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雑記帖

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日々思い浮かぶよしなしごとを書いた雑文をまとめる雑記帖です。
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2021年3月の記事一覧

呼び込みに弱い

先日チョコレートをいただいたお礼に、お菓子を買おうと街に出る。

たまさか通りかかったお店を見て、ちょっといい感じの外観だな、覗いてみようかな、と思ったところで、店員さんが出てきて、大きな声で呼び込みを始めた。

私は気後れをして、そのまま素通りする。

なぜかは分からないのだけれど、種類を問わず、呼び込みをしているお店を入りづらく感じて敬遠してしまうのだった。

少し先に行ったところで、おいしそ

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イヤな記憶から離れる

ぼっとしていると、昔のことが思い出されたりする。

そのまま記憶が甦るままにしておくと(そう、どちらかというと、体が勝手に再生しているような感じなのだ)、ときどき「ああ、そっちはあかんよ」と感じることがある。

なにがどうあかんのかは、その時点では分からないのだが、そのまま記憶を遊ばせておくと、かつて味わったイヤな気分(恥ずかしい思いとか苦い思いとか)が甦りそう、という予感のようなものだけが感じら

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砂浜の白い線

砂浜の白い線

散歩の途中、気が向くと浜辺を歩く。

水の色も、浜の様子も、訪れるたび違っているように見える。この日は、なんというのだろう、水が澄んで浅瀬の底が見えている。少し緑がかった水面は穏やかで、春の気配を感じさせる。

しゃらしゃらという小さな音が聞こえる。浜辺の細かい貝殻が、波に動かされて鳴る音だ。

砂浜の様子も行くたび違っている。あるときは、砂ばかりかと思えば、貝殻の破片が層を成していることもある。

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岩波文庫に(勝手に)帯をつけるプロジェクト#03

岩波文庫に(勝手に)帯をつけるプロジェクト#03

さて、なかなか帯をつくり始めるところまで辿り着かないのだけれど、もう一つだけ先に記しておきたいことがある。

なぜ岩波文庫に(勝手に)帯をつけるのか。理由が二つあると言った。

一つは、前回書いたように、岩波文庫の著者別番号のしくみが紆余曲折しているために、古い本だと番号が現在のものと違っていて、棚に並べる際などに不便だから、ということだった。

では、もう一つはなにか。写真を見ていただこう。

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岩波文庫に(勝手に)帯をつけるプロジェクト#02

岩波文庫に(勝手に)帯をつけるプロジェクト#02

なぜ、岩波文庫に(勝手に)帯をつけたいのか。まだ、その話に辿り着いていなかった。

理由は二つある。

一つは、岩波文庫の変遷に関わり、もう一つは、私の個人的な必要に関わる。まず、前者から述べてみよう。

前回説明したように、現在の岩波文庫には、帯の色による分類に加えて、著者を識別するための番号と、作品を区別する番号が備わっている。

改めて例を示せば、『与謝野晶子歌集』(改版第1刷、1943;第

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岩波文庫に(勝手に)帯をつけるプロジェクト#01

岩波文庫に(勝手に)帯をつけるプロジェクト#01

私はここ四半世紀くらい、岩波文庫を集めて読んでいる。
(なんでそんなことをしているのかについては、近日公開される別の文章に書いたので、ここでは省略する)

それで早速なのだが、岩波文庫について少し困っていることがある。

書棚に本をどう並べるか、ということに関わっている。

これは、岩波文庫を収めた棚の一部。棚が足りないので、手前と奥の二列で並べている。

といっても、いま考えたいのはそのことでは

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