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小説とかドラマとか映画とか

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他のマガジンに含めていた映画評や書評などを抜き出してここに独立させました。
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2024年6月の記事一覧

面白くない映画を観てしまうのは「失敗」であり「無駄」なのか?

年を取ってしまった今、若者との価値観や感じ方の違いについていろいろ考えます。例えば『映画を早送りで観る人たち』を読んだ際にも書きましたように、 ネタバレを読んでから映画を観に行くというような行動は、僕には信じられないものだったわけです。 彼らが言うには、とにかく「失敗したくないから」「つまらないものを観て時間を無駄にしたくないから」とのこと。 じゃあ、僕らの世代、と言うか、僕はどうしてそういうことをしないんだろうかと考えてみました。 もちろん僕だってハズレは掴みたくな

映画の収支予測は入場料の平均単価を何円で計算しているか?

今週の火曜日に映画『トノバン 音楽家加藤和彦とその時代』を観てきました。 これ、僕らの世代だと「見んとあかんやつ」なんですよ。いや、僕らの世代じゃなくても、加藤和彦という人は 1960年代後半から 21世紀にかけての日本のミュージック・シーンを語る上で絶対外すことのできない巨人ですからね。 でも、これから書こうとしているのは映画の内容ではなく、客層の話です。 加藤和彦のドキュメンタリですから、当然観に来ているのは彼の音楽をリアルタイムで体験した人たち──つまり、大体は僕