4/09、心房細動、NOAC

今日は心房細動患者における、塞栓症予防薬について教わった。
患者: 70代男性。リクシアナ60mg/1T/分1/夕食後、ビソノテープ2mg/1日1回の処方。この患者さんは高血圧症で治療をしていたが、R6.4.6に不整脈が出たためラニラピッドが処方されたが、あまり改善が見られず本日、上記処方がなされた。ビソノテープ(ビソプロロール)は頻脈性心房細動に適応のあるISA(-)のβ遮断薬である。リクシアナ(エドキサバン)は、経口FXa阻害剤に分類される薬剤で、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制に適応がある。
心房細動とは不整脈の1つで、心臓内の電気信号の乱れにより心房が不規則に震え、心臓本来の正しい収縮と拡張ができなくなった状態である。心房細動が続くと血液がうまく拍出されず、心房内で血液がうっ滞して血栓ができやすくなり、脳梗塞や全身性塞栓症につながる恐れがある。この血栓の生成を予防するために抗凝固薬が処方される。
以前まで、抗凝固薬としてはビタミンK拮抗薬であるワーファリンが主であったが、2011年以降新規経口抗凝固薬(NOAC)が開発されてきた。ワーファリンは、脳梗塞予防効果は高いものの、比較的狭い治療域と用量に個人差があること、食事や他の薬剤の影響を受けやすこと、診察毎の採血による効果チェック、脳出血リスクなど、使用しにくいという問題があった。一方、NOACは食事の影響がなく、用量の個人の差が少ないこと、服薬して速やかに効果が得られること、脳梗塞予防効果はワーファリンと同等かそれ以上、頭蓋内出血が極めて少ないことから、ワーファリンに代わるより使いやすい抗凝固薬として使用率が高まっている。直接経口抗凝固薬にはダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンがあるが、心房細動でも適応は非弁膜症性に限られることや、腎排泄型であるため腎機能を考慮しなくてはならないといった留意点がある。エドキサバンでは通常60mg1日1回投与だが、クレアチニンクリアランス値(mL/min)が30≦CLcr≦50では30mgを1日1回経口投与、15≦CLcr<30では投与の適否を慎重に判断し、投与する場合は30mgを1日1回経口投与すること(添付文書)や、体重60kg未満では減量とある。この患者さんは高齢ではあるが、リクシアナ60mgが処方されていることから、体重も十分にあり、腎機能にも問題がないことが伺える。
二次疾患を予防する薬であれど、投与前の患者さんの状態、そして投与後の状態(出血リスクなど)を把握することで初めて適切な治療が行われると学んだ。