ユーフォニアム3・第十回見た

今回は久美子が本当の気持ちを声にするという回だった。
よく考えると、主人公が心の声でブツブツ言っていても、その気持ちを今まで誰にもぶつけなかったというのは、不自然な感じである。そういう作品は他にもあるけれど、若人向けの作品であるからやはり本音の表出によってカタルシスが成立するのが望ましいと思っている。そして本作は今回ついに、前半のギスギス最高潮を経て、やっとそういう展開を迎えた。
いかんせん、演奏シーンがほとんどなく、せめて音だけでも入れてくれれば、と思うのだが、関西大会とか全国金とかの目標に対してどれくらい達成しているかがよく分からない。まあ今回はクライマックスといえそうであり、最終的に全国金になるかどうかはあまり問題でなくなってきた。
あすかや香織が説教臭いことを言わず、しかも久美子の気持ちを見抜いているというのは良かった。あすかは滝先生の心理もズバリ見抜いている。そして関西大会直前に滝先生が言ったことがどうも上滑りに感じられたが、久美子の演説によって部内の空気も変わったようであった。
まあ、秀一も麗奈も一応頭を下げたわけだけれど、今後この二人の心変わり、そして久美子との関係がどう進展していくかはとても楽しみである。これまでいがみ合っていたのであるから……。
人数の多い吹奏楽部であるけれど、生徒の心理はなるべくまとめて、分かりやすく描写することが必要だろう。リアルな人間模様とは言えないかもしれないが、レトリック一つでハッピーな結末に近づけるというのは救いである。

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