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仕事のモットー──僕はこんなことを考えながら働いてきました

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今の若い人に通用するかどうかは知りませんが、僕はいろいろ仕事を重ねて行くうちに、こんなことやあんなことに思い至りました、という感じの寄せ集めです。
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#はたらくってなんだろう

僕がサラリーマン最後の日に語ったこと

2022年6月30日を以て株式会社毎日放送(MBS)を雇い止めになりました。 たまたまその日が定例の会議の日で、その席で挨拶めいたものを求められ、少し喋りました。以下はその時の内容を思い出しながら、少し添削、加筆修正したものです。 When I'm sixty-four最近頭の中でずっと鳴っている音楽があります(こういうのを英語では earworm = 耳の中に虫がいる、と言ったりするようです)。 それは The Beatles の When I'm Sixty-fou

「仮配属」の効用 ~約40年前の新人研修で思ったこと、思い直したこと・その6

大昔の某在阪放送局での新人研修時代の話、6つめにして、これが最後かな。 前回も書きましたが、僕が会社に入った年は正式配属までの研修期間が非常に長く、3ヶ月もありました。その間には、これまでも書いてきたような座学もあり、 仮配属もありました。 仮配属は1~2週間ずつ、5つの部局に行ってやるオン・ザ・ジョブ・トレーニングでした。 全員が行かされる放送運営局では、物理的に電波を送り出す準備をし、不具合なく電波が流れているかを監視し、そのための泊まり勤務もやりました。 僕の

どこまでが「残業」か? ~約40年前の新人研修で思ったこと、思い直したこと・その5

大昔の某在阪放送局での新人研修時代の話、5つめ。 仮配属今もやっているのかどうかは分かりませんが、僕らの時代には「仮配属」というのがありました。 僕らの年は正式配属までの期間が長かったこともあって、全員が行かされる放送業務局(今は名前が変わっていますが、要は物理的に電波を送り出しているセクションです)以外に、1~2週間ずつ3つぐらいの部局に割り振られました。 その何番目だったか忘れましたが、僕はテレビ制作局の昼のワイドショー班に仮配属になり、曜日担当ディレクターの下につ

「配属希望」をめぐる思い出 ~約40年前の新人研修で思ったこと、思い直したこと・その4

大昔の某在阪放送局での新人研修時代の話、4つめ。 前3回は研修での座学について書きましたが、今回は少し趣向を変えて社報について書きます。 入社する4月を目前に社報の記事執筆の依頼がありました。毎年恒例の新入社員紹介記事です。人事部からいくつかの質問が提示され、それに回答する形で記事が完結する形になっています。 最初の質問は出身校とか専攻とか所属サークルとか自己アピールとかだったと思うのですが、最後に「希望する配属先」というのがありました。 僕はこれを読んでカチン!と来

「仕事に適性はあるか」を考え直す ~約40年前の新人研修で思ったこと、思い直したこと・その3

大昔の某在阪放送局での新人研修時代の話、3つめ。 人事政策というのは往々にしてぶれるものです。いや、人事政策には限らないかもしれませんね。 とにかく何が正解なのか見えない中で、従来やってきたものより良いものにしようと試行錯誤することによって、とかくぶれるのです。 そういうわけで我社の新人研修では外部の講師を入れている年もあれば、社員だけで賄った年もあります。私の年には外部の講師が入っていました。なんちゃらプロモーション・ビューローという会社の鈴木さんという講師でした。

「君は年間100冊の本を読むか?」と迫られて ~約40年前の新人研修で思ったこと、思い直したこと・その2

大昔の某在阪放送局での新人研修時代の話、2つめ。 前回も書いた各部副部長クラスを講師とした座学。今回はテレビ制作第1部(だったかな)の副部長の話。後から聞いた話ではこの副部長は変わり者として局内で有名な人物だったみたいですが…。 彼は冒頭でこう言いました(みんな冒頭で何か“一発かまして”来るんですよねw) その年の十数名の新入社員のうち、手を挙げたのはたった一人でした。ちなみに彼女は社内結婚して退職した後、現在は翻訳家になっています。僕はどうだったか? 多分年間 20~

「視聴率とは何か?」とカッコつけて教えられて ~約40年前の新人研修で思ったこと、思い直したこと・その1

僕が大阪の放送局に入社したのは昭和の末期、大雑把に言って40年ほど前です。そんな大昔なのに、新人研修中に聞いた話ややったことなどでいまだに憶えていることがいくつかあります。 中にはすごくためになって、人生の指針と呼んでも良いほどのものになったこともあるにはあるのですが、逆に後から考えたらあれは何だったんだろう?みたいなことも少なくありません。 ここではむしろそういうことを何回かに亘って書いて行きたいと思います。いや、なに、反面教師だって立派な教師ですから。と言うか、すべて

はたらくってなんだろう

長い会社員生活をもうすぐ終えようとしている僕が今、若い人たちに向かって書いています。 僕は大学でマルクス経済学を学びました。 カール・マルクスのことを時代遅れとか時代錯誤とか失敗した予言者みたいに思っている人もいるみたいですが、資本主義の構造を初めて科学的に分析した偉大な学者です。ま、そのことに関しては今ここで議論するつもりはないのですが…。 で、僕はそんな風にマルクスを捉え、ある意味師と仰いできたわけですから、概ねマルクスが展開した論理に反駁するようなところはないので

そうか、君らはもう戦わんのやね

僕は時々会社で、「ここは怒ってもええのとちゃうか」、「ここでしっかり喧嘩売っとこうよ」みたいなことを言ってみるのですが、最近では大体はスルーされてしまいます。 これは多分、最近の若い奴は弱っちいとかだらしないとか、そういう一人ひとりの、言わば“個”の問題なのではなく、世の中全体が、人と人のつきあい方一般が、会社と会社の仕事の進め方の基本が変わってきているんでしょうね、きっと。 と思いました。 だから、僕が経理局長の作った紙資料を本人の前でビリビリに引き裂いたことがあると