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2022年のカフェ納め

仙台にはお洒落なカフェが沢山ある。コーヒーの香り、スイーツの味、外観の佇まいや店内の雰囲気、店員や他の客とか、そういうものも少し楽しめるようになってきた。金銭的にも精神的にも余裕がなかった時期には考えられない。お店のこだわりに意識が向くようになったことは、大人になったなと思う瞬間の一つ。
自分一人でたどり着いた訳ではなくて、人に連れ出してもらうようになって、カフェに行くことが一つの楽しみになった。そのことはまた別の機会にゆっくり書こうと思う。2022年のカフェ納めはおひとりさまだったので、今日はその振り返り。ずっと気になっていた住所非公開、完全予約制の謎に包まれたところへ行ってきた。

shiroku(フランス菓子とコーヒー、ワインのお店)

https://www.instagram.com/_shiroku/?hl=ja

なんとなくインスタを漁っていたら辿り着いたアカウント。アンティーク風のお皿に並べられたスイーツたちがかわい過ぎる。休みをとっていた日に運よく夕方に予約が取れた。なんとしても空腹の状態でじっくり味わってみたい。夕飯には早い時間だったので、その日はゆっくり起きて昼前くらいに鍋の残りを流し込む程度にした。ここは入店の仕方、黙食の徹底、写真は料理のみ2枚まで、といったルールがあるので、時間までそれを復習。お店に失礼のないように、とこのルールが少し私を緊張させる。

陽が落ちてきた頃にいざ入店。白を基調としていて、家具はアンティーク調。テーブルの上にはコットンフラワーやモミの木で作られたスワッグが鎮座し、シルバーが並べられている。店内は薄暗くて、キッチンの蛍光灯、お洒落な電球の間接照明、テーブルに置かれた蝋燭、店内中央にある対流式の石油ストーブの中心の灯りがぼんやりと浮かぶ。クリスマスは終わっていたが、立派なツリーが奥に飾られていた。
雰囲気がオシャレすぎてド緊張。柔らかい声でショートカットのよく似合うニコニコした店員さんから「2点、お伝えしたいことがございます」と言われ、別に怖いことを言われる訳でもないのに身構える。「もう一組の方が体調不良で来られなくなってしまったので、このお時間はもちごめさんの貸切になります」と「物件のオーナーのお客さまがいらっしゃるので、少し奥の方が賑やかになります」とのこと。ルールを復唱されなくてよかった、と謎にホッとしつつ、この激オシャレ空間に私しかいないということに尚緊張。食事のメニューはなく、出てくる料理は決まっているので、飲み物だけ選ぶ。コーヒーにした。料理が来るまでの間、スマホを見る気にもなれず、ソワソワと店内を見渡して過ごした。挙動不審である。

1品目 マカロニグラタン

軽食メニューのマカロニグラタン(事前予約が必要)
”今月の軽食”とインスタにあったから毎回変わるのかな

熱々のグラタンが登場。焦げたチーズの香りに、ホワイトソースの優しいにおい。具はもも肉と人の指の1.5倍くらいのぶっといマカロニ。マカロニをかじると中から熱々でなめらかなホワイトソースが流れ込んでくる。あつい。でも美味しい。ほくほくしながら食べると体の中心から温まり、自然と体の緊張もほぐれる。これを食べたらホッとした。

2品目 デザートプレート

左 パリブレスト
シュー生地にヘーゼルナッツのクリームが贅沢に挟まっている。中央はドーナツのように穴が空いている。表面はスライスアーモンドが散りばめられ、ローズマリーとピンクペッパーがこのお菓子をクリスマスリースのように仕上げている。
右 ガトーマダム
検索してももはや原点のレシピに辿り着けないほど古いお菓子らしい。
さくらんぼのお酒の香りがするチョコスポンジと、クリームが層になっている。

パリブレスト
初めて食べたお菓子。見た目が可愛い。なんでこんな素敵な盛り付けが思いつくんだろう。食べ方がわからないがとりあえずナイフを入れ、一口サイズにしてほおばる。上のシュー生地はザクザクしていて、ずっと噛んでいたくなる。下のシュー生地はしっとりめ。クリームはナッツ特有のもったりした舌触りで濃厚に感じられる。少し塩味もある

ガトーマダム
このクリーム、生クリームとカスタードクリームが合わさったもののようなんだけど、驚きなことにめちゃくちゃふわふわで口に入れると解ける。スポンジもシュワッとした柔らかさ。見た目以上に柔らかいケーキで「わっ」と声が出た。表面に載っているさくらんぼは「癖があるので苦手だったら避けてくださいね」と言われたが、酒につけたさくらんぼは美味しかった。

こんなにこだわって作られた可愛いお菓子はなかなかない。コーヒーと合わせてゆっくり頂く。紅茶を追加注文した時に店員さんから「シュトーレンは食べられますか?」と聞かれる。「好きです」と即答すると、少ししてから金色のお皿に白く縁取られたドライフルーツたっぷりのシュトーレンがやってきた。このお店がシュトーレンを作っていることは知っていたが、私がその情報に辿り着いた頃には既に終了していたため今年は諦めていた。店員さんが味見用にとっておいたものらしく、振る舞っていただいた。浮かれて一口一口味わって食べていたので写真はない。とればよかった•••。

食べ終わった頃には緊張もほぐれ、お腹も満たされ、体も温まり、満足感でいっぱい。黙食で味に集中できるというのもいいものだ。(一人だったのでそもそも話し相手がいないけど)今年一年頑張った自分へのご褒美になった。来年も必ず行く。あまりお喋りする雰囲気ではないので、気心の知れた友達を誘いたい。

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