[詩] 上の学校に行けなかった父と母
戦争の記憶がある父と、あるようなないような母。
中学を終えて進学する子供は一握りの、そういう地域、そういう時代。
私は、恵まれた子供時代を過ごした。裕福ではない。でも、文学全集もピアノも一軒家の住まいも年に二回の家族旅行も、両親がいることも、高校の後は大学に行くという考えも、普通のこととして大きくなった。
私は、あまり人の目を気にしない、つもり。
人にばかにされるのも、ばかにするのもきらい、なはず。
でも、おとなになってから会う人に、言ったことがない。
父も母も、義務教育しか受けていないこと。
つけたしたくなる。
頭はいいの。成績もよかったの。
ただ、私のような家に生まれなかった。
私のような時代に生まれなかった。
とらわれているんじゃない、私?
虚栄心、偏見、決めつけへのおそれ?
上の学校に行った私の、ひけめ?
ごめん、おとうさん。ありがとう、おかあさん。
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