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長かったうつ病との戦い

それは、11月のある日突然やってきた。

特に何かあったわけじゃない、悩みごともないし、ショックなことが起きたわけでもない。なのに、急にろうそくの炎が消えるようにやる気と言うやる気が体の中から消えてしまったのである。

朝も起きれずギリギリまで眠るようになり、いざ起きて仕事へむかっても働こうという気持ちが起きない。そのうちお客さんの前で笑顔になるということが出来なくなり、何を喋ったらいいかもわからずあんだけベラベラと喋れていた私がお客さんの前で無言になってしまう。本指名のお客さんには「どうしたの、元気ないね」と言われたり「大丈夫?疲れてる?」と心配されるようになってしまった。それを言われてしまうのが嫌で、私は当欠を繰り返すようになっていった。そしたら今度は「あんだけ真面目に出勤していたのにどうしたの?」とまた心配をかけてしまうようになる。

悪循環だ。

自分でもどうしたらいいかわからなくなって、途方に暮れた。いつもの源氏名の私になれない自分に、苛立ちさえ覚えた。でもどうしようも出来ないのだ。病院にマメに通って、沢山の安定剤が処方されたが、そのどれもが私を元通りにしてくれなかった。

どうしたらいいんだろう。もしかしたらずっとこのままなのかな、という不安が頭に過る。朝起きたら、そんな憂鬱な気持ちでいっぱいになる。また朝が来てしまうのか、また人に心配されてしまうのか、また私じゃない私で過ごすのか…。誰か他の人にでもなってしまったような気分だった。

休みの日は休みの日で、18時間以上眠り起きてからもただテレビをボーーッと見るだけ。noteを書こうとか、どこかに出かけようという気も起きない。起きているのも嫌になって、無理やり眠剤で眠りにつく、というのが休日の日課になっていた。たまには外に出ようと友達と遊ぶ約束をしても、やっぱり心から楽しめない。「ねえうわの空だけどどうしたの、いつもの萬ちゃんはどこいったの」と友達にも心配されてしまう。あんなに大好きだった酒も飲む気になれず、大好きなカラオケも早く終わんないかな、と時計ばかり見てしまう始末。

一体全体どうしちゃったのか。「いつもの○○じゃない」と言われるたびにいつもの私ってどんなんだったけ、と頭を抱える。私、今までどうしてたんだっけ、どうやって笑ってたんだっけ、どうやってたのしんでたんだっけ…のエンドレスループだ。

なるべく外に出たほうが良いよと医者に勧められ、飲みに出かけたりコンサートに行ったり、何か自分のテンションをあげることをいくつもしてみたが、どれもあまり効果はなかった。楽しいはずなのに、楽しくない。楽しみたいはずなのに、楽しめない。何でもいいから、もうお家帰って寝てたい。と思ってしまう。

そんな生活が、三か月ほど続いた。そうすると段々、こちらも開き直りの境地になって来る。「もうどうでもいいや、いつもの私じゃなくてもいいや、生きてるだけで偉いと思おう。」といった具合に。だからなるべくいつも通りに過ごすように努めた。きちんと目覚ましで朝起きて、鬱になってから全部放置していた家の掃除をはじめ、やる気がなくてもとりあえず出勤する、と言う風に。最初はないやる気を奮い立たせるのが大変だったけど、習慣にしちゃえば苦ではない。

そんな中、推しのコンサートの静岡公演に復活当選した。暗くて先の見えない毎日に一筋の光がさしたような出来事だった。毎日指折り数えて、あと〇日で推しに会える!!とうきうきして過ごした。そんな気持ちになったのは、いつぶりだっただろうか。とにかく私は浮かれていた。

そして当日、ハイテンションのまま静岡へ向かい、会場入り。席はスタンド最前の花道真ん前。この上ない神席だった。あまりに近すぎて、公演が始まる前は興奮で手が震えた。

そして開演。

間近で楽しそうに踊り、歌い、キラキラしている推しを見て、私の脳内からは久しぶりにアドレナリンが出た。「幸せだ…!」と久しぶりに思った。永遠に続けばいいのにと思ったくらい、あっという間の二時間半だった。


その日のコンサート以来、私の脳みそはアドレナリンを大量に放出し続けている。お客さんの前で笑い、ベラベラと喋り、あれは何だったんだろうと思うくらい楽しく仕事が出来ている。びっくりするくらいやる気に満ち溢れ、出稼ぎの七日間も乗り越えることが出来た。自分でも驚いている。

長い長い鬱病との戦いは、推しによって復活を遂げた。やはり推しと言うものは尊いのだ。私に生きる希望を与えてくれたんだもの。

そして休業中、沢山の「待ってます」の声が私を支えてくれた。ファンでいてくれる皆さんも推しと同じくらい尊い。本当にどうもありがとう。

役満ろ萬これにて復活。

またマイペースに更新し続けるので、どうぞよろしくね。



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