ホントにいたこんな女№2(安心できる女)

 
「私のお客さんって変わっている人が多くて、わざわざ選んでいる訳じゃあ無いんですけど・・・」
 と語る彼女は、都内の某ターミナル駅前で客を拾う街娼を20年前から生業として営んでいる。最近左の脚のヒザの皿を骨折し治療中のため、病院支給の3点杖を付きながら待ち合わせ場所に現れた彼女。愛嬌のある笑顔は人気お笑いコンビ、おかずクラブのオカリナにも似る。そんな彼女が街娼になったきっかけは意外なことだった。
「宝塚ファンでよく舞台を見に行くんですけど、友人と2人で、ある公演を観た帰りに、突然60歳代ぐらいのオジサンから、2万円払うからパンティーを売ってくれない? それをおかずにするからって声を掛けられて。最初ウチらは嫌だって断ったんですよ。警察行きますよって。じゃあ3万円は?って値段をつり上げてきて、それでも断ったら最終的には1人に5万円づつ払うってなったら、連れの友達がやる気になって、そのまま公園のトイレで、パンティー脱いで売ったことがあって」
 この衝撃的なパンティー即売体験からしばらくして、彼女は再びその場所を訪れたという。心のどこかでまた、パンツが売れるかもという気持があったというが、案の定次々と様々な男性から声を掛けられ、さっそくその日から、数人の客とホテルを共にしている。
「いまは料金が1回2万5000円で、だいたい11人ぐらいに固定しています。M男さんが2人に、超マザコン1人。それからスカトロ2人に聖水趣味の人が2人です。そして中尾彬さん風の渋い、哺乳瓶とオムツ持参の赤ちゃんプレイの人や、豊満好きな70代のお爺ちゃんや40代のサリーマンが3人です。彼等は私といて楽しいらしいんですよ。飽きないらしくて、安心できるって・・・」
 中でも一番頻繁に会うというのが7年前から関係を持つ超マザコン男性という。
「最初はお母さんから声をかけられて、ウチの息子を一人前にしてくださいって。聞けば未亡人のお母さんで、凄いお金持ちらしくて、毎回電話がかかってきて、運転手付きの車で親子2人でやって来るんです。息子は当時32歳なのに、何にも知らないから、まずはAV鑑賞から勧めて、指の使い方から見合いの仕方まで色々教えて上げました。息子とベッドで実習してから、親子で喫茶店でノートに書き留めながら復習する繰り返しで・・・それでも最近やっと女性とデートできるようになったみたいですけど」
 こんなマニア客達の要求を受け入れ続ける彼女の役割も多様だ。ある時は母親やカウンセラーに教師、あるいは介護士といった特殊な関係を客との間で築いてきた彼女。
 今ではこの仕事に面白味を感じているという。 それでも派遣時代は34~35万円あった月収も、現在では13~14万円と明らかに収入減なのだが。
「もう普通の仕事には戻れないんです。もともとエッチが好きだし・・・」
 それだけに現在治療中の怪我は仕事に大きく差し障っているはず。
「こんな体だから何のサービスもできませんからって一度お断りしたんです。でもみなさんどうしても会いたいからって、だから今はお話だけにしてもらっています」
 ひとえにこれも彼女の人望なのか、微笑ましい客との友愛関係。それだけに、今はただ怪我の快方を祈るばかりである。
 

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