3/28 尿酸の薬

今日は、尿酸値下降薬について教わった。
患者: フェブリク10mgの処方。この患者さんは、R3.4に痛風発作を訴え、プレドニン、ナイキサン、レバミピド、モーラステープが処方された。R3.6に痛みが良くなってきたため、頓服でコルヒチン、ナイキサン、レバミピドに切り替え、7月にフェブリク10mgが追加された。R5.8にフェブリクがユリスに変更された(尿酸値の下がりが悪かったと推察される)。同年11月、ユリスが中止され、フェブリクに戻り、現在に至る。
尿酸値を下げる薬は大きく2種類あり、1つは尿酸の合成を阻害する薬、もう1つは尿酸の排泄を促す薬である。尿酸は肝臓においてプリン体から合成されるが、この産生が過剰な患者さんには前者が用いられ、尿酸の腎臓から尿中への排泄が低下している場合には主に後者を用いる。尿酸合成阻害薬にはザイロリック(アロプリノール)、フェブリク(フェブキソスタット)がある。ザイロリックは腎機能が低下した患者さんでは血中濃度が高くなり副作用のリスクが高いため、調整が必要であり、一方フェブリクは腎機能が低下した患者さんでも調整がの必要がなく、効果も比較的高く、1日1回の内服で済むという点から、腎臓や心臓に疾患のある患者さんではザイロリックよりも処方されることが多い。尿酸排泄促進薬には、ユリノーム(ベンズブロマロン)やユリス(ドチヌラド)がある。ユリノームは副作用として重篤な肝毒性が報告されたことで世界的には使用が大幅に制限された薬でもあり、添付文書上でも導入後少なくとも半年間は肝機能の慎重なフォローが必要であり、他の高尿酸血症治療薬が使用できない場合に処方される位置づけとなっている。ユリスは、ユリノームに比較して肝機能障害をきたすリスクが低く、処方される事が多い。しかし、両薬剤とも尿中の尿酸の濃度が上昇し、尿管結石を発症するリスクが増える為、水分摂取量を増やしたり尿をアルカリ性に保つ必要(野菜や海藻類を摂取、尿アルカリ化薬の併用など)がある。
また、痛風発作時に尿酸値治療薬を服用してしまうと、急激な尿酸値の変動により発作が増悪する可能性があるため、上記の患者さんのように痛みを改善してから、フェブリクの処方が開始される。導入後は同様の理由から、発作時にはフェブリクの服用を中止する必要もある。
機序的には尿酸過剰生成の患者さんには合成阻害薬、排泄低下型の患者さんには排泄促進薬が適しているが、排泄型でも合成阻害薬が効く場合もあるため、排泄促進薬の劇症型肝炎や尿管結石のリスクを考慮して合成阻害薬が用いられることがある。また、これらは尿酸値下降薬であり、高尿酸血症に伴う痛風治療薬ではない。痛みをとる治療ではなく、痛みが繰り返される原因である尿酸の値を下げることが目標であることの理解が大事であると学んだ。
座学では疾患-薬を主に学ぶが、実臨床では疾患-患者-薬であることを実感した。