穴山梅雪の肖像画ならば、どこかに売られても足がつくと思うのですが。

 10月11日の中日新聞デジタル静岡版に、「<全国で文化財の所在不明> 静岡県では穴山梅雪の肖像画など21件」という記事が出ています。

 「都道府県が条例に基づき文化財に指定した美術工芸品のうち、151件の所在が不明となっており、静岡県での県指定文化財の美術工芸品288件(10日時点)のうち21件」が所在不明になっているということです。「内訳は刀剣19件、鎧兜1件、絵画1件ということなのですが、刀剣はそれほど大きなものでもないので、どこに行ったか分からないというのもありえそうですが、鎧兜はそこそこ大きいものですから、どこに行ったか分からないということにはなりにくいと思うのですが、どうなっちゃったんでしょう?「文化財と認識されずに処分されてしまった」というのは、文化財指定されていると知らないで、売っちゃったって意味なんでしょうか。

 所在不明となった理由が盗難とみられる伝土佐光吉筆の穴山梅雪(信君)の肖像画って、梅雪の墓がある興津の霊泉寺所蔵のものでしょう。盗難だとすれば、どこかで転売される可能性が高いと思われますが、そもそも梅雪の肖像って少ないですから、売りに出されれば目立つと思いますので、足がつきやすいと思うのですが…。
 土佐光吉と言えば、「源氏物語」を題材とした作品が多く、肖像画と言えば「足利義輝像」くらいなので、梅雪の肖像画は価値があります。

 文化財は持ち主が管理することが一般的で、それが伝えられている地元にあるのが一番良いのですが、ただ個人で管理するのが難しいのも事実です。適切な温湿度管理、虫や動物からも守らなければならないですし、今回のように所在不明になってしまうとどうしようもありません。
 ただ、これまでも現在まで残されてきた文化財は、残そうという努力の結果であって(たまたま残ったというのがないわけではないでしょうが)、残そうという努力が途絶えたものは淘汰されてしまうのが現実であり、そのようななかでも現存しているからこそ、より価値があるわけです。先人の努力の結果残ってきた文化財は、できれば次の時代につなげていけるようにしたいものです。


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