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「宇宙嵐」は、地球起源のプラズマによって発達する!

 10月31日の朝日新聞デジタルに、「スマホやGPSを乱す「宇宙嵐」 勢力強まる原因は地球だった」という記事が出ています。

 「太陽の表面で爆発が起きるなどして太陽風が強まると、地球のまわりの磁場が乱れて宇宙嵐(磁気嵐)が起き」、「上空ではオーロラが活発になるほか人工衛星に悪影響があり、地上ではGPSや携帯電話の障害、大規模停電などの恐れがある」のですが、「宇宙嵐は、太陽風で運ばれてくるプラズマ(水素イオンなど)が増えることで発達すると考えられてき」ており、通説では「太陽からきたプラズマが宇宙嵐を強める」とされています。
 「ただ、水素イオンが太陽から来たか、地球から出たものか見分けることができなかった」ところ、今回JAXAが、「JAXAの科学衛星「あらせ」、NASAの科学衛星「MMS (Magnetospheric Multiscale)」、太陽風を観測する「Wind」、ESA(欧州宇宙機関)の科学衛星「Cluster」の日米欧の科学衛星を組み合わせた解析を進め」たところ、

1.宇宙嵐が発達する際に内部磁気圏に存在するプラズマは、これまで考えら
 れてきた太陽風起源ではなく地球起源の水素イオンが主成分であること

2.さらに宇宙嵐が進行すると地球起源の酸素イオンが主成分になること

がわかりました。
 これは、「宇宙嵐発達時には地球起源のプラズマが内部磁気圏の主成分となり、宇宙嵐自体の発達に影響を及ぼしている可能性を示」しています。つまり、通説を覆す「「宇宙嵐」は地球起源のプラズマによって発達する」ということなわけです。

 これらの情報は、JAXAのホームページのこちらに出ています。また、英語論文は、Nature Communications に掲載されています。”The variable source of the plasma sheet during a geomagnetic storm”というタイトルです。

 今回「宇宙嵐」の発達原因がわかったことで、人工衛星、GPSや携帯電話の障害などへの対策が進むことが期待されます。


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