周礼23

天官冢宰23
#天官と冢宰と言う役職についての章

掌次:掌王次之法,以待張事。王大旅上帝,則張氈案,設皇邸。朝日,祀五帝,則張大次、小次,設重帟、重案;合諸侯,亦如之。師田,則張幕,設重帟、重案。諸侯朝、覲、會、同,則張大次、小次;師田,則張幕設案。孤卿有邦事,則張幕設案。凡喪,王則張帟三重,諸侯再重,孤卿大夫不重。凡祭祀,張其旅幕,張尸次。射,則張耦次。掌凡邦之張事。
#掌次 (しょうじ):掌次は君主の行事や儀式を担当する役割です。君主が大規模な祭りで天帝を祀る場合、広大な幕と案を張り、皇宮を整えます。朝に五帝を祭る場合、大次と小次の幕を張り、重帟と重案を設けます。諸侯との会合でも同様の手順を踏みます。師田(軍事演習)の場合、幕を張り、重帟と重案を設けます。諸侯が君主に朝見、親謁、会合、協力する場合、大次と小次の幕を張ります。また、師田の場合には幕と案を設けます。位の高い役職者(孤卿)が国家の事務を執り行う場合には、幕と案を張ります。君主が喪に服する場合、帟を三重に張ります。諸侯は二重に張りますが、位の高い役職者や大夫は重ねません。祭祀の際には、旅幕(祭壇)を張り、尸次(祭祀の手順)を整えます。射の儀式の際には、耦次を行います。掌次はすべての国の行事を担当します。

 「帟(ひ)」と「案(あん)」は、特定の儀式や行事において使用される装飾や設備を指す言葉です。

 「帟(ひ)」は、喪服や祭祀の際に使用される幕やカーテンのことを指します。特に喪の場合には、喪主や王などが帟を使用して儀式を行います。喪に際しては、帟を多重に重ねて張ることがあり、文中の「王則張帟三重,諸侯再重,孤卿大夫不重」という文言では、君主の喪においては帟を3重に張り、諸侯の場合には2重に張ることが示されています。

 「案(あん)」は、台や机などの設備を指します。儀式や行事の際には、祭壇や案を設置し、その上に祭具や祭礼品を置くことがあります。特に宮廷や王室の儀式では、厳かな場にふさわしい案が使用されました。
 
 これらの帟や案は、周王朝における儀式や行事の重要な要素であり、その設置や使用方法は儀礼や礼儀作法に基づいて厳格に行われました。君主や貴族の身分や地位に応じて、帟や案の数や配置が変わることもありました。

大府:掌九貢、九賦、九功之貳,以受其貨賄之入,頒其貨于受藏之府,頒其賄于受用之府。凡官府都鄙之吏及執事者,受財用焉。凡頒財,以式法授之
#「大府(だいふ)」:大府という役職は、古代中国における官職の一つであり、九つの貢物(貢物は諸侯や国民からの貢納物)、九つの賦(税)、九つの功績に関わる業務を担当します。貨物や贈り物を受け取り、収蔵の府に分配し、使用する府に贈り物を分配します。官庁や地方の役人や執事は、ここから財物を受け取ります。財物の分配は、規定に基づいて行われます。

關市之賦,以待王之膳服
#關市之賦:王の膳食のための賦税です。

邦中之賦,以待賓客
#邦中之賦:賓客のための賦税です。

四郊之賦,以待稍秣
#四郊之賦:馬や牛などの家畜の飼料のための賦税です。

家削之賦,以待匪頒
#家削之賦:王室や貴族のための賦税です。

邦甸之賦,以待工事
#邦甸之賦:公共工事のための賦税です。

邦縣之賦,以待幣帛
#邦縣之賦:貨幣や布帛(布地や絹織物)の供出のための賦税です。

邦都之賦,以待祭祀
#邦都之賦:祭祀のための賦税です。

山澤之賦,以待喪紀
#山澤之賦:喪の儀礼のための賦税です。

幣餘之賦,以待賜予。
#幣餘之賦:贈り物や施しのための賦税です。

凡邦國之貢,以待吊用。凡萬民之貢,以充府庫。凡式貢之餘財,以共玩好之用。凡邦之賦用,取具焉。歲終,則以貨賄之入出會之。
#各国からの貢物は、悼みの儀式のために用いられます。庶民からの貢物は、国庫を補充するために使われます。式次第で余った貢物は、共同で楽しむために使用されます。国家の税収は、具体的な用途に基づいて取り扱われます。年の終わりには、財物と貨幣の出納が集計されます。

玉府:掌王之金玉、玩好、兵器,凡良貨賄之藏。共王之服玉、佩玉、珠玉。王齊,則共食玉。大喪,共含玉、復衣裳、角枕、角柶。掌王之燕衣服、衽席、床笫,凡褻器。若合諸侯,則共珠盤、玉敦。凡王之獻金玉、兵器、文織、良貨賄之物,受而藏之。凡王之好賜,共其貨賄。
#玉府 (ぎょくふ):「玉府」は、王の金玉(貴重な玉石)、玩好(娯楽品)、兵器、そして他の貴重な品々を管理する役割を担当します。王の衣服に使われる玉、身につける玉、および珠玉(宝珠)を管理します。王が食事をする際の装飾品の管理をします。大きな喪の儀式では装飾品を準備し、衣服、角枕や角柶を用意します。王の宴会や儀式で使われる衣服、寝具、褻器を管理します。諸侯との会合では、珠盤(玉器が置かれる盤)や玉敦(玉製の器具)を管理します。王から贈られる金玉、兵器、織物、貴重な物品を受け取り、保管します。王が贈り物をする際には、管理しているものの中から贈り物を用意します。

 「角枕」は、枕の一種で、通常は木材や石材で作られ、その形状が角のようになっています。古代中国では、貴族や高位の者が使用する特別な枕として使用されました。枕は寝具の一部であり、快適な睡眠環境を提供するために使用されました。

 「角柶」は、祭祀や儀式に使用される特別な器具で、形状が角を模した容器です。祭壇や祭祀の場で用いられ、宗教的な儀式や祭りにおいて重要な役割を果たしました。具体的には、祭祀に使われる食物や物品を入れるために利用されました。

「褻器」(けつき)は、文中の表現であり、古代中国において厳かな儀式や祭祀に使用される特別な器具を指します。具体的には以下のような意味合いを持ちます。

 褻器は、祭祀や儀式において使用される品物であり、その形状や材質は厳格に定められ、特別な意味や象徴性を持っていました。一般的には、祭壇や祭祀の場で使用される食器、容器、または宗教的な儀式で使用される特別な器具を指します。
 
 褻器は神聖視されるため、細心の注意と儀式的な処理が求められました。また、褻器はその形状や装飾によって、特定の神聖な象徴や神話的な要素を表現する役割も果たしました。

 具体的な褻器の種類や形状は時代や儀式の性格によって異なります。例えば、祭壇に用いられる食器や酒器、または特定の神々への供物を収めるための容器などが褻器に含まれることがあります。

 褻器は古代中国の宗教や儀式の重要な要素であり、神聖な場において使用されることで、神への崇拝や儀式の厳粛さを表現する役割を果たしました。


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