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スガシカオの『夢のゴール』に見るジョブ・クラフティング

スガシカオの作詞による『夢のゴール』という曲があります。

その歌詞がジョブ・クラフティングの考え方をよく表しているなと感じました。

物語は最初、子供時代の回想から始まります。

学校のグラウンドに沈む
夕陽に染まって
シューズが破れるくらい練習した
遠い夏の匂い
僕の夢はずっとまっすぐだった
いつか世界の舞台へ
駆け上がるって

彼はその後大人になり、当時の夢である《世界の舞台》へは駆け上がれなかったようです。しかし、

僕にとってスタジアムは今
会社の大会議室
君にとってホームランはきっと
家族へのプレゼント
あの日なりたかったスター選手と
同じハッピーと感動を約束するよ

大人になった彼は、当時とは違った形で《スタジアム》に立ち、《ホームラン》を打っているようです。

物語は次に、私たちに問いかけてきます。

君がなりたかった夢って何?
パイロット スポーツ選手?
アイドル 医者 パティシエ 声優
教師? アーティスト? デザイナー?

子供の頃に、ここに挙げられた職業を望みながら、大人になってその願いがそのまま叶った人ばかりではないでしょう。それは、成就ではなく終焉という意味での《夢のゴール》に映ります。

しかし、物語は続けてこう語りかけてきます。

それは職業のただの名前で
君が歩いて行く
道の名前じゃない

誰かにとって君はアーティスト
夢与えてる
誰かにとって僕は高校教師
言葉を残す

なにかの書類の「職業欄」を埋めるときに、「会社員」「自営業」「公務員」とする人がほとんどではないでしょうか。もし仮に埋めなければいけないのが「職業欄」ではなく「何をしている人ですか?欄」だったとしたら、あなたはそこに何と書き込みますか?

自分の仕事を、《職業のただの名前》で言い表すのではなく、《夢与えてる》や《言葉を残す》のように、為していることで語れたら、それはまさにジョブ・クラフティングの一端だと思うのです。

「ジョブ・クラフティング(Job Crafting)」は、従業員一人ひとりが仕事に対する認知や行動を自ら主体的に修正していくことで、退屈な作業や“やらされ感”のある仕事を“やりがいのあるもの”へと変容させる手法のこと。会社や上司の指示・命令ではなく、働く人々が自分自身の意思で仕事を再定義し、自分らしさや新しい視点を取り込んでいくことで、モチベーションが高まり、パフォーマンスの向上につながるという考え方です。

ジョブ・クラフティングとは――実践法を解説 - 『日本の人事部』

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