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羅刹の紅(小説投稿)第八十八話Part2

〇あらすじ
普通を愛する高校生「最上偉炎」は拳銃を拾ってしまう。パニックになった彼を謎の女「切風叶」に助けてもらうが、町で悪行を繰り返す組織「赤虎組」に狙われることになってしまった。それに対抗するため偉炎は親友である「北条優雷」、さらには不登校でかつてこの国の財閥に君臨していた今川家の令嬢である「今川雪愛」と切風の四人で校内に「一般部」を結成。災厄の日常へと突き進む。
赤虎組は資金を確保するため偉炎たちが通う広星高校の地下金庫を襲撃することに決めた。その情報を手に入れた偉炎たち一般部はそれを体育大会当日に迎え撃たなければならなくなったのだ。一般部と赤虎組の決戦は近い・・・それぞれが準備を整え、ついに体育大会の当日の朝を迎えた。
 偉炎は最初の種目に出るまでの間、偵察も含め学校の外にある森に向かう。しかし、そこにはクラスメイトの安藤と小山がいた。

〇本編
「2人!!どうしてここに!?」
クラスメイトを2人で片付けてしまった偉炎の無礼さは置いておいて、彼は驚きながら森の中でヒソヒソとしている2人を見た。
「お前こそ!!なんでここに!!」
 もちろん、安藤と小山も驚く。
 ただ、偉炎は彼らの所持していた物を見て急に体が冷めてしまう。安藤と小山はいくつかのドローンを持っていたのだ。そして、ドローンの奥には小さい電子機器がいくつか並べられておりまさに彼が予想した’’相手ならする行動"であったのだ。しかも、それら全ては赤色のペンキみたいなものが塗装されていて虎のようなマークがチラホラ見つかる。これは確信と言ってもいいだろう。
「なぁ、、、それはなんだ?」
 偉炎は恐る恐る質問する。
「なんでもねーよ!!それより今見た物は全て忘れろ!!いいか!!頼むから誰にも言わないでくれ。」
 彼らは明らかに何かを恐れていた。それがなんなのかはもう判明している。
 偉炎は考えた、どうしたらこの状況を解決できのかを。もし、ここで偉炎が機械等を破壊したら、その時点で2人の未来がいいことにならないのは明確だ。だからと言って、これらを見過ごすわけにもいかない。もし、これらを駆使してあいつらが、攻めてきたら、、、、この学校は終わりだ。
(ここは一つ探りを入れるか、、、)
 偉炎は相手を挑発しないように言葉を選んだ。
「それって!お前たちのやつなのか!すげーー、今日の夕方とかの学校のイベントだったりするのか?」
「え?あぁ、そうだ。体育大会の運営から花火を打ち上げるからこれらをセットしておいてくれって言われたんだ。」
 お互いが嘘をつく。
「すげーな!!よかったらそれ僕にも手伝わさせてくれよ!面白そうだから!」
 そう言って偉炎は機械のことを調べるためその手を差し伸べた。
「いや!大丈夫だ!俺たちがなんとかやってやる。だから安心してお前は種目にでろ。」
 もちろん、それは拒否される。小山は偉炎の手を振り払った。
(どうする、、、このまま見逃して切風に報告するか?)
 彼は悩んだ。
(、、、いや違う。僕はこの学校と普通を守りにしたんだ!!ここで不安要素は、、、取り除く!!)
 英断が迷いかはわからないが次の行動が決まった。
「なぁ、2人とも、、、赤虎組って、知っているか?」
 この瞬間、二つの陣営が動き始めた。


まずは赤虎組の手下と化した安藤と小山、彼らは持っている機械器具を全て手に抱え込んで逃げ出した。
「あっ!ちょっと待て!!」
 偉炎もその後を追いかけようとした。安藤と小山はやや肥満体質である。そのため、ハンドボール部で鍛え上げた肉体を持つ彼が走りで負けることはまずないのだ。
 しかし、残念ながら相手の方が一枚上手であった。
「すまん!偉炎!!」
 そういうと、安藤が手に持っている何かを後ろに投げた。そしてそれは地面に着地するとともにとてつもない量の煙を発した。
「発煙弾!?」
 偉炎は手で口を押さえた。


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