私が「空間除菌グッズ」を売らない理由

4、5年前からでしょうか。突然市場に現れた「空間除菌グッズ」

特にインフルエンザが流行りだす今頃から、爆発的に売れ出します。

<売れる理由>

私たちは「見えないもの」を恐怖に感じます。インフルエンザなどの「ウィルス」は、可視化できず、しかもうつると怖い・・とても不安になる要素です。

見えないものを「やっつけてくれる」そんなグッズがあるとしたら、誰でも欲しくなりますよね。

しかも、CMやパッケージには、まるで「見えるウィルスをやっつける」かのようなイラストが描かれています。

ここで、突然ですが「蚊」を想像してください。「蚊」は見えるものですが、正直できれば刺されたくない。だから「蚊を退治するグッズ」や「蚊がいなくなるグッズ」は、毎年当たり前のように売れています。

おそらくインフルエンザなどに対してもそんなイメージを持っているのではないでしょうか?(スプレーが当たれば、退治できるイメージ)

特にインフルエンザは「空気感染(正確には飛沫感染)」でうつる、と聞けば「空気を除菌すればいい!」と考えるのは、当たり前の思考です。


<本当にインフルエンザに効果があるか>

いきなり本題に入ってしまって申し訳ないのですが、そもそも「空間除菌グッズ」は、インフルエンザに効果があるのでしょうか?

空間除菌グッズの成分はほとんどが「二酸化塩素」です。私は店頭で「消毒薬は何がいいですか?」と聞かれた時には「消毒用アルコール」と「次亜塩素酸ナトリウム」と答えています。「二酸化塩素」は、そもそも消毒薬ではありません・・

国民生活センターの資料を貼っておきます。http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20101111_1.pdf

ここに興味深い記述がありました。

「全ての銘柄が除菌と消臭を目的としており、有効成分の効果と気中濃度については7社(6 銘柄)から回答があった。有効成分の多くは二酸化塩素であり、その他に塩素イオン、亜塩 素酸イオン、次亜塩素酸なども挙げている銘柄があった。有効成分の除菌の対象は、ノロウ イルス、インフルエンザ、大腸菌類、MRSA 等で、それらに対して除菌効果を発揮する気中濃 度は0.01~0.19ppmと幅があったが、根拠となるデータはないと回答したところや無回答の ところもあった。」

「根拠となるデータはないと回答したところや無回答のところもあった」

効果があるなら、無回答はありえません。また、データがない、というのもおかしな話ですね。

そうです。空間除菌グッズは、そもそも「インフルエンザウィルスに効果は不明」なのです。まあそもそも「効果云々」と言っている時点でおかしい。


<効果よりも気にしたいこと>

先ほど貼った、国民生活センターの資料にもありましたが、二酸化塩素を使った商品で問題になるのが・・

におい です。

塩素のにおいって独特ですよね?一言で言うと「薬くさい」のです。そして空間除菌グッズは「二酸化塩素が空気中に放出され続ける」のですから、そのにおいはずっとあるわけです。(実は放出量は一定ではなく、最初だけが強いとの記述もありました)

においに敏感な人は、それだけで吐き気がしたり具合が悪くなったりするでしょう。室内にずっといる人ならなおさらです。においで気分が悪くなるのは我慢しなければならないのでしょうか?


<安全性は?>

商品に何か問題が起きた時、すぐにその商品を回収したり、「危険だから使わないようにしましょう」と注意喚起するのは得意な日本人ですが、残念ながらそれが長続きしない、という欠点があります。

空間除菌グッズが問題になったことがある、と言ったら驚きますか?

同じ国民生活センターの2013年の資料です。http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20130430_1.html

首からさげるタイプの除菌グッズで火傷を負った消費者があとを絶たず、一時的に店頭からこのようなグッズが消えました。でも、「一時的に」でした。次の年からはまた、そんなことはなかったかのように、首からさげるタイプが販売され続けました。今年もあります・・


<問題なのはそれだけではない>

以前のダイエット記事にも書きましたが、このようなグッズは「購入しただけで安心」してしまうマイナスの作用があります。

ここでわざわざこのようなことを書かずともご存知でしょうが、インフルエンザウィルスに限らず、どんな感染症でも「免疫力」が重要です。例え目の前にインフルエンザ患者がいて咳をしようが、「免疫力」がしっかりあれば、発症しない=症状が出ない=インフルエンザウィルスを自分で退治できる、のです。

(だからR1、とか様々な乳酸菌などで免疫力を上げたいと思うのですよね?)

そして接触感染を防ぐことも大事ですね?手洗い・うがいは、そこから口の中に直接ウイルスが運ばれないようにするためのものです。ウィルスは目には見えませんが、「生きている生物=物体」なので、物理的に除去するのは有効なのです。


・・ここまで、なぜ私が空間除菌グッズを売らないか、お分かりだと思います。では私は例えば家族にインフルエンザの患者が出たら、どのように対処(除菌)しているか、書いておきます。

<家族がインフルに羅患した時の除菌、予防の仕方>

まず、家族がインフルエンザにかかった!(自分も含め)とわかった瞬間から、何本かのスプレーボトルに消毒用のアルコールを入れてすぐに使えるようにします。

羅患者が

1:トイレに入った時・・出てきたらすぐに「水を流すレバー」「ふた」「座面」「ドアノブ」にスプレーします。

2:食事をした時・・箸・茶碗などを洗う際、他の家族と別にします。特にコップは共有しないように注意します。

3:顔を洗うなどのタオル(トイレ時も)は羅患者専用を用意します。絶対に共有しません。洗面所のコップも!

4:基本は隔離・・小さい子供は別として、大人やそこそこ大きい子供は「隔離」します。食事・トイレ以外部屋から出さないようにし、家族への感染を防ぎます。ドアノブも消毒します。


いかがでしたか?不安から様々な除菌グッズを購入するのは心理としてよくわかりますが、不必要で効果がないばかりでなく、気分がすぐれないなどの健康被害もあるかもしれない。そのようなグッズを私は積極的に売りません。

お役に立てたら幸いです。





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