見出し画像

2023年ドラフト上位候補が目白押し!! 侍ジャパン大学代表候補強化合宿レポート【Vol.1】

最後までお読みいただき♡スキやフォロー、シェアをしてくださると、編集部の励みになります!!

2023年7月に開催される第44回日米大学野球選手権大会に出場する侍ジャパン大学代表候補の強化合宿が、12月2日(金)から3日間に渡り、愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムで開催された。44名の候補選手(右投手14名、左投手6名、捕手5名、内野手12名、外野手7名)が代表入りを懸け、その実力を大いにアピールした。

東京五輪金メダルメンバーの森下暢仁(広島)、伊藤大海(日本ハム)、栗林良吏(広島)、吉田正尚(オリックス)ら、多くのプロ野球選手たちも松山の地で汗を流し、その後の飛躍につなげてきたこの合宿。

ドラフト戦線を見据える上でも貴重な機会となっている。

昨年の合宿参加メンバーからもオリックス・曽谷龍平(白鷗大)、西武・蛭間拓哉(早稲田大)、阪神・森下翔太(中央大・外野手)の1位指名トリオをはじめ、日本ハム2位・金村尚真(富士大)、中日2位・村松開人(明治大)、DeNA3位・林琢真(駒澤大)、オリックス4位・杉澤龍(東北福祉大)、ヤクルト3位・澤井廉(中京大)、ヤクルト5位・北村恵吾(中央大)、ソフトバンク6位・吉田賢吾(桐蔭横浜大)、広島育成2位・中村貴浩(九州産業大)、ソフトバンク育成3位・木村光(佛教大)の計12人がプロへの扉を開いている。

【Vol.1】の今回は、「過去最高レベル」といわれる投手陣の中から、特に目を引いた選手をピックアップしたい。

20名全員が145キロ超! 中でも光る「1位候補」

「投手はみんなレベルが高いね」

これがプロのスカウト陣から発せられた合宿総括の第一声である。今合宿では20名の投手が2イニングずつ紅白戦に登板したところ、全員が球速145キロ以上をマーク。11月の下旬に行われた明治神宮野球大会出場チーム以外は、2カ月近く公式戦から遠ざかっているにもかかわらず、ハイレベルな争いが繰り広げられた。
 
そんな「過去最高レベル」投手陣にあって、「1位候補」2名は流石のパフォーマンスを披露した。

まずは2年連続の合宿参加となった松本凌人(名城大3年)。右サイドハンドから繰り出すストレートが最速147キロ以上の勢いで突き刺さる。ツーシーム、スライダーの切れ味も抜群で打者6人から4奪三振を含むパーフェクト投球。侍ジャパン大学代表・大久保哲也監督が「明治神宮大会でもよかった」というパフォーマンスを、そのまま坊っちゃんスタジアムに持ち込んでみせた。 

松本凌人(名城大3年)

修正能力の高さと引き出しの多さを示したのが細野晴希(東洋大3年)。ストレートは自己最速に6キロ及ばない149キロ。本人が「まったくボールが走っていなかった」と語る中でも、進藤勇也(上武大3年)の好リードに導かれ、内角を突きながら1安打3奪三振無失点でまとめた。「いつもは投げないインコースを投げて、右打者を抑えられたのはよかったと思う。冬の間に練習してインコースを使える幅を広げていきたい」と紅白戦後に手ごたえを語った細野。四国で芽吹いた学びの種が開花すれば、来年秋には松本とともに看板が「1位候補」から「1位競合確実」に書き換わるだろう。  

細野晴希(東洋大3年)

総合力が高い六大学・東都組

細野の他にも東京六大学リーグ・東都大学リーグ組は粒ぞろい。六大学組では「低めにストレートや変化球を投げることができた」と語る蒔田稔(明治大3年)が最速145キロながら打者6人から2三振を奪う。すると、池田陽佑(立教大3年)も智辯和歌山高時代から定評のあった重量感のある最速150キロのストレートを軸に6人を完璧に抑える。仙台育英高でのクレバーな投球が記憶に新しい伊藤樹(早稲田大1年)は最速147キロと当時から明らかに球速が上がり、左腕・尾﨑完太(法政大3年)も6人を無難に抑え、最速147キロと及第点の内容だった。

蒔田稔(明治大3年)
池田陽佑(立教大3年)

細野以外の東都組も持ち味を出した。紅白戦オーラス登板となったのが自チームでは守護神を務める常廣羽也斗(青山学院大3年)。女房役・進藤が「ストレートが強いし低めの伸びもある」と驚くスピンのかかった最速152キロで存在感を示せば、大栄陽斗(中央大3年)も仙台育英高の2年後輩・伊藤に将来像を提示するかのような最速150キロ。左腕・武内夏輝(國學院大3年)は2回49球を投げて2安打、2四球と苦心の投球ながら無失点。秋のリーグ最高殊勲選手に輝いた総合力の一端は示した。

常廣羽也斗(青山学院大3年)
大栄陽斗(中央大3年)

特筆すべきは、秋の東都大学リーグ1部・ベストナインの西舘勇陽(中央大3年)。花巻東高時代は典型的な「素材型」だったが、今合宿では常時クイックからの投球で最速151キロ、常時140キロ後半を計測。球速、安定度がさらに高まり「完全体」に近づけば、松本、細野に次ぐ「1位候補」に浮上する可能性を秘めている。

西舘勇陽(中央大3年)

「伸びしろ」を感じさせたその他の投手たち

実戦力の高い六大学・東都組に対し、その他の投手たちは「伸びしろ」を感じさせた。 関西地区では「人生ではじめての選抜チーム選出」と話した谷脇弘起(立命館大3年)が最速149キロをマークして、4奪三振無失点と上々。左腕・金丸夢斗(関西大2年)は普段から関西地区の大学野球を取材している記者曰く「リーグ戦よりもいい内容」で最速148キロ無失点も、球数40球と決め球の欠如が課題となった。 坂元創(九州共立大3年)は188センチ86キロから投げ下ろすスタイルで最速149キロ。下級生とは思えないバランスのよさが光る箱山優(日本体育大2年)は最速147キロを出し、2024年ドラフトの上位候補として期待される。 悔しい結果に終わったのは、秋の仙台六大学リーグ戦で29回を投げ防御率0.00の後藤凌寿(東北福祉大3年)。最速150キロとポテンシャルの高さは垣間見せたものの、2イニングス目に5失点。体の開きを抑えるフォームを習得し、来年は大舞台での結果で成長の跡を見せたい。

谷脇弘起(立命館大3年)
後藤凌寿(東北福祉大3年)

今回取り上げなかった4名の投手については、【Vol.3】で取り上げるので楽しみにお待ちください!!

取材・文=寺下友徳