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今、大学生だったら、絶対「クソが」と言っていたであろう、恩師と呼ぶ気にならないセンセイたち トップ5  (1)

 若者言葉と言われるもので、私が一番苦手なのが、「クソが」という言い方。語感も元の意味も。言いたいことはわかるが、ほかの言葉で言えばいいのに、と思ってしまう。それでも、自分が、この時代の高校や大学生だったら、きっと使っていただろうとも思う。たぶん頻繁に。

大学時代をふりかえり、一番「クソが」と思うのは自分自身に対してだ。大学時代も授業も専攻の勉強もみな、クソだったが、なにより自分がクソだった。

クソがと言いたくなる教員を思い出すと、ちょっと違うが、類は友を呼ぶ、という言葉が浮かぶ。クソはクソを呼ぶ。

その割には、私は友人や先輩に恵まれた。このリストに入らない、感動するような先生にも、会ったし、バイトや教育実習で、印象深い経験もたくさんした。

このクソリストのセンセイたちも、それなりに、私の大学生活に色を添えたことになるのか。灰色だけど。

(書き出したら長くなったので、ひとりずつ、日を分けて投稿してみます。なんで、こんなものを?聞かないで。書いたから😆。)


5 モリマサ

3年生になって、この人のゼミに入った。いわゆる、指導教授。頭髪に年令を感じるが、顔もなかなか整った、話し方も歯切れのいい上、格好も振る舞いも、ダンディという言葉ぴったり。まったくの東京の人。東大卒。

正直、私はこの人のゼミを選ぶ理由がなかった。私は、自分の専攻もだが、大学自体が好きでなく、どうでも、なんでもよかった。卒論書くのにラクそうなのは、学科一発言力があると言われる、この先生。やることに型があり、踏襲すれば卒論はできる。そして、その自由のなさで、ゼミを選ぶ学生に、一番不人気だった。やる気がかけらくらいしかない私には、別にどうでもいい選択だった。

特に何を習った記憶はない。多分に、気構えのない自分のせいだが、そういう学生のやる気に火をつけてやろうという気概も気迫も、自分の指導教官と呼ばれる人から感じたことはない。そして、それは残念なことではあるが、別にこのセンセイをうらむ気持ちは、特にない。同時に恩師とも思っていない。

でも、一つだけ、センセイが教えてくれたことで、大きな印象を残すことがある。センセイの発した言葉で覚えているのは、それだけ。どれほど、こちらの興味をかき立てる授業をしなかったか、そして私自身がダメな学生だったかがしのばれる。

ゼミに入りたての時の、4年生も入れての親交コンパで、この先生が、セックスは、一晩で何回できるかという話をしてくれた。お目にかかったことはなかったが、先輩らは、この先生の奥さんは、ものすごい美人だと言っていた。

センセイは、きっぱり言った。
「7回できます!」「私は7回しました。」

私は、卒業近くに先生の奥様に一度だけ会うことがあった。評判のように、顔立ちの整った、品よく可愛らしい、お嬢さんのような雰囲気の、おとなしい物言いをする人だった。

その時に確信した。センセイが7回したことがあるとしても、その相手は、絶対にこの女性ではないと。

そもそも、一晩で7回できるものだろうか。この疑問はずっと残った。今はもう、その答に興味はないが、まだ若かった私が、若いと思っていた期間中ずっと、疑問に思ってしまうことになった。


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