自作の『ベストアルバム100』から上位のレビュー
どうも夜警です。
最近、4.5以上の評価を付けたアルバムがあるアーティストの数が100を超えたので、その記念や、今まで聞いてきた音楽をまとめ、良い音楽を共有する目的で、1アーティスト1アルバムでオールタイムベストアルバム100を作りました。
せっかくなので星5をつけている上位15枚は感想?、レビュー?、紹介文?を付けてみようと思いnoteを書き始めてみました。初noteなので拙い所もあると思いますが見ていって下さい。
15.なのるなもない『melhentrips』
15位に選んだのはなのるなもないの"melhentrips"です。
なのるなもないの韻の踏み方、トラックの浮遊感、酩酊感が気持ち良いアルバムでゲストの活かし方も巧く流し聞きも、しっかり聞くのもどっちも出来るアルバムです
全編日本語を中心としたラップでポエトリーのような面も見せるブルースHip Hopです。
オススメ曲はラストを飾る「帰り道」です。
なのるなもないの相方の志人が参加している曲で二人とも情景描写が巧く、安定したなのるなもない、印象的な志人と二人のコントラストも綺麗な名曲です。
14.芸能山城組「輪廻交響楽」
14位はSFアニメ映画AKIRAのサントラでも知られる芸能山城組の『輪廻交響楽』です。
アルバム全体が陰鬱とした呪術的な美しさ、怪しさに包まれていて、バリ等のガムランや人の肉声を使って構成される曲は圧倒的な世界観を持って鑑賞者を作品世界に引きずり込んで行きます。
また1986年リリースなのですが音の響かせ方、配置の仕方など現代でもまだまだ通用するレベルで巧みな鳴らし方がされているのも魅力の一つです。
1から4の章で構成され輪廻転生を描くという壮大なコンセプトに一切見劣りしない圧巻の出来です。
是非アルバム全体を通して聞いてみてください。
13.betcover!!「20210829」
13位に選んだのはbetcover!!の『20210829』です。
昨年リリースのアルバムですがもう13位に選出してしまいました(笑)
このアルバムはタイトルの通り2021年8/29に行われたbetcover!!のライブの音源を収めたアルバムです。
選曲は同年リリースの『時間』から全曲、以前の1st、2ndから人気の曲をセレクトした感じで一つの意味ではbetcover!!のベスト盤的扱いもできるかもしれません。
スタジオ盤よりもさらに荒々しく「これぞライブ盤!!」と言いたくなるような肉体的なパワーは勿論、『時間』収録曲『幽霊』のアレンジ『幽霊2』などのこの盤にしかない曲もありライブ盤として100点の出来だと思います。
オススメ曲は冒頭2曲の『幽霊』、『幽霊2』です。 流れるようにアップテンポに変容していく様にはとてもワクワクさせられます。
ライブ全体が公式から上がっているので良ければ映像付きでも楽しんでみてください。
12.King Crimson『In the Court of the Crimson King』
12位に選んだのは言わずとしれたプログレ史、延いてはロック史における最重要作品の一つKing Crimsonの『In the Court of the Crimson King』です。
もしかしたらこのリストで1番王道なチョイスかもしれません。
正直このアルバムは語りに語り尽くされてるので今更何か書ける事はないとも思っています。
(個人的には恐らく初めて通しで聞いた洋楽のアルバムなので思い入れも強い作品なのですが)
今でも名盤と語り継がれているアルバムなので勿論、全曲素晴らしい完成度で陰鬱としていて美しい、プログレのお手本のような名曲が詰まっています。
プログレというジャンルを確立し、同時に超えられない壁を打ち立ててしまったアルバムです。
オススメ曲は陰鬱で壮大な中世世界を描く"epitaph"です。 当時の情勢への風刺的意味合いもある曲で悲痛なボーカルが悲哀を感じさせます。
11.椎名林檎『加爾基 精液 栗ノ花』
11位に選んだのは椎名林檎の『加爾基 精液 栗ノ花』です。
ポップなロックだった、前作、前々作に対し非常に実験的で陰鬱としたサウンドになり椎名林檎における『KID A』みたいな立ち位置のアルバムだと思います。
民族楽器、コラージュなど実験的手法を多く使い、絢爛でいて陰鬱とでも言うべきな独特な空気感のアルバムになっています。
オススメ曲は冒頭1曲目の『宗教』です。
1曲目なだけあって前作との違いをまざまざと見せつけてくる毒々しい曲です。
10.森田童子『東京カテドラル聖マリア大聖堂録音盤』
10位は森田童子の『東京カテドラル聖マリア大聖堂録音盤』です。
森田童子は歌声、歌詞ともに素晴らしいのですが、このライブは森田童子の歌声の良さが特に詰まったアルバムだと思います。
ライブという環境だからこそのコーラスの出し方や、素の歌声も勿論良い部分が詰まっています。
こういう音楽が聖堂で歌われたのも個人的には何か感慨深いモノがあると思います。
オススメ曲は1曲目の『地平線』です。
哀しく美しい、巧みなコーラスが素晴らしい曲です。
9.Mingus『The Black Saint and the Sinner Lady』
9位はCharles Mingusの『The Black Saint and the Sinner Lady』です。
Jazzでは1番好きなアルバムです。
フラメンコやクラシックまで取り入れられた組曲で、最初から最後まで巧みに構成された楽器群は流石の一言です。
厳かな始まりから最後の大団円までこれも通しで聞くべき作品です。
8.Injury Reserve『By the Time I Get to Phoenix』
8位はInjury Reserveの『By the Time I Get to Phoenix』です。
このアルバムはジャンルとしてはExperimental Hip Hopの入るのですが、もはやHip Hopの域を超え全く前例のない音楽世界を作りあげてしまったアルバムです。
1曲目の『Outside』から現実とは地続きながら全く別の世界に飛ばされ、居心地の悪い恐ろしい音世界に40分の間飛ばされてしまう、そんなアルバムです。
それでいて最後の『Knees』,『Bye Storm』にはそれまでの不安定さを残しつつ1種の晴れやかさを持ったカタルシスが待っています。
オススメ曲は混沌としたアルバム世界の始まりである1曲目『Outside』です。
7.SukeraSono 『イルミラージュ・ソーダ〜終わる世界と夏の夢』
7位はSukeraSonoの『イルミラージュ・ソーダ〜終わる世界と夏の夢』です。
この作品は本来、音楽のアルバムでは無くASMR作品としてリリースされたものなのですが、作品全体の音使いや後半のNoiseのパートなど極めて音楽的に素晴らしい作品なのでアルバムとして扱います。
この作品はASMR作品であるため基本は声優さんとの会話をメインとして進んでいきます。ですが、この作品では始めからAmbientとしか言いようがない曲で始まりストーリー中のバックのサウンドすら素晴らしいサウンドスケープを持っています。
何よりASMRとしてのパートも情景がハッキリと浮かぶ音使いがされています、それに対し圧倒的サウンドスケープがあり、作品世界にピッタリと合った声優さん、良い脚本、その全ての要素が支え合って生まれた傑作だと思います。
純粋な音体験として圧倒的なクオリティですし、今後同じようなASMRと音楽が密接に絡まり合う作品が多くリリースされるようにもなったとしたら、プログレにおける宮殿と同じくらいの扱いを受けるべき素晴らしい作品です。
6.Danny Brown『Atrocity Exhibitions』
6位はDanny Brownの『Atrocity Exhibitions』です。
Hip Hopではこれがベストです。
このアルバムは実験的トラックに対しそれを乗りこなすDanny Brownが凄すぎるアルバムです。
トラックの特徴としては実験的精神が強く、アップテンポなもの、Post-PunkなどのRockの質感を持ったトラックも多いです。
ジワジワと進行していく曲、アップテンポなトラックにDanny Brownがまくし立てるようにラップを重ねて行く曲、度々ある豪華なゲストミュージシャンたちにも勝る個性的なDanny Brownのラップを堪能出来る曲になっています。
オススメ曲はアップテンポなトラックにDanny Brownのラップが光る『When It Rain』です。
5.Talking Heads『Remain in Light』
5位はTalking Headsの『Remain in Light』です。
これも語り尽くされたアルバムですね。
ファンク、アフロビート、ポリリズムを取り入れワンコード進行のミニマルで特異な音使いを見せたアルバムです。
非常に音数の多いアルバムで、パーカッションにも聞き所が多いです。
神経症のボーカルとも言われるDavid Byrneの声質も良い意味で楽器たちと合わさりチープな感じを出していて、音のペラペラ具合も逆に少しおかしな世界観を想起させるのに手伝っている気がします。
オススメ曲はワンコードを活かしたコーラスの重ね方が美しく、ゲストのエイドリアンブリューのギターソロも炸裂する『The Great Curve』です。
4.核P-MODEL『Гипноза』
4位は核P-MODELの『Гипноза』です。
核P-MODELの2ndアルバムで、解凍P-MODELのようなNew Waveな質感を持ったアルバムです。
ほぼ全ての楽が電子音になっている超テクノアルバムで音数の多さからElectro-Industrialにも接近しているアルバムです。
世界観としては非常にサイバーパンクで全体のコンセプトなどもヒラサワ味の現実と地続きのSFと行った感じです。
怪しい電脳的世界を描く表題曲『Гипноза』、元P-MODELのメンバーと再共演を果たした『それゆけ!Halycon!』、感動的ラストの『Timelineの東』など幅広く、クオリティの高い曲が集まっている名盤です。
オススメ曲は今への警告をしつつ高らかに次へ向かう『Гипноза』です。
3.P-MODEL『Perspective』
3位はテクノバンドとしてもPost-Punkバンドとしても素晴らしいアルバムをリリースしてきたP-MODELの最高傑作『Perspective』です。
1st、2ndとテクノにポップで可愛らしいサウンドで社会批判を行ってきたP-MODELが大転換を果たした3rdアルバム『Potpouri』から、さらに無愛想に難解かつ簡素に進化した問題作兼大傑作とでも言うべきアルバムで、特徴的なのは各曲のミニマル、PiLを越える大音量ドラムです。
ビルの階段の踊り場て録音されたという大音量のドラムは、このアルバム1番の聞き所と言って良く各曲のミニマルな展開と相まって、1種のトリップを誘う音楽に仕上がっています。
1st、2nd、3rdとわかりやすく書かれてきた歌詞はこのアルバムで散漫で抽象的に変化し、それは現在までの平沢の作詞にも繋がっていきます。
オススメ曲はミニマルなドラム、シンセが絡み合い本作1番トリップを誘う曲『シーラカンス』です。
2.フィッシュマンズ 『LONGSEASON』
2位は近年RYMなど海外での評価が急上昇しているフィッシュマンズの『LONG SEASON』です。
日本では『空中キャンプ』の方が評価が高いイメージですが個人的にはこっちの方から深度が深い位置にあると思います。
多くは語らないずとも情景を想像できる佐藤伸治の歌詞、「僕ら、半分夢の中」の歌詞通り、夢と現が半分ずつになった様なサウンドスケープ、その感覚全てが別のフィッシュマンズのアルバム、他アーティストのアルバムには無い美しさが詰まっています。
フォロワーさんの言葉を借りると、「あっち側」に連れて行かれる。この表現が最も似合う引き込み力が物凄いアルバムだと思います。
1.平沢進『救済の技法』
1位は平沢進『救済の技法』です。
個人的にはこのアルバムより完成度の高いアルバムは無いと思います。
全曲、音使い、歌詞、歌声、その全てが完璧なアルバムで、1曲目『Town-0 Phase-5』の象徴的なコーラス、2曲目『MOON TIME』のクラシックを連想させる壮大なシンセ、サビでの高音、3曲目『庭師KING』の称える様な数え歌、等々挙げればキリがない程に聞き所、語り所に溢れたアルバムです。
歌詞についても1曲目での『行こう すれ違おう 「愛はいかがと?」』、5曲目での『香れよ 胸の水仙 尽きる命を称えて 吹けよ街に 一陣の風 眠る我が子が癒えるまで』など美しく、優しさに溢れた雄大な歌詞に溢れています。
このアルバムで平沢進ソロはAmbient Pop、NewAge、エスニック的作風に一つの到達点を見ることになります。
特異で神聖な音世界を構成しつつ、あくまでPopであることを忘れず聞きやすさを維持しているのもポイントだと思います。
『救済の技法』というタイトルにタイトル負けしない壮大さとクオリティを持った稀代の大傑作です。
オススメ曲は去年のフジロックでもアンコール曲に選ばれた大名曲『庭師KING』を挙げておきます。
まとめ
自分で言うのもなんですが結構変なリストになったと思います(笑)
今回、星5をつけている上位15枚だけ、記事に書きましたがこのリストに入っているアルバムは勿論、全部良いアルバムです。
時間があればで構いませんが、是非聞いてみてください。
ここまで読んで下さりありがとうございました。
では、また。
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