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中枢神経系②(統合失調症薬、気分障害治療薬)

統合失調症薬


統合失調症に病因は不明であるが、ドパミン仮説やセロトニン仮説などが提唱されている。

定型向精神薬

クロルプロマジン、フルフェナジン

【作用機序】
①D₂受容体遮断作用
抗精神病作用:中脳-辺縁系(側坐核)のD₂受容体を遮断することで統合失調症の陽性症状(妄想、幻覚等)を改善する。
制吐作用:延髄の化学受容器引き金帯(CTZ)のD₂受容体遮断による。
錐体外路障害:黒質-線条体系のD₂受容体遮断による
高プロラクチン血症:視床下部-下垂体系の₂受容体遮断による。
H₁受容体遮断作用➞鎮静作用
ムスカリン受容体遮断作用➞口渇・便秘など
α₁受容体遮断作用➞起立性低血圧
体温低下作用➞視床下部体温調節中枢抑制で正常体温も下降させる。
副作用≫
錐体外路障害、乳汁分泌、口渇、便秘・起立性低血圧、SIADH(低Na⁺血症、低浸透圧血症、高張尿を伴う)
悪性症候群:40℃以上の高熱となり、昏睡、痙攣、呼吸困難などで死に至ることがある。
検査所見として、血中CKが上昇する。
➞(治療薬:ブロモクリプチン、ダントスピロン)

ハロペリドール、ブロムペリドール、スピペロン、ハロペリドール
デカン酸エステル

H₁、ムスカリン、α₁受容体遮断で起こる副作用はクロルプロマジンより弱いが、ハロペリドールはクロルプロマジンより強いD₂遮断作用をもつ
・ハロペリドールデカン酸エステルはハロペリドールのプロドラックで筋肉組織内で、緩徐に加水分解しハロペリドールに変換され効果を占めす。
その為、4週間間隔の筋注をし、統合失調症維持療法に用いられる。

スルピリド

【作用機序】
ドパミンD₂受容体遮断作用を有し、用量によって効能効果が変わる。
・高用量(300~1200mg/日):統合失調症
・中用量(150~600mg/日):うつ病
・低用量(150mg/日):胃・十二指腸潰瘍
(延髄の化学受容器引き金帯(CTZ)のD₂受容体遮断により制吐作用も示す。)
適応≫
統合失調症、うつ病・うつ状態・胃・十二指腸潰瘍

非定型向精神薬

SDA(セロトニン・ドパミン受容体遮断薬)

リスペリドン
ペロスピロン
ブロナンセリン
パリペリドン(リスペリドンの主活性代謝物) 

【作用機序】
D₂受容体及び5-HT₂A受容体を遮断し
統合失調症の陽性症状と陰性症状の両方の改善作用を有する。

≪副作用≫
・悪性症候群、遅発性ジスキネジア
・SIADH
・高血糖、糖尿病ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡

ドパミン部分刺激薬

アリピプラゾール

【作用機序】
ドパミン作動性神経伝達が過剰に活動している状態時には、D₂受容体を遮断し、ドパミン作動性神経が低下しているときは、D₂受容体を刺激することでドパミン神経伝達を安定化させる。
➞部分刺激であるため錐体外路障害高プロラクチン血症などの副作用が生じにくい
②5-HT₂A受容体遮断作用➞陰性症状にも有効
③5-HT₁A受容体部分刺激
④D₃受容体部分刺激作用

MARTA

オランザピン
クエチアピン
クロザピン

【作用機序】
SDAと同様にD₂受容体及び5-HT₂A受容体を遮断しする
その他、多くの神経伝達物質受容体を遮断し
統合失調症の陽性症状と陰性症状の両方の改善作用を有する。
特に、オランザピン、クエチアピンは、黒質-線条体より
中脳-辺縁系ドパミン作動性神経に選択的に作用する為、錐体外路障害を起こしにくい。

≪副作用≫
・高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡
・悪性症候群、遅発性ジスキネジア
・無顆粒球症、白血球減少症(クロザピン)
≪適応≫
統合失調症
治療抵抗性統合失調症(クエチアピン)
≪禁忌≫
糖尿病患者、糖尿病の既往歴がある患者

気分障害治療薬(抗うつ薬)


病態

気分障害の要因は、モノアミン仮説や受容体仮説、視床下部-下垂体-副腎皮質系の障害、サイトカイン仮説などがある。

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