父親を語るときに村上春樹の語ること
僕がこれを読み始めた時に、多分僕と同じことを思った人も決して少なくはないのではないかと思うのだが、とても引っかかったのは、これは小説なのか事実(あるいはノンフィクションと言うべきか、随筆と言うべきか)なのか?ということだ。
登場人物も地名も全て実名のようだ。そして、村上の父親の生い立ちから死に至るまでが、詳細な年代記として記されている。だから、恐らくこれは事実であり、ノンフィクションであるのだが、しかし、極端な言い方をすれば、村上春樹が書いたものは全て小説になるのだ。
村