで検討しなかった小規模な企業と出会える良いチャンスが期待できます。

くるみん認定企業への転職を目標にしてもよいですが、認定企業のレベルの高い取り組みを研究し、企業を選ぶ際の一つの判断材料にしてもよいでしょう。

あくまでも目安であって絶対ではない

くるみん認定企業が厚生労働省へ申請している数字は、あくまでも「会社全体」の実績で、実際は部署によってばらつきがあることも考えられます。

たとえば、女性が多い管理部門は育休取得者が多いけれど、男性が多い営業部門では取得実績が少ないというケースもあります。

転職面接の際は、自分が働く予定の部署の取得状況などを確認しましょう。くるみん認定企業は、子育てとの両立についての質問に、積極的に耳を傾けてくれるはずです。

また、数は少ないですが、くるみん認定企業の信頼性が疑問視される事例も発生しています。

くるみん認定を受けているにもかかわらず、実際の残業時間が認定基準をはるかに超えるケースなど、「制度の趣旨と実態が合っていないのでは?」という声があることも事実です。「くるみんマークがあるだけで優良企業」と判断するのではなく、自分にとっての優良企業であるかを十分に検討しましょう。

まとめ

くるみん認定企業は、女性も男性も長く働ける環境や制度が整っている企業であるという、一つの目安です。

転職活動における企業選びの軸として、くるみんを活用するケースが増えることで、これから制度を整える企業が増えていくことが期待されています。

転職を考えている人も、具体的には考えていない人も、まずはこのマークを目印に企業研究することから始めてみてもよいかもしれません。

■参考

厚生労働省「くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/kurumin/index.html

厚生労働省 「令和4年4月1日からくるみん認定・プラチナくるみん認定の認定基準等が改正されました!新しい認定制度もスタートしました!(令和4年6月作成)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/jisedai.pdf

厚生労働省 「くるみん認定、プラチナくるみん認定及びトライくるみん認定企業名都道府県別一覧」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/jisedai/kijuntekigou/index.html

厚生労働省 愛称「くるみん」に決定!!
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/02/h0216-3.html

厚生労働省「一般事業主行動計画を策定し、くるみんマークを目指しましょう!!」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/26a_004.pdf