かゆみなんとかしたい!夏の皮膚トラブル編(ステロイド有り部門) ~ 薬剤師が本音でオススメする市販薬②-1
体の調子が悪いとき、病院に行かずに、すぐに買って使える便利な市販薬。
しかし、果たしてその中から自分に合った商品を選べている方はどのくらい居るでしょうか?
本当に自分に合った薬に出会うためには「専門家に相談すること」です。
薬局に行って、薬剤師や登録販売者に自分の症状を説明して、適切な製品をすすめてもらうのが一番です。
ということを前回、連載の序章としてお話ししました。
シリーズ「薬剤師が本音でオススメする市販薬」。
第2回の今回は「夏の皮膚トラブル~かゆみ編」をお届けします。
肌の露出が増える夏は、紫外線による日焼けをはじめ、暑さと湿気による発汗で、汗に含まれる尿素やナトリウムによる炎症、虫刺されなどもこの季節ならではの皮膚トラブルです。
また、高温多湿の夏はカビなどの真菌が繁殖しやすく、体調不良、免疫力の低下が皮膚の感染症にかかりやすくなります。
今回も前回と同じ5名の薬剤師に、専門家の視点からオススメしたいアイテムを挙げてもらいました。
それぞれ「ステロイド有/無」で選択してもらいました。
まずは「ステロイド有り」部門から!
(推薦者:小豆田くら子/宇野さらら/日陰ましう/ふらんすぴあの/ゆきつばめ)
リンデロンVsシリーズ(シオノギヘルスケア)
まず、医療用医薬品の成分がスイッチして市販薬になったリンデロンに2人から推薦がありました。
■おすすめコメント
軟膏とクリーム剤の2剤型がある。
医療用と全く同じなので安心して使える。
ステロイドのランクは5段階中3番目なので、強すぎず、弱すぎずという位置で使いやすい。
感染のおそれのない湿疹、かゆみには虫刺されでもあせもでも何でもおすすめ。
(日陰ましう)
やっと市販の医薬品として発売された。医療用と同成分なので使用効果がわかっているのでお勧めしやすい。
夏は薬局で状態の確認がしやすいので症状に合わせて使用方法をお伝え出来ます。軟膏とクリーム剤とあるので患部の状態によって使い分けることができます。
「軟膏」は使用感がべたつくが、治るまでしっかり塗ることができる。10g入りで2178円。治るまで使用するのには十分な量だと思う。
(宇野さらら)
ペンソールSP(近江兄弟社)
■おすすめコメント
市販薬として販売可能である弱いステロイド(デキサメタゾン酪酸エステル)を配合。
ステロイドには拒否反応を示される方も居るかもしれないが、ステロイド外用剤は炎症反応の根本の部分をおさえるので、速やかに効果が出やすく、強い抗炎症作用を示すことによりかゆみを抑え、皮膚状態の悪化をおさえる。
たかが虫刺れとはいっても、搔き壊すことにより、伝染性膿痂疹(とびひ)や炎症性色素沈着など様々な皮膚状態の悪化を起こすことがあるので、虫刺され・湿疹などの症状がある場合には早期に使用することをおすすめする。
修復促進作用であるパンテノールも配合されているのも特徴的な製品。
キャップを開けて手を汚さずにそのまま塗れる使いやすい設計となっています。
(小豆田くら子)
メソッドプレミアムAS 軟膏・クリーム(ライオン)
9種類あるメソッドシリーズの中でステロイド製剤は5種類。
その中でプレミアムシリーズは、ステロイドであるプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含む2種類の炎症を鎮める成分の他、3種類のかゆみ止め、肌修復成分、殺菌成分、血行促進成分の計8成分を配合。形状は軟膏とクリームの2種類。各6g入1,628円(税込)
■おすすめコメント
手指首などの皮膚炎、湿疹、かぶれに対し、8種類の有効成分で素早くかゆみ、炎症を抑える事が出来るため、一番効くかゆみ止めを求められたらこちらを勧めます。剤型は掻きむしりの有無により、掻きむしりが有ればしみにくい軟膏、掻きむしり無ければべたつきにくいクリームを勧める。
(ゆきつばめ)
エクシロンプロ軟膏・クリーム(万協製薬)
鎮痒、抗炎症、血行促進、組織修復など8つもの有効成分を配合。主成分であるプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルは、体内吸収後に低活性物質に分解されるアンテドラッグステロイド。ステロイドに抵抗のある方や子どもにも使いやすい。
■おすすめコメント
他メーカーの全く同じ処方設計の製品と比較すると内容量は倍。躊躇せずに使用することができる。
(ふらんすぴあの)
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やはり専門家のオススメは説得力ありますね。
今回の選者の中にも、大手ドラッグストア企業にお勤めの方もおられますけど、決して会社都合や営業事情でセレクトしているわけではありません。
暮しの手帖みたいな企画です。
ネット記事的に長くなりそうなので、「ステロイド無し」部門は別のエントリーに分けます。
<本稿の監修>
坂口眞弓
博士(薬学)。みどり薬局、みすじ薬局、ゆうま薬局代表(東京都台東区)
著書に「ここが知りたかったOTC医薬品の選び方と勧め方(南江堂)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」など多数。