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#黒潮ってなんだ? 4月


海中担当(?)の高久です。
 屋久島は山の島というイメージが強いので、 注目度は低めかもしれません。
 ですが、いいんですよ。
 海が!ほんとうに良い海です。
 屋久島に移住して早13年。
 いまだに縄文杉を見れずにいるのは、海の中が楽しすぎるから。
 ダイビングは海に潜ると窒素が体に溜まり、高所へ行くには少し時間を空けなければなりません。
 そんなこともあって縄文杉は 近くて遠い永遠の憧れ!?

 さて第一回目の記事ということで
 何を書こうか迷いましたが
 やはり屋久島の海といえば「黒潮」
 これを抜きには島を語れません。

 「黒潮が運んでくる暖かく湿った空気は、九州最高峰の屋久島の山々にふつかり多量の雨をもたらす」
 屋久島の紹介文にはこのような説明が よく使われます。 しかし、黒潮とはいったいなんなのだろうか?
 海に馴染みの少ない人には あまり身近な存在ではないのかもしれませんね。 海に潜るばかりの僕にとっては、 黒潮の接岸状況と海況が3度の飯よりも気になります。
 黒潮は幅およそ40海里(74キロ)、 流速は早いところで4ノット(約2.1m/秒)ある 世界屈指の暖流です。 隣接する海よりも水温が2度ほど高く、透明度が高いのが特徴です。
 赤道から北上してきた黒潮は台湾と与那国島の間、トカラ列島などを通り、屋久島の西側から島の南側をくぐり抜けるように蛇行して 本州の南岸を東へと通り抜けます。
 屋久島はその立地から日本の中でも 黒潮の影響を最も強く受ける島の1つです。

 黒潮の通り道は大まかには決まっているものの、 日々揺れ動いています。
特に本州南岸では、大蛇行と呼ばれる流路の大きな変化があります。
 特にこの7年間は前例のないほど長く続く大蛇行中にあり、海中の変化が著しく、植生や生きものたちに変化をもたらしています。
 屋久島では、例年7月頭ころから10月末までの約4ヶ月、黒潮が接岸します。
 特に真夏には黒潮が島を完全に包み込むように流れているので、島中どこへ行っても海の中は真っ青です。

 時期はどうかといえば、黒潮は寄ったり離れたりを繰り返します。
 感覚的には1年の約半分は黒潮が接岸していて、残りの半分は離れています。しかし、自然のことなので、はっきりしないことも多く、ちょこっとだけ黒潮が入ってきていたり、7月末になっても黒潮がこなかったりということもありました。
 黒潮が接岸すると僕は嬉しいのですが、黒潮が離れている期間も大切です。
 栄養が豊富な潮が、屋久島の生き物たちに恵みをもたらすからです。
 ここ最近、僕の住む志戸子近辺の海では 、微妙に黒潮が入っています。 今は黒潮が不安定な時期なので、海へ行くたびに、今日の海はどうだろう? と毎日ドキドキしています。
 黒潮が接岸するとオボソ(スマ)やシイラが 急に釣れるようになるのも黒潮の楽しみですね。
 ひとまず、今回はここまで。 黒潮の魅力と特徴のほんの一部しか紹介できなかったので、またの機会に書きたいと思います。

 以下はとっても参考にしている黒潮の予測サイト。特にJAMSTECの黒潮予測は凄いわかりやすいですよ。


…………
高久至/たかく いたる

屋久島に移住して13年。生まれは横浜。故郷は秋田。
東京農業大学出身。職業はダイビングインストラクター、写真家、作家。 本業が何かわからないが「海の人」でありたいと常々思っている。
夏の半年は屋久島ダイビングライフというお店をやっている。冬の半年は国内外を 旅して撮影を続けている。主なテーマは「海の生き物の生き様」「海の環境問題」 主な著作に「豊饒の海 屋久島(東方出版)」、「アザハタ王と海底城(アリス 館)」「おかえり、ウミガメ(アリス館)」「ハタハタ 荒海にかがやく命(あか ね書房)」などがある。
https://itarutakaku.com/