【エッセイ】荷物が重すぎて宅急便で送り返した話。
キャンプグッズの満杯に詰まったザックを背負い、北海道キャンプ旅行を計画したことがある。
20歳頃、ぼくと奥さん(当時は彼女)はザックに満杯の荷物を入れて、新潟からフェリーで北海道に向かった。季節は9月の終わり。
「ホテルやなんかを使わずにキャンプ場に泊まって過ごせば長くいられるね」
そう言ってテントやら何やらを詰め込みまくった結果、荷物はめちゃ重い。
新潟からフェリーで小樽へ着く。
小樽から親切なご夫婦に北海道の真ん中らへんまで車に乗せてもらう。
早速泊まるところを探そうと、買っておいた「北海道キャンプ場マップ」を開く。
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どうやら、キャンプ場というのは徒歩圏内にはないらしい。
ザックは満杯だからとにかく肩が痛いしもう歩きたくない。仕方なく携帯で近くのラブホテルを見つけてそこに行くことにする。
あたりは真っ暗で、周囲には民家もない。車道を不気味な車が通り過ぎていく。
「ねえ…あの車、さっきから何回かみてない?」
「えっ…」
もしかして、愚かな旅人を狙った追い剥ぎが、タイミングを狙っているのかもしれない。恐ろしくなり、ザックから果物を切るためのナイフを取り出してポケットにいれる。
「いざとなったら…戦う」
その後数十分歩いて、無事にラブホテルにつく。何とも戦わずにすんだ。よかった。
僕たちはヘトヘトで、重い荷物に心底うんざりしていた。なんでこんなものを背負ってるんだ?
風呂に入り、乾いたシーツのベッドで、はんぺんのように眠った。
翌朝、薄暗い照明のラブホテルで目が覚めた僕たちは、お互いの顔を見合わせてすっかり同じ気持ちになっていることを確信した。
つまり、ザックを実家に送り返してホテルや民宿に泊まろう、と。
こういうとき、自分の快不快に敏感な僕らは思い立ったら早かった。ファミリーマートで荷物を袋にくるみ速攻で送り返した。しかも着払い。ごめんね、お母さんありがとう。
北海道の爽やかな空気が肺に満ちる。
ああ、旅行ってこうだよな。知らない街を、身軽な気持ちと体で歩く。壮大な大地が、迎え入れてくれている気がした。
こうして僕たちは必要な荷物だけを背負い、北海道旅行を楽しむことが出来た。民宿やホテルを使って。
物は、知恵に置き換えられる。
知恵がない場合は、宅急便で解決できることもある。
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3/1の日記
家でネームを直したり、
描いたりしていた…あまり記憶がない笑
食事は宅配のピザが半額だったので食べた。
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