数字でみるアート市場
コロナ禍において、オンライン市場がグローバルで2倍に成長したアート業界。全体の市場規模や日本の状況など、備忘録として数字で概観してみたいと思います。
グローバルの市場規模
アート・バーゼルが公表したレポートに基づくと、2020年のアート市場は推計で501億ドル(2020年末のドル円が103円だったので、単純計算で約5.2兆円)でした。
前年が推計644億ドルだったことに比べると、2割以上の現象です。厳しい状況が伺えます。
しかし、その中でも伸びたのがオンライン市場でした。
2020年は124億ドルとなり、実に前年(2019年)の2倍以上の伸びを見せています。全体の2割程度がオンラインで取引された、ということでしょうか。この動きが今後どうなるのかは、注目していきたいと思います。
続いて、市場のシェアです。
前述の市場規模のうち、約4割をアメリカが占め、中国とイギリスを足せば約8割に達しています。
日本の市場規模
それでは、日本の市場規模はどのくらいなのでしょうか。
日本の美術品市場の規模は2,363億円だったようです(参考記事)。
なお、美術品市場とは、「国内在住者による美術品の購入」を推計対象としており、画廊や百貨店、アートフェアやオークションなどでの購入が対象です。
なかなかアートを購入する、というのは馴染みが薄いかもしれませんが(調査によると、過去3年間の購入率は約10%のようです)、美術館に行ったり、ポストカードを買うといった周辺も含めると、次のような市場規模になります。
ポストカードや図録の購入などの関連品を対象としているのが「美術関連市場」で、美術館などの入場料といったものは「美術関連サービス市場」に含まれます。それぞれ2020年は379億円、456億円でした。合計で、2020年のは3197億円です。
日本の市場の状況はこちらのWeb(ART MARKET REPORT)にとてもよくまとまっていますので、ぜひご覧になってください。
日本における芸術家(アーティスト)の人数
アーティストの人数については、国勢調査が1つの参考になるかと思います。
定義自体が容易ではないと思いますが、例えば、国勢調査の分類のうち、「彫刻家,画家,工芸美術家」「写真家,映像撮影者」という項目に絞って集計してみると、おおよそ10万人の規模です。人口比にして、0.1%に満たない規模ですね。
ただ、私がざっと調べた限りでは、国内には美術・芸術大学に通う学部生の方は約4万人いるようです(各大学の公表値から推計)。すべての方が芸術家になるわけではないと思いますが(そしてその道はとても厳しいものだと思うのですが)、もっとアートで活動する方が増えていくと良いなと、個人的には思います。(私はそんな状況になるといいなと考えながら、アートに関する起業を考えています)
NFTなど、これからが期待されるアート市場
以上、とても簡単ですが数字で概観してみました。
コロナ禍でイベントも開催できず、苦境に立たされているアート業界ですが、昨今はNFTで盛り上がりを見せ始めています。NFTの市場規模自体はまだ2億ドル程度のようですが(参考記事)、コロナ禍でオンライン市場が2倍に伸びたように、新しい動きを取り入れ、市場が活性化していくことを期待しています。
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