太田記念美術館にいってきた
神宮前の太田記念美術館に行ってきた。
所用で帰省したので行ってきた。
太田記念美術館は、Twitterの#キュレーターバトルで知った。
NHKびじゅつ委員長というアカウントが行なっている企画で全国の美術館がお題に合わせて所蔵する作品を紹介する企画で、番組も制作されている。
お目当ては十二支を全部合体した変な生き物の絵だったのだが、見れず。(ポストカードは売ってた。買った。)
美術館というものは、常設展と企画展が同時に開催されているイメージだったのだがそうでもないらしい。
太田記念美術館は、地上2階と地下1階がてぬぐいや「かまわぬ」のショップになっている。
展示室の広さは、体感中学校の教室2つ分ぐらい。真ん中が吹き抜けていて部屋の中央には日本庭園にような石庭と2階へつづく階段がある。
床がカーペット敷きなので靴音を気にせずに済んだ。
展示は「闇と光 ー清親・安治・柳村」
明治初期から大正にかけて光線画という浮世絵を特集している。
12月18日までやってるので、ぜひ。
詳しくは公式の説明を読んでくれ。わかりやすく美しい文だから。
西洋画や写真の影響を受け、木版画で闇と光を表現しようとした人たち。
光線画というそうだ。
写真が撮れなかったので読んでてイメージしにくいざっくりとした文になるのだが、HPにもいくつか作品の写真があるのでみてほしい。できれば実物を。
まずこれを木版で???という驚きである。これ人の手で彫ってるんですか?
グラデーション??これ版画ですよね??という。
精密な線とぼかしという刷りの技術。木版画で光を表現するために試行錯誤したことが伺える。
闇と光を捉えようとしたというテーマもあり、基本的に風景画である。
建物や木々の表現が緻密で見事だった。後年になるほど線が洗練されてより精密になっていった。展示順は夜、夕、昼と、そして画家ごとに並んでいたので年代は作品ごとに前後するところもあるのだが、夜が明けるような展示順、素敵。
3人それぞれ
小林清親
試行錯誤と構図がおもしろい。遠近感と線の取捨選択。描き込まないことを意図
的にやっているように感じた。雨を白線で表現したやつがすごかった。
井上安治
建築物の描き込みがすごい。人物の描き込みもより細かい。ぼかしもむっちゃす
ごい。構図がよりモダン。
小倉柳村
夜の画がすごい。雲の描き方が良い。朝と昼は正直…なのだが夜の画がすごい。
変わり種
変わり種の浮世絵ということで、色を変えて同じ版で刷る「刷り違い」とニスを引いて光沢をつけ油絵のように見せる「ニス引き」という浮世絵が原画と比較して展示されていた。
刷り違いはだいぶ印象が変わる。輪郭線を墨色にしたり茶色にしたり、空の色を変えたりと試行錯誤していたようだ。線の掠れ具合などによって擦った順番を特定していておもしろかった。一度版を彫ってしまえば、こうした色の違いを試せるのも浮世絵、木版画のおもしろいとこだと思う。
ニス引きはセピア加工のような味が出る。艶も出てなるほど油絵の感じ。塗ってない方が好きだな。
コントラストが強いからか、全体を通して夜の画の印象が残っている。
雨の夜の画なんか特に良かったな。
ガス灯や提灯の光が地面に反射して綺麗だった。
全体をまわって1時間半くらいか?日曜日だからか人が多かった。通路が狭かったのと順路がほぼ一方通行なので、人の流れに従って急ぎめに見てしまった。
ゆっくり見たい人は平日とか遅めの時間が良さそう。ひとまわりがそんなにかからないので二周目行ったりね。
入り口に受付と併設でちっちゃなミュージアムショップがある。ポストカード集めが趣味なので、見たやつと目ぼしいのを買った。
今回の企画展ポスターにもなっている小倉柳村の「湯嶋之景」。構図がとても良い。男が夜の湯島の街並みを眺め、そばに控える人力車の人夫と思われる男。建物の障子から漏れる光。空の雲の表現がかっこいい。他の作品にもあったが、空に版の木目が透けてるのが良い。木版ならではだね。
小林清親の肉筆画だと思って買った「猫と提灯」。だって点描なんだもん。
これ木版らしい。嘘だ。いやおかしいて。35版?!彫り師誰なんだ…
やばすぎ…実物観に行こうねこれ。
十二支合体キメラのやつも買った。亥と未の要素が見つからない。
どこ?教えて…
あとかまわぬのショップにもよった。虎子石のてぬぐいがかわいい。
虎子石は浮世絵に登場した謎の生き物で、石に虎の足としっぽがはえてる。
顔もある。かわいい。美男子じゃないと持ち上げられないんだって。めんくい。
小さいが展示の順路、石庭と工夫のある建物、展示でとてもおもしろかった!
頻繁に展示替えもしているようだし他の企画展、合間の通常展?も見てみたい。
神宮前駅からのアクセスもよいので定期的に通うのにとても良い美術館だと思う。
次回
太田記念美術館と山種美術館が相互でチケット提示で100円割引きをやってるので梯子した。山種美術館は日本画と絵画の展示でこちらもおもしろかった。浮世絵と比較して考えたこともあるので、次の記事でまとめようと思う。
余談
ヘッダーの画像は小林清親。イケメンというかハンサムだよね。
俳優の中村蒼が小林清親にむちゃくちゃ似てる。
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