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暮らしの薬学【殺虫剤編】~④殺虫剤って何を選んだらいいの?

家庭用殺虫剤の選び方

家庭用殺虫剤は、害虫の生態(第2回目参照)を研究して害虫ごとに駆除しやすいように、成分や形(スプレータイプ、燻煙剤、シート…)で作られていますので、どんな害虫(ゴキブリ?イエダニ?ハエ?…)で、どんな状況で(家にいるのを家ごと/外から入ってくるものを入らないように/見つけてしまったものを今すぐ!)使用するかを考えて選びましょう。

スプレータイプ(エアゾール製品の)はそのノズル(薬剤を噴射する部分)にもいろいろな工夫があるんですよ。動き回るゴキブリには長~いノズルのタイプ、外から飛んでくる害虫には網戸に噴射しておくため1回で広範囲の噴射ができるように、冷蔵庫の裏とか隙間から狭いところにいる害虫には霧状の薬剤が出るようなノズルになっています。

さらに、殺虫剤ごとに使用するのに適した場所(逆に適さない場所を知っておくべき)があり、効果的に駆除するためには適した時期もあります。それらの情報は、「○○医薬品」と書かれた商品は、(例えばダニアースレッド第2類薬品など)必ずついている添付文書に、防除用医薬部外品とかかれた商品(たとえばアースゴキジェットプロなど)は、商品そのものに書かれていますのでよく読んで選んでください
安全性が高いからといって、たくさん使ったとしても効果が格段に高まるわけではありませんので使うときはその注意事項をよく読んでくださいね。

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エアゾール製品の正しい廃棄方法

それから、使い終わったスプレータイプの殺虫剤(エアゾール製品)は、穴を開けず、火気のない通気性のある屋外でガス抜きをして、シューっという噴射音が消えるまでトリガーを引いて抜いてから、地域の規則に従って廃棄してください。

Q. 医薬品、防除用医薬部外品、その他、どう違うのですか?

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Q.家庭用殺虫剤には医薬品、防除用医薬部外品、その他、明記がないものがありますがどう違うのですか?

ゴキブリ、ハエ、蚊などに対し使用する家庭用殺虫剤は、人との接触の機会が多いので、医薬品医療機器法(薬機法)などの対象であり、そこで分類が定義つけられています。

ピレスロイド類の燻煙剤やうじ殺しの粉末製剤は第2類医薬品です(ただし、うじ殺し液剤は、防除用医薬部外品)。また、有機リン系の劇薬「バポナ」は第1類医薬品になります。一方、作用性が緩和な蚊取り線香類やピレスロイド類のエアゾル剤は防除用医薬部外品になります。屋外にいるアリ、ナメクジ、ムカデなどを駆除する薬剤の多くは、ピレスロイド系、カーバメイト系の薬剤ですが、防除用医薬部外品ではなく、雑貨(雑品)扱いになります。また、ハーブ(ハーブの抽出液等)による虫除けで部屋に置くタイプは、芳香消臭剤の分類になります。すべて殺虫効果を期待する製品ですが、それぞれの分類があるので、薬局・ドラッグストアでは陳列場所が異なります。

まとめ・参考リンク・参考図書

ナナコ「4回にわたって殺虫剤を解説したけど、わかったかな?」

ミズホ「殺虫剤、子どもがいるし安全性は大丈夫か気になっていたんだけど、家庭で普通につかえるように設計されているんだね」

ナナコ「あとは、害虫が寄りつかないようにする環境づくりが大事だね」

ミズホ「あとは、私にとってG退治にベストな殺虫剤選びと、スプレー射撃の腕を磨かないと」

ナナコ「がんばれ~」

もっと勉強したい人に~参考リンク

生活害虫防除協議会 
アース害虫駆除なんでも事典

<参考図書>

▼殺虫剤・防虫剤のタイプいろいろ・・・『すっきりわかる!暮らしの中の化学物質大事典』
▼ノズルの形・・・『家庭用殺虫剤ここが知りたい!』

<この記事をまとめた人>

ミズホ

「薬局活用ガイド」編集部員。埼玉県在住。中2の長女、小4の長男の子育てをする二児の母。

<書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。