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読書記録 超訳国富論

★動機


私は公認会計士ですが、大学は文学部だし、選択科目は民法だったので、経済学はさっぱりです。
ただそれをリアルに言うのはちょっと恥ずかしいので、教養として知っておきたく。
有名な「個人個人が自分の利益を追求することによって、神の見えざる手に導かれるかのように社会全体の利益にもなっている」は、聞きかじったことがあるくらいの前知識です。

★要約


・ 国富論は、1776年にイギリスのグラスゴー大学教授だったアダム・スミスの著書で経済学の起源と言われる名著。当時の経済社会の問題を一つずつ取り上げ、それに対して処置を説く構成。

・ 当時のイギリスは産業革命が始まったばかり。アメリカの独立戦争最中。
イングランド王国がスコットランド王国を統合したのは、1707年でアダム・スミスはスコットランド出身だった

・ アダム・スミスの考え方は「個人的利益を追求すれば社会は幸福になる」と「共感や憐憫の情が安定した社会を作るための大事なスキームである」の両輪。後者は1759年著「道徳感情論」に記述

・ 国富論全編に共通している原理は、「国民全体が豊かにならなければ、国は豊かにならない」
扱うテーマは大きくは2つ①生産性の向上②適切な分配

・ どんな粗末な衣服でも多くの人々の技術が結集されている。
分業は高度な技術の集積であり、人々が安心して分業を円滑に進めるためには、取引の公正性担保が必要。
自由で公正な競争があれば、値段は原価に一定の利潤がプラスされたものに自然に落ち着く。

・ 国が豊かになるには
① 下層の労働者が社会の大部分を占めるので、労働者が豊かになるのが社会にとっての最善
② 労働者には必ず、家族を養えるだけの賃金を払う
③ 労働報酬が豊かになれば、子供の成育条件が改善され、勤勉な人口が増える
④ 勤勉な人が自己の利益のために最大限の研究と努力をする。優秀な国民がどれだけいるか、それが国の富を左右する
⑤ 独占(許認可制で新規参入を防ぐ)、慈善事業、公的な浪費は社会のためにならない
⑥ 税金はあらゆる階層から公平に。金持ちから多く税を徴収するのは不公平ではない

・ 教育を受けていなければ単純な仕事しかできない
経済や産業は日々発展し、求められる分業・仕事の内容は、時と共に変化する。
今までの仕事が無くなって他の仕事をしないといけないケースもある。
その時に十分な教育を受けていなければ、変化に対応できない。すると失業問題が悪化したり、産業の停滞を招いたりする
→ 技術革新で仕事の無くなった人が別の分野で仕事をし、社会に新しい付加価値をもたらせなければ、技術革新は社会経済の発展に寄与しない

★感想


本当に2時間ちょっとで読めました、タイパが良かった気がします(笑)
国富論の観点で見れば、金持ち父さん貧乏父さんは、金持ち父さんから税金を多く徴収できるよう税制を変更したら良いという話になります。
だって、金持ち父さんが社会の多数派になることはあり得ないという前提をおけば、貧乏父さん→貧乏息子となり、この循環では大部分の国民は豊かにならない=国は豊かにならないとなってしまう訳なので(ロバート・キヨサキ氏は例外ですが)
それとこの本の中にもありましたが、社会保険料は税金と捉えないと説明つかないですし、その社会保険料が健保組合だと給与収入にしか課せられないのは不公平感が強いと思います。
知識のある一部の人がどんどん富んでいく、そうでない人はインフレになっても、消費税率上がっても給与が増える訳でもなく家族を養えるだけの手取りを得るのも大変で、少子化に拍車がかかっていく〜そう考えると今の日本って国富から程遠いなぁと感じてしまいました。

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