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「ムシシリーズ(擬人化チックシリーズ)」オススメの読む順番【樋口美沙緒】

この記事では、樋口美沙緒先生によるBL小説「ムシシリーズ」のオススメの読む順番を紹介しています。

「ムシシリーズ」は、樋口美沙緒先生が白泉社花丸文庫から出している昆虫を擬人化したBL小説で、一部では「擬人化チックシリーズ」とも呼ばれています。

2024年現在の「ムシシリーズ」は、全部で10冊の文庫と2冊の短編集が刊行されています。

イラストは街子マドカ先生。

「ムシシリーズ」の最新刊は、2024年6月5日発売の『愛の嘘を暴け!』です。


「ムシシリーズ」とは?

「ムシシリーズ」は、昆虫の特性を受け継いで進化した人間を題材にしたムシの擬人化BLで、どの人間にも固有の起源種があり、起源種の種類によって社会的にも生物的にもランク分けされている世界を描いた近未来SFファンタジーです。

昆虫の生態を人間に落とし込んでいるところがおもしろく、種の違いや特性を細かく描き分けているところから樋口先生のムシへの愛が伝わってきます。

ムシを題材にしているとはいっても、ムシのグロいところや怖いところはリアルに描写されていないので、ムシ嫌いの方でも比較的手に取りやすいと思います。

筆者もムシは苦手ですが、「ムシシリーズ」を読んでからムシに興味を持つようになりました。

「ムシシリーズ」の世界では、能力が高く社会的地位も高い種はハイクラス、寿命が短かったり体が小さかったりする種はロウクラスと呼ばれます。

ハイクラスからロウクラスへの差別や偏見が色濃く残っている一方で、ロウクラスを好んで庇護したがるハイクラスがいたり、ハイクラスをメロメロにしてしまうフェロモンを出すロウクラスがいたりするのがおもしろいところです。

全体を通して体格差カップル、格差カップル、結婚エンド、男性妊娠描写、媚薬描写、独占欲の強い攻めが描かれていることが多いので、こういった設定が好きな方は特に楽しめると思います。

また、恋愛だけでなく家族愛や親兄弟との確執を描いている作品も多いので、シリアスな展開が好きな方にもオススメです。

「ムシシリーズ」を読むのにオススメの順番

「ムシシリーズ」は全ての世界観が繋がっているので、それぞれの主人公が他の作品にも登場するということが多いです。

刊行順に読んでいってももちろん楽しめますが、せっかくなら関係の深いキャラクターが登場する作品をまとめて読むのがオススメです。

ここからはキャラクターの人間関係ごとにシリーズを紹介していきます。

ざっくりとですが作中の時系列にも沿っているので、この順番で読めば時間の流れも違和感がないと思います。

※ここからはカップリングの組み合わせや人によっては地雷になりそうな描写も紹介しているので、ネタバレを回避したい方は目次だけご覧ください。

①ハイクラスの御曹司たちの恋模様

まずはハイクラスの中でもトップに君臨する御曹司たちが主役の作品です。

それぞれの作品の主人公同士が幼馴染ということで作品にも登場することが多いキャラクター達なので、続けて読むとより楽しめると思います。

1.『愛の巣へ落ちろ!』 2010年4月刊行

「ムシシリーズ」の記念すべき1作目です。

種族のカップリングとしては、蜘蛛(メキシカンレッドニータランチュラ)×蝶(ツバメシジミチョウ)。

人を信じられない不器用なモテ男が初心なヤンチャ男子に心を奪われる話です。

受けが性モザイク(雌雄モザイク)と呼ばれる、1つの体に男女両方の特徴があるという先天的な特性を持っています。

「ムシシリーズ」に登場する性モザイクの種は男性でも妊娠ができる一方で体が弱く短命であることが多く、先の見えない関係が涙を誘います。

俺様攻め、執着攻め、強気受け、高校生カップル、初恋同士、全寮制男子校が好きな方には特にオススメ。

攻めから受けへの無理矢理描写、攻めが他の男を抱く描写、受けが強姦される描写があるので、苦手な方はご注意ください。

『愛の巣へ落ちろ!』の2人は今後ほぼ全ての作品に登場するメインの主人公なので、1番最初に読んでおくのがオススメです。

電子化済み。

また、『愛の巣へ落ちろ!』は、南十字明日菜先生の作画で漫画化されていて、全4巻の電子書籍版にはそれぞれ電子限定の特典が付いています。

さらに、前野智昭さんと下野紘さんでドラマCD化もされています。

2.『愛の裁きを受けろ!』 2013年1月刊行

『愛の巣へ落ちろ!』に登場した七雲澄也の従兄弟である陶也が主人公の作品です。

種族のカップリングとしては、蜘蛛(ブラジリアンホワイトニータランチュラ)×蚕(カイコガ)。

『愛の巣へ落ちろ!』から約3~4年後が舞台で、弁護士志望の大学生×言葉を話せない病弱な少年の恋を描いています。

俺様攻め、健気受け、クズが純愛を知って心を入れ替える展開が好きな方には特にオススメ。

攻めが受け以外を抱く描写、受けが強姦される描写があるので、苦手な方はご注意ください。

電子化済み。

『愛の裁きを受けろ!』は、興津和幸さんと斉藤壮馬さんでドラマCD化もされています。

3.『愛の罠にはまれ!』 2014年9月刊行

『愛の巣へ落ちろ!』に登場した七雲澄也の幼馴染で寮長だったと、『愛の裁きを受けろ!』に登場した蜂須賀郁の義弟である篤郎の恋を描いた作品です。

ストーリー自体は『愛の裁きを受けろ!』の続編なので、この2作は続けて読むのがオススメ。

種族のカップリングとしては、カブトムシ(ヘラクレスオオカブト)×蜂(オオスズメバチ)です。

サイコパス攻め、メガネ攻め、美人受け、男性妊娠描写が好きな方には特にオススメ。

攻めから受けへの無理矢理描写と軽い監禁描写があるので苦手な方はご注意ください。

電子化済み。

『愛の罠にはまれ!』は、平川大輔さんと松岡禎丞さんでドラマCD化もされています。

4.『愛の星をつかめ!』 2018年3月刊行

『愛の巣へ落ちろ!』に登場した七雲澄也の幼馴染で副寮長だった雀真耶と、青木翼のルームメイトだった白木央太の恋を描いた作品です。

『愛の巣へ落ちろ!』から約13年後が舞台で、攻めが22年越しの片思いを叶える話になっています。

種族のカップリングとしては、蝶(スジボソヤマキチョウからツマベニチョウに突然変異)×蜂(ヒメスズメバチ)です。

執着攻め、大型わんこ攻め、美人受け、初恋が好きな方には特にオススメ。

攻めから受けへの無理矢理描写があるので苦手な方はご注意ください。

電子化済みで、電子書籍版には限定の書き下ろしSSがついてきます。※この書き下ろしSSは『Love Celebrate! Silver -ムシシリーズ10th Anniversary-』にも収録されています。

②庇護する者と庇護される者との共生関係

次に紹介するのは、700年続いている純血家系と絶滅が決まっている稀少種との恋を描いた作品です。

『愛の巣へ落ちろ!』から数年後の世界が舞台になっています。

5.『愛の蜜に酔え!』 2012年7月刊行

種族のカップリングとしては、日本最大の蟻(クロオオアリ)×絶滅危惧種の蝶(クロシジミチョウ)。

受けは定期的に攻めの体液を摂取しないと死んでしまうという設定と、受けが出す特別な体液が攻めにとって麻薬のような作用を引き起こすという設定があり、共依存の共生関係が描かれているところが魅力です。

すれ違いの両片思い、初恋同士、記憶喪失展開、純愛、健気受け、高校生カップル、全寮制男子校が好きな方には特にオススメ。

攻めから受けへの無理矢理描写、受けが強姦される描写があるので苦手な方はご注意ください。

電子化済み。

『愛の蜜に酔え!』は、小野友樹さんと村瀬歩さんでドラマCD化もされています。

③幼馴染同士の寝取り寝取られ関係

ここからは『愛の巣へ落ちろ!』の七雲澄也たちの数年後輩の話になります。

オオムラサキという、同種同士で寝取り寝取られをしてしまう種族を題材にした幼馴染たちの恋愛模様です。

6.『愛の本能に従え!』 2015年8月刊行

種族のカップリングとしては、蝶(オオムラサキ)×ナナフシ(ヤスマツトビナナフシとアニソモルファのハーフ)です。

受けが異形再生と呼ばれる性転換に失敗したという設定があるので、軽く両性描写(ふたなり)があります。

また、異様に性欲が強い種族×一度セックスしてしまうと3日に一度セックスしないと発情してしまう種族のカップリングなので、ラブシーンの多さと濃密さはシリーズ随一かもしれません。

不愛想攻め、健気受け、高校生カップル、同級生カップル、初恋が好きな方には特にオススメです。

寝取り寝取られを題材にしていることもあり、攻めが受け以外を抱く描写、攻めから受けへの無理矢理描写などがあります。苦手な方はご注意ください。

電子化済み。

7.『愛の夜明けを待て!』 2021年6月刊行

『愛の本能に従え!』から約10年後を舞台に、村崎大和の幼馴染である志波黄辺の恋を描いています。

種族のカップリングとしては、蝶(オオムラサキ)×蝶(キベリタテハ)。

『愛の本能に従え!』で大和を巻き込んで寝取り寝取られゲームをしていた幼馴染の2人の過去と未来が明かされている1冊で、切なさレベルはシリーズ中随一です。

愛を知らない攻め×情が深い受け、美人受け、幼馴染カップル、同級生カップル、初恋、セフレから始まる恋が好きな方には特にオススメ。

寝取り寝取られが題材の作品のため、攻めが受け以外を抱く描写、受けが強姦される描写、攻めから受けへの無理矢理描写があります。また、攻めに結婚歴があり子供もいるので苦手な方はご注意ください。

電子化済みで、電子書籍版には限定の書き下ろしSSがついてきます。

『愛の夜明けを待て!』は、土岐俊一さんと新垣樽助さんでドラマCD化もされています。

④国を超えた嫁入り物語(異国ファンタジー)

ここからは、ケルドア公国という小国に嫁いだ性モザイクを主人公にした異国ファンタジーになります。

時系列としては最も新しく、作中では『愛の巣へ落ちろ!』から約17年~22年が経っています。

8.『愛の在り処をさがせ!』 2016年11月刊行

種族のカップリングとしては、絶滅危惧種の蜘蛛(グーティ・サファイア・オーナメンタル・タランチュラ)×蝶(ナミアゲハ)です。

一国の主でありながら子供ができない絶滅危惧種のタランチュラに性モザイクのナミアゲハが日本から嫁入りする話で、子作りだけを目的とした関係から始まる切ないストーリーです。

受けが妊娠出産ができる男性なので、軽い両性描写(ふたなり)があります。

タランチュラと性モザイクの蝶という関係は『愛の巣へ落ちろ!』と重なる部分も多く、澄也と翼のその後も色濃く描かれている作品になっています。

異国ファンタジー、初恋、愛に飢えた者同士の恋、年の差カップル、男性の妊娠出産描写、男性カップルの子育て描写が好きな方には特にオススメです。

電子化済み。

9.『愛の在り処に誓え!』 2017年4月刊行

『愛の在り処をさがせ!』の続編で、結婚後の2人と子供の話がメインになっています。

『愛の在り処をさがせ!』と比べると甘々描写が増えているところが嬉しいですね。

電子化済みで、電子書籍版には限定の書き下ろしSSが付いてきます。※この書き下ろしSSは『Love Celebrate! Silver -ムシシリーズ10th Anniversary-』にも収録されています。

10.『愛の嘘を暴け!』 2024年6月刊行予定

「ムシシリーズ」の最新刊が2024年6月5日に発売予定です。

主人公は、『愛の在り処をさがせ!』『愛の在り処に誓え!』に登場した葵の主治医のフリッツとシモンの弟のテオとのこと。

どちらが攻めかはまだわかりませんが、レッドストレートタランチュラとレディバードスパイダーの蜘蛛×蜘蛛の年の差カップルになりそうですね。

テオは初登場時からスピンオフの主人公になりそうな雰囲気がありましたが、まさか相手がフリッツとは驚きです。

『愛の在り処をさがせ!』『愛の在り処に誓え!』に絡んだ内容になることが予想されるので、先にこの2冊だけでも予習しておくのがオススメです。

ムシシリーズ10周年記念ブック

「ムシシリーズ」は2020年にシリーズ10周年を迎えました。

それを記念して、アニバーサリーブックが2冊刊行されています。

『愛の巣へ落ちろ!』『愛の蜜に酔え!』『愛の裁きを受けろ!』『愛の罠にはまれ!』『愛の本能に従え!』『愛の在り処をさがせ!』『愛の在り処に誓え!』『愛の星をつかめ!』までの全8冊7カップルにまつわる短編や各種の企画が盛り込まれたファンブックになっていて、それぞれのカップルの10年後を描いた書き下ろしSSも収録されています。

現在では入手困難となっている特典小冊子や同人誌にて発表された短編も再録されているので、「ムシシリーズ」ファンであればぜひ手に入れたいアニバーサリーブックになっています。

特に、それぞれのカップルのその後を知りたい方は必読です。

『Love Celebrate! Gold -ムシシリーズ10th Anniversary-』 2020年1月刊行

収録内容

  • 街子マドカ先生のイラストポスター

  • 『愛の巣へ落ちろ!』の澄也×翼が登場する短編(各種特典、雑誌掲載作品、同人誌にて発表された作品、書き下ろしなど)

  • 『愛の蜜に酔え!』の綾人×里久が登場する短編(各種特典、同人誌にて発表された作品、書き下ろしなど)

  • 『愛の裁きを受けろ!』の陶也×郁が登場する短編(各種特典、雑誌掲載作品、同人誌にて発表された作品、書き下ろしなど)

  • 澄也、翼、綾人、里久、陶也、郁、兜、篤郎、大和、歩、シモン、葵、央太、真耶のキャラクタープロフィール(家族構成やカバンの中の必需品など)

  • 樋口美沙緒先生によるジャンル別キャラクターランキング(樋口先生のコメント付き)

  • 街子マドカ先生によるキャラクターラフ画

  • 樋口美沙緒先生ロングインタビュー

  • ファンが選ぶムシシリーズ名場面&名台詞

  • 樋口美沙緒先生と街子マドカ先生の対談PART1(PART2は『Love Celebrate! Silver-ムシシリーズ10th Anniversary-』に収録)

樋口美沙緒先生のインタビューでは、「ムシシリーズ」だけでなく『愛はね、』『愚か者の最後の恋人』についても語られています。

また、樋口美沙緒先生と街子マドカ先生の対談では、ケルドア公国のモデルとなっている国やそれぞれの作品の制作秘話なども明かされているので、裏話が好きな方は楽しめると思います。

電子化済みで、電子書籍版には限定特典として2020年2月9日に池袋虜で行われた「樋口美沙緒トークショー」の書き起こしが付いてきます。

『Love Celebrate! Silver -ムシシリーズ10th Anniversary-』 2020年1月刊行

収録内容

10周年企画として大々的に収録されているのは『愛の星をつかめ!』までの全8作7カップルの続編ですが、『愛の夜明けを待て!』『愛の嘘を暴け!』の土台となる短編も入っているので、志波と黄辺、テオとフリッツが好きな方も楽しめると思います。

また、樋口美沙緒先生と街子マドカ先生の対談PART2では、街子マドカ先生が表紙イラストに込めたこだわりなども明かされていて、改めて表紙をじっくり観察したくなります。

電子化済みで、電子書籍版には限定特典として「樋口美沙緒×街子マドカスペシャル対談番外編」が付いてきます。

まとめ

樋口美沙緒先生の代表作とも言える「ムシシリーズ」は、現在も新作が出続けている人気シリーズです。

ムシの擬人化ということで苦手意識を持ってしまう方もいるかもしれませんが、ストーリーはとても面白いので大丈夫そうなものから手に取っていただければと思います。

読む順番にはいろいろな意見があるかと思いますが、筆者のオススメは『愛の巣へ落ちろ!』→『愛の裁きを受けろ!』→『愛の罠にはまれ!』→『愛の星をつかめ!』→『愛の蜜に酔え!』→『愛の本能に従え!』→『愛の夜明けを待て!』→『愛の在り処をさがせ!』→『愛の在り処に誓え!』→『愛の嘘を暴け!』→『Love Celebrate! Gold -ムシシリーズ10th Anniversary-』→『Love Celebrate! Silver -ムシシリーズ10th Anniversary-』です。

樋口先生は脇キャラの隅から隅までカップリングを考えていると仰っており、シリーズにまだ登場していないムシの構想もあるとのこと。

読者からの「読みたい」の声が大きいものが本になりやすいらしいので、主人公にしてほしいキャラがいる方は編集部にお便りを送ってみるのもいいかもしれませんね。

また新作が出た際には追記していきます。


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