2/27降圧剤全般。

今日は、高血圧治療薬について学んだ。降圧剤の第一選択薬はCa拮抗薬、ACE阻害薬、ARB、利尿薬、β遮断薬およびα遮断薬である。処方箋を見ていると、初日から通してCa拮抗薬(特にアムロジピン)はよく出る薬だと感じた。Ca拮抗薬は各種降圧薬の中で降圧効果が最も強力であり、かつ副作用が少なく、合併症の有無に関わらず他の降圧薬と併用しやすいため多くの症例で第一選択薬として用いられている。血管拡張作用があることから高齢者にも適しているとされており、実習先薬局ではご高齢の患者さんが多いためCa拮抗薬が多く出るのも納得である。また、Ca拮抗薬に次いでARB、次いでACE阻害薬もよく見られた。これらはアムロジピンと併用処方されている場合が多いと感じ、多くはないがザクラスやユニシアといった合剤も見かけた。ARB•Ca拮抗薬の合剤は服薬アドヒアランスの向上を目的とする場合が多いため、合剤が処方されている患者さんの情報を注意して読み取り、必要に応じて適切な声掛け(飲み忘れないように等)ができるように心掛けようと思う。Ca拮抗薬やARBに比べてACE阻害薬が少ないのは、ACE阻害薬は副作用で咳が出やすく、新型コロナウイルス流行期には咳はセンシティブな問題であり、こういった背景からもあまり好まれないのではないかと教えていただいた。
上記の降圧剤とは反対に、現時点までで利尿薬の処方は見かけていない。この背景には、先述したように実習先薬局ではご高齢の患者さんが多いことが関係していると考えられる。利尿薬は体内のNaと水分の排泄を促進し、体液量を減らすことで降圧するため、お手洗いが近くなったり、電解質異常をきたしやすいといった副作用リスクがあると教わった。特に低K血症は突然心停止するリスクがあるため、現在利尿薬は降圧剤の選択肢としてあまり上がってこないそうだ。
服薬指導した患者さんで、オルメテック(ARB)がエンレスト(ARNI) 200mgに変更になった方がいた。エンレストはサクビトリルとバルサルタンの複合剤で、バルサルタンのアンジオテンシンⅡ抑制による血管拡張作用に加えて、サクビトリルの活性代謝物がネプリライシンを阻害することで、レニン-アンジオテンシン系に拮抗する作用を示す。エンレストは、ARBとの併用が禁忌となっており、この患者さんもオルメテックに追加ではなく、切り替えという判断が行われていた事がわかる。また、エンレストはARBからの切り替えで、200mg 分1の場合は降圧剤として使用され、50mg 分2→200mg 分2の場合は慢性心不全が適応となる。このように通常のARBとしての作用を持ちながら、心保護作用もあるエンレストが処方されてたことから、心臓があまり良くない高血圧患者であることが予想されると教わった。
処方内容の変化=患者の変化でもあることが実感できる場面が多くなってきたため、アンテナを張ることを怠らないように努めたい。