3/04、DPP4、SGLT2

今日は糖尿病治療薬について教わった。糖尿病治療薬にはビグアナイド薬•チアゾリジン薬•SU薬•グリニド薬•DPP-4阻害薬•α-グルコシダーゼ阻害薬•SGLT2阻害薬等があるが、本日服薬指導した患者さんの、ジャヌビア100mg 1T,ジャディアンス10mg 1T 分1の処方をもとに、DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬を中心として学んだ。背景として、この患者さんはH28 10月にHbA1c=7.0でジャヌビア50mgが処方され、H29 11月にHbA1c=7.3のためジャヌビア50mgをジャヌビア100mgに増量、H31 2月に血糖値が下がりきらなかったためジャディアンス10mgが追加となり、R1 5月には血糖値が下がっていたため、以降現在に至るまでジャヌビア100mg 1T ジャディアンス10mg 1Tが処方されている。ジャヌビアはDPP-4阻害薬で、主にグルカゴン分泌を抑制することで血糖値を抑えるため、ビグアナイド薬やSU薬に比べ低血糖の心配が少ない。この患者さんはジャヌビア50mgで効果不十分であったため100mgに増量したがそれでも効果不十分であった。しかしジャヌビアの極量は100mgであるためこれ以上は増量できないので、SGLT2阻害薬であるジャディアンス10mgが追加されたことがわかる。SGLT2阻害薬は腎での再吸収阻害により尿中ブドウ糖排泄促進作用により血糖値を抑えることができ、DPP-4阻害薬と同じく低血糖の心配が少ない。すなわちこの2剤を併用することで、低血糖のリスクを上げずに血糖値コントロール効果上昇が期待できる。
また、メトホルミン塩酸塩500mg 2T, ビルダグリプチン50mg 2Tを分2で処方されている患者さんがいた。これら2剤はエクメットという合剤として処方可能であるが、別々の処方であった。薬歴を見ると、この患者さんは過去に何度かメトホルミンの中止/再開を繰り返しており、このコントロールをしやすくするために合剤ではなく別々の処方であったと推察される。この処方とは別でミルタザピンを服用しており、ミルタザピンでは食欲亢進が見られることがあるため高血糖になりやすいことや、患者さんのコンプライアンスが、メトホルミンのコントロールに関与している可能性が考えられる。エクメットは分2で服用することからも、血中濃度の維持ができるため効くとされるが、夕の服用を忘れてしまう患者さんも少なくない薬剤だと教わった。
別の患者さんではマリゼブ 25mgの処方があった。マリゼブ(オマリグリプチン)はDPP-4阻害薬で、血中半減期は平均38.9時間と長く、肝代謝をほとんど受けず、腎臓で排泄されるときにほとんどが再吸収されるといったメカニズムから、週1回の服用で血糖値下げる効果を期待できる薬剤である。同機序の薬剤にザファテック(トレラグリプチン)があり、こちらも週1服用だが、血中半減期は平均18.5時間であり、オリマグリプチンのほうが半減期が長く、高い効果が期待される。週1服用であることから、コンプライアンス向上も期待される。しかしこの患者さんは前回処方時に1/15•22•29, 2/5の分のマリゼブが処方されていたが、本日(3/4)まで薬を切らしており、コンプライアンスとしてはあまり良くなく、薬が切れる前に受診するよう指導した。
薬の選択や量などは、医療機関側である程度設定することが可能だが、患者さんのコンプライアンスは向上を目指してもうまくいかないこともあることがわかり、マニュアル通りの服薬指導だけが服薬指導ではないことを学んだ。