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#屋久島の鳥たち 1月

水辺の鳥を見に行こう

 冬になると安房川や永田川、栗生川、宮之浦川など大きな川に、カモの仲間が見られるようになります。冬の時期を屋久島で過ごすために渡って来ますが、10月頃から姿が見られるようになります。
 よく見られるのがカルガモやマガモです。カモのイラストや絵文字によく出てくる、頭が緑色で嘴が黄色いのがマガモです。カルガモは嘴の先だけ黄色くて体は茶色いカモです。

マガモの雄たちの行列
カモと言って思い浮かべるのがマガモ

 流れが緩やかな河口付近で見られ、川幅の広い永田川や栗生川は数十羽の群れで水に浮かんでいるのが見られます。川幅の狭い椨川でも、夏場子どもたちの水遊びでにぎわう飛込ポイントの辺りにも時々カルガモが見られます。
 カモの仲間は水から上の姿はのんびりしているように見えますが、水面下では水かきの付いた足をせっせと動かして移動しています。必死感を出さずにすいーっと浮かんで動いているカモたちは、いつでも冷静さを失わない姿のようで見習いたいものです。

椨川にやって来たカルガモ
永田川の河口の砂浜にはカルガモやマガモが休憩しているのが見られる。団子みたいでかわいい

 マガモやカルガモよりもだいぶ体が小さいカイツブリは、実はカモの仲間ではなくカイツブリ目カイツブリ科で全く別物です。屋久島では一年中いる留鳥となっていますが、やはり10月頃から見られるように感じます。
 カモたちの横に浮かんでいると、お風呂に浮かべるアヒルのおもちゃみたいに小さく感じます。濃淡の焦げ茶色の配色でびっくりしたような顔がかわいらしいです。カイツブリは身の危険を感じて逃げるときは、水面を走るようにして羽ばたきます。ぷかぷか浮かんでいたかと思うと、パッと潜水して魚をとらえます。屋久島の川は水がきれいなので、カイツブリが潜って動く様子も見えるのが面白いです

カモよりだいぶ小さいカイツブリ
水面を助走するカイツブリ

 全身黒っぽくて嘴と顔の前の部分が白い、水に浮かんでいる鳥がオオバンです。こちらもカモの仲間ではなくて、ツル目クイナ科で沖縄のヤンバルクイナの仲間です。よく見ると嘴の形はカモとは全然違うのがわかります。
 安房川の河口でもよく見ますが、船をつないでいるロープや岸壁に生えた藻をハムハムと食べている姿がかわいいです。オオバンは陸を歩く姿もよく見られます。以前、宮之浦の久本寺の前の通りを歩いているのを見た時は二度見してしまいました。陸を歩いている時に足を見ることができますが、弁足という足の指に水かきが付いている、水陸両用みたいな変わった作りでおもしろいです。

全身ほぼ真っ黒のオオバン
オオバンの足の指には特異な水かきがある

 川や海岸の大きな石や堤防などにじっとしていたり、大きく翼を広げたりして立っている真っ黒な鳥もいます。カワウやウミウです。ぱっと見区別がつきにくいですが、双眼鏡などで顔の部分をよく見ると違いがわかります。
 鵜飼いに使われる鳥で、水に潜って魚を丸飲みします。他の鳥に比べて羽の油分が少なく水に潜りやすいようです。そのため羽毛に水がしみやすく、時々翼を広げて羽を乾かしている姿が見られるのです。天日干ししているところなんですね。

ヒツオ(テンジクイサキ)を丸のみするカワウ。これぞ「鵜呑み」
羽を乾かすカワウ

 水辺の鳥たちも警戒心が強くて、近付くと飛び立ったり、すいーっと遠ざかって行ったりしてしまいます。
 今回紹介した河口だけでなく海岸の水辺にいるカモもいます。
 お近づきになりたいけれどなかなか遠い存在です。双眼鏡を携えていろんな水辺を回ってみたいところです。

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福留 千穂/ふくどめ ちほ
 鹿児島生まれの鹿児島育ち。県内の小中学校で養護教諭として勤めていましたが、ガイドを志し2014年に屋久島へ。屋久島の自然を案内する中で、野鳥の存在は避けては通れず、野鳥を覚えるために意識して見るようになったところ、野鳥のかわいさ、美しさ、たくましさに触れ、すっかり虜(とりこ)になってしまいました。
 現在はカメラを片手に、野鳥の姿や鳴き声を探して歩く「とりさんぽ」が生活の一部になっています。
 耳を澄ますと、いろんなところから鳥の声がする。
 よく見ると、いろんな鳥が近くにいる。
 そのことに気付いてもらえ、野鳥の生活に気持ちを寄せてもらえると嬉しいなと思い、屋久島で見られる野鳥の様子をお伝えしていきたいと思います。

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