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米炊き修行の話。

登山以外の趣味は?と聞かれたら、食い気味に「食べること」と答える。

皆さんは「孤独のグルメ」という松重豊さんが演じるゴローさん(中年おじさん)が背広でひたすら飯を食う、というドラマを見たことがあるだろうか。私の食への情熱はゴローさんと似ている。

特にシンパシーを感じたのが、白米を尊重する姿勢だ。
私はなるべく、白米にタレなどを染み込ませたくない。あのなんでも受け入れてくれるような器の大きさを感じさせる、真っ白な状態はそのままにしておきたいのだ。白米ありきでおかずが活きると思っている。好きな食べ物について選択を迫られた時は、いくらずるいと言われようと「白米とそれに合うおかず」と答えている。

「孤独のグルメ」のゴローさん

前置きが長くなったが、とにかくそれくらい白米に対しては尊敬と情熱を持っている。だから、山で美味しいお米を炊けるようになりたいと思うようになった。そうすれば、フリーズドライの味噌汁なんかを持っていくだけで、立派な山ご飯になるではないか。こうして、私の米炊き修行が始まった。

 
さっそくグッズを揃え、修行のための山行も決まった。
ただ当日の天気は雨で、山ではなく鍾乳洞探検に行くことになった。修行については、現地で近くの公園を探して行うことになった。

当日、高速を降りた辺りで公園を探し始めたが、見つからないまま目的地に着いてしまった。
困った我々は近くを散策し、雨をしのげてベンチがあるような場所がないか探した。そんなちょうどよい場所はなかなかなかったが、一台も停まっていない駐車場(屋根付き)が視界に入った。ここしかない…!と全員が思った。「誰にもみられませんように。」と祈りながら、グッズを広げた。

稽古場(貴重な屋根の下)

道中から吸水していたお米を取り出す。お米たちは白っぽくなり膨らんでいた。その姿は、普段炊飯器に入れるときは全然着目していないもので、なんだか嬉しくなった。こういう一つ一つを丁寧に感じられるのがアウトドアの良さだ。

細かい指導を受けながら修行が始まった。
まずはメスティンにお米を移し、水を追加する。中火で沸騰を待ち、吹きこぼれたら弱火にする。そこから、吹きこぼれなくなるまで火にかける。吹きこぼれなくなったら、火を止めて蒸らしに入る。
ここまでお米から手と目を離す瞬間はなかった。そんな手塩にかけたお米たちには愛着が沸いてきていた。

吹きこぼれる間は手で押さえて圧をかけるのが、美味しくなるポイント

蒸らしが終わり、ドキドキしながら蓋をとる。ホワホワと湯気がたちのぼり、ツヤツヤしたご飯が見えた。早速食べてみると、いつも食べている白米のご飯だった。

この私が生米からいつものご飯を作れた。感動に思わず、「お米じゃない?!」と叫んでいた。いやそれはそうなのよ、と周りに苦笑されたが無理矢理食べさせた。「炊けてるね。」と、ただそこにある事実しか言われなかった。

お米であることにびっくりした瞬間

こうして、炊飯できたことに対する感想に温度差を感じながら、駐車場の隅というシュールさ満点の修行初日は幕を閉じた。この日で早々に師匠から独り立ちしたが、米炊き名人への修行は続いていて、キャンプや山でせっせとお米を炊いている。
いつかゴローさん(松重豊さん)に私の炊いたご飯を食べてもらい、「ん、いける。」と言ってもらえる日を夢見て、腕を磨いていきたい。

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